パルマローザ主催の
写真教室(2024年4月29日)の成果のアカシとなる
フォトコンテストを、ことしも行ないました。
今年は、インドアでレクチャーを行なったり、
ランチをしっかり楽しんだりしたため、
結果として、撮影時間が少なくなりました。
そのため、撮影地は大桟橋周辺に釘づけとなり、
撮影チャンスが時間的にも地域的にも
狭まったように思います。
懸念していたとおり、
「銀賞」「金賞」に値する作品は見つけられませんでした。
これは、明らかに主催者側の反省点、
お詫びします。
とはいえ、作品の評価は、
歴史に恥じないようにせねばならず、
心を鬼にして選考しました。
その結果、今回は「金、銀、銅」のランキングで
「銅賞」が最高位とならざるを得ませんでした。
以下、各作品について講評をします。
選者 大橋禄郎
銅賞
佐藤由起子さん (東京都)
「くじらの背中、第6区、爆走。」
【選評】
被写体におんぶをしない、自分なりの切り取り方を
評価したい。一見、絵としては暗いが、
中央に走る子を収め、
大きなステージのカタチを〝表現〟している。
日ごろの構図勉強の成果か。
タイトルはダラダラとした説明で不可。
「マイ・ステージ」くらいに、さらっと行きたい。
銅賞
高藤 法子さん(山口県)
「たくましさは両者引き分け」
【選評】
シーサイドに特設されたボリタリング用の壁を
登りきる直前の2人を、よいタイミングでスナップショット。
ここがシーサイドだとわかるように撮るには、
右側に見えたはずの海を入れると、
赤レンガ付近の臨場感が出たろうが、絵の迫力は弱まる。
判断のむずかしいところ。
タイトルは、見たまんまで、かつ説明し過ぎ。
「平和な戦い」「人生、どう争うか」はいかが?
佳作
奥村 花子さん(東京都)
「誰よりも高く!!」
【選評】
おなじみのジャンプ写真。
ジャンパーのポーズ、カメラアングルがいい。
だれもが感じるだろうが、カーディガンが顔を隠したのがおしい。
こういうときは、すぐに撮りなおす根性が必要。
バックの人(しゃがんでいる人も)がいないタイミングを
選べなかったか。
タイトルの「誰よりも高く」は、絵の内容に合っているのだろうか。
「私と、みなとの未来」とかは?
佳作
甲斐和恵さん(神奈川県)
「眠らない港町」
【選評】
手ブレしやすい夜景を、適切な構図で撮っている。
海面の反射の写し込みもうまくいっている。
もう少しマイナス補正をすると、
空の青みが消えて、〝夜らしさ〟が際立ったかもしれない。
タイトル、そのとおりなのかしら?
佳作
影山なお子さん (神奈川県)
「『ハマ』を支える観光産業 復活」
【選評】
社会派的報道写真としての価値はある。
複雑な地形をジャストフレーミングで切り取っている。
「きれい」や「ほほえましい」が選考基準になりがちな
巷の写真教室後のコンテストでは、損をしたかも。
タイトルも報道写真そのもの。
もう少しシンプルに「にぎわい復活 大桟橋」では?
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その他の応募作品
岩田 博美さん(神奈川県)
「Mon~」
【選評】
被写体の動作、タイトルの意味、
どちらもわからない。
親子は争っているようにも見えるし、
抱き上げようとしているようにも見える。
これを撮った理由を知りたい。
三奈木博文さん (東京都)
「お休み」
【選評】
ほほえましいショット。
この子の将来のためにも、
プリントして保存しておきたい1点。
コンテスト用の「作品」にするには、
もう〝ふた息〟ほどユニークさを出したい。
タイトルも、まったく力んでおらず、
一緒に眠気を誘ってくれる。
永野幸枝さん(千葉県)
「パパとママの佳き日」
【選評】
怖い写真、または淋しい写真だ。
ベビーカーが海に落ちそうだし、
育児放棄の両親が、
わが子をここに置き去りにしたのか。
タイトルからも判断ができない。
米澤須美さん(東京都)
「春宵の空中散歩」
【選評】
ロープウエイで空中散歩をしている様子を撮ったらしいが、
ワゴンが闇に溶け込んでしまって見えない。
手前のツツジ(?)の露出に合わせたら、
ワゴンは消えてしまうだろう。
三奈木麻弓さん(東京都)
「ランドマークは、私のもの」
【選評】
なんとも不完全なトリック写真ではなかろうか。
ラウントマークタワーを手のひらに乗せている、
というトリックのつもりなのだろうが、
その前にパネルがあって、
そのことさえ表現できていない。
「作品」にはほど遠い。
タイトルも美しいとは言えない。
三宅理江子さん(神奈川県)
「ハマ風」
【選評】
港の風景として作品化はされている。
バックのベイブリッジの収まりもよい。
曇り日のフラットな風景の中で
旗の赤が効果的。
ただ、作品とするには、
主役級の〝何か〟がほしい。
奥村春弥くん
「蝶の旅立ち」
【選評】
動きの速いチョウをジャストピントで撮った意欲がいい。
花とチョウを表現するには、
もっと近づいて、バックの道路やガードパイプを外す。
そのためには右側から狙うとよかった。
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以下の作品は、
応募期間を過ぎたため、選考対象とはせずに、
作品と講評だけを追加します。
この場合は「選評」ではなく、「講評」にしました。
田中 里実さん(広島県)
タイトル
「狙う!決定的瞬間」
【講評】
撮影中のカメラマンの真剣な様子は
コンテストの応募作品によくなる。
少し離れたところから観察するクールな視点は、
カメラマンスピリットを感じさせる。
作品としての味を出すには、何を撮っているかを示す必要がある。
動物か、子供か、モデルさんか……。
その対比から作品としてのおもしろさが生まれる。
タイトルは、「狙う!」か「決定的瞬間」か、どちらか1つでいい。
そして、カメラマンとは〝決定的瞬間〟を〝狙う〟のが基本。
感嘆符のあとは1字あけて、右に傾けよう(!)。
「狙う! 決定的瞬間」
深津惠子さん(東京都)
タイトル
「なぜかデジタルが好きな二人」
【講評】
写真論としては「何を撮りたいか、テーマを示せ」
ということになるが、バラバラ感も立派なテーマになりうることを
教えてくれる作品。見事に現代社会を切り取って作品化している。
応募期間内に出せば、佳作以上に選ばれたか。
やや露出オーバー。
タイトルで作品を説明してはダメ。
ここは「世界は私のために」または「一人ぼっち」
# by rocky-road | 2024-05-15 22:19 | 写真教室