栄養士の文章力についてお話しすることになった。
影山さんとのコラボレーションで、
「もっと輝くためのコミュニケーションスキル」という
1日コースを担当する。
食コーチングは、
コミュニケーション力を基本スキルとするが、
日本を代表する栄養士会でも、
コミュニケーション力アップを目指す研修会を
主催するようになった。
そのことの意味は大きい。
いままでは、郵便配達方式で、
受取人が不在であっても受け取る気がなくても、
栄養・健康情報を押し込んできた、
それが従来の「栄養指導」だった。
それを反省し、見直そうということは、
これまで先人たちが培ってきた業績を
ホンキで活用できる時代がきたことを意味する。
私が担当する演題は「栄養士に必要な文章力とは」である。
事務文書とか論文とかの書き方を期待する人も多かろうが、
今回はそこへは入り込まない。
「文章で考える」という、私のコンセプトをご説明することが
まずは必要と思うからである。
以前、このブログにも書いたが、
手帳は「脳の支店」であり、
文章は、脳内の情報を取り出す主要なメディアである。
このところ、「脳科学者」を名乗る者が
マスメディアによく登場するが、
こんな怪しい学者の話を聞いていては、
文章の意味はわからない。
人は、脳を研究する学者は頭がよいと錯覚する。
じぁあ、がんの研究者はがんにならないのか、
眼科の先生は視力が落ちないのか。
脳の研究も、ウオノメの研究も、
タコ焼きの研究も、研究という点では
さほどの変わりはない。
研究者の頭の善し悪しは、
研究テーマとはあまり関係ない。
ひとくちに「脳」といっても、いまは研究分野が
何十、何百と分化しつつある。
だから、怪しい脳学者に頭がよくなる方法を聞くのは、
肛門科の先生に、ノドの不具合を診てもらうほど
見当違いのことがある。
ま、それはそれとして、
理系と思われている栄養士が、
コミュニケーション力や表現力を学ぶようになったのは、
画期的である。栄養士の社会進出の速度が、
さらにアップすることは断言できる。
おりしも、影山 なお子さんは、
新訳となった、スタンダールの『赤と黒』を
読み始めたという。(訳者 野崎 歓 、光文社古典新訳文庫)
遠からず、食事相談に、ジュリアン ソレル(同書の主人公)や
レナール夫人(ジュリアンの恋人)が
さらっと登場する可能性が出てきた。
これが食事相談の社会性でなくて、なんであろう。
# by rocky-road | 2008-10-25 00:49