
「食ジム」第136回は、
2024年12月15日(日)、
次のテーマで行なわれた。
(横浜市開港記念会館 11~18時)
座長 佐藤由起子さん
アドバイザー 影山なお子さん/大橋禄郎

「健康環境」としての身だしなみを、
どう向上させていけばよいか。
(サブタイトル)
――「年相応」を考えがちな日本人の身だしなみを
抜き打ちチェック――

進行プロットの冒頭に、
座長が「身だしなみ」の定義を示しておいてくださった。
さすがである。

「身だしなみ」とは。
(広辞苑 第七版)
①身のまわりについての心がけ。頭髪や衣服を整え、
ことばや態度をきちんとすること。
②教養として、武芸・芸能などを身につけること。
また、それらの技芸。

「身だしなみ」というコトバについて、
現代の日本人は、
「衣服を整えること」
そして、せいぜい「髪の手入れ」程度に考えがちだが、
本来の意味は、「ことばや態度をきちんとすること」
「教養として、武芸・芸能などを身につけること」との記述がある。

『広辞苑』のことだから、
昔にさかのぼって用例を調べているはずで、
したがって、「武芸」や「芸能などを身につけること」となる。
なんとなく武士の家庭が思い浮かぶ。

ユニクロのダブダブ衣服を着て、
スマホをのぞき込みながら、
ズボンの裾で、駅の階段などを清掃してくれているお嬢さんに、
武芸(馬術、弓道)や芸能(歌や踊り)を……などと言っても、
通じるはずもない。

定義はいかにも古いが、
興味深いのは、江戸時代(?)にも、
今日の「ライフスタイル」に相当する概念が
あったということ。

「人間は外身ではなく中身だ」という人もいるが、
身だしなみには、バッチリ中身が現われるものである。

何度でも言うが、
「ライフスタイル」は「生活習慣」と同義ではなく、
生き方、生きる姿勢のことである。
そして、「身だしなみ」も、
本来、「ことばや態度をきちんとすること」なのであって、
英語圏の「ライフスタイル」と根は同じに思える。

今回は、身だしなみを「健康環境」という視点で
論じることになった。
とかく見逃されてきた「自分のもっとも身近な環境」
という視点。
さすがに、江戸時代の「身だしなみ」には、
ここまでの解釈はなかった。

人には見えない肌着ながら、
無限と言えるほどの情報を持っていて
身につけている人に対してメッセージを送ってくる。
「買ったばかりの……」
「思い出のある……」
「大好きなオレンジ色」
「気合が入るフィット感」
「あの方にいただいた……」

身だしなみは、
他者の環境となる以前に、
自分の環境となって
いろいろの情報を送って来る。
思い入れのある肌着から喜びや幸福感、
自信や誇りが生まれたとすれば、
それが「健康環境」となって自身の健康度をあげてくれる。

一般的に、栄養士は「控えめ」「おとなしい」「地味」
などのイメージがあるが(健康支援者全般に言えそうだが)、
食ジムでは、この点も話題にした。

高校時代か中学時代か、
栄養士になろうと思った人は、
タイプとして、研究職や調理をする人、
お料理という創作に、美意識を感じていた人……
の可能性が高い。

同じ健康支援者でも、
看護師や保健師ほどには
人と接する機会が多くはない職種が
自分には合っていると思った人……の可能性もある。

そういう人にとっては、
「健康をカタチで示せ」と言われても、
「そんなの聞いていないよ」ということになるだろう。

栄養学が、時代に追いつかなくなったのか、
ほんの一部の栄養士が、
時代の推移にピタリとついているだけのことなのか。

すなわち、特定保健指導が制度化されて以来、
栄養学は、研究室や厨房に、
こもっているだけではすまなくなった。
多くの人と会って、健康支援を行なう業種が
日本中に広まった。

そのことによって、
マジメ、おとなしい、控えめ、寡黙などは、
利点ばかりとは言えなくなった。
「健康をカタチで示せ」ということになった。

時代はつねに動くものだから、
路線変更や方向転換は、あって当たり前。
コンバート(ポジション変更)は
野球などのスポーツの世界に限ったものではない。

その変化に適応することこそが、
モチベーションであり、適応であり、進化である。

かくして、
いま栄養士には、
「健康を全身でアピールできるタイプ」
であることが求められている。
迷惑に思う人も多かろうが、
結果としては、ご本人がいちばんの受益者となるだろう。

「食ジム」136回では、
プロットの最後の4項目で
「〝身だしなみ〟で〝若さ〟や〝健康〟を
アピールするための50の法則」を
あげることになった。時間切れであげきれないところは、
大橋が考えることになった。

以下、まずは必見の20数項目を。
*心身ともに医学的健康度が低くなく、
健康のカタチを理解して行動している。

*表情が豊かであり、
1人街を歩くときも、ほほえみがある。
*姿勢がスッキリしている。
*発話力――相手に届く声、滑舌が明らか。
*歩き方がきれい。(× バタバタ ズルズル)
*下着もつねに更新してる。
*髪がいつも整っている。

*メイクがスッキリ、明るい。
*コトバづかいが、ていねい、穏やか。
*正しい敬語を使う努力と習慣。
*TPOに合った服装――ゴミ捨てのときにもスッキリ。
*服装について一定の方向性を持っていて、
かつ、よりよい状態を保つために、
人と話し合ったりしている。

*考え方が肯定的、建設的。
*「人生の意味」「人はいかにあるべきか」など、
哲学的思考ができる。
*親しみやすさ、協調性がある。
*相手への心づかい、やさしさ。
*テーマ性のある人生観、使命感。

*社会への参加意識、貢献意識。
*家庭、仕事以外にも居場所が複数ある。
(予暇活動のグループなど)
*笑い合える仲間が複数いる。
*自分の方向性修正したり、話し合ったりする習慣がある。
*実行力、スピーディな仕事振り。

*コミュニケーション力の強化と実践。
(情報発信のバリエーション。
手書きの文字がキレイ。
話題が豊富。問いかけ力がある)

*約束を守る。
*つねに予定がある。
*生涯続けられる予暇活動がある(趣味など)。
# by rocky-road | 2024-12-19 16:08 | 「食ジム」