

岡山での講演後、少し時間をつくって、
地元の人に案内をしていただき、
市内で行なわれていた「うらじゃ踊り」と、
倉敷見物をしてきた。
「うらじゃ」とは、「鬼だぁ!」という意味の方言とのこと。
各地の夏祭りのつきものとなりつつある、
よさこい型の踊りである。
アップテンポの民謡(?)とチームごとの衣装が特徴。
そして踊り手は若者から少年・少女まで。
夜中まで踊り続ける、エキサイティングな祭だが、
踊り手が進行方向ではなく、
見物人のほうに向いて踊る、
という方式に温かさを感じた。
観客も音楽に合わせて手拍子を打つ。
ローカルな風景というべきか、
祭の先進的なスタイルというべきか、
教えられることが多かった。


倉敷では、
たまたま写真を撮らせてもらった男性の話術に、
無抵抗に引きづられた。
町並み研究所のようなものを
考えているという人なのだが、
「あのお店は何屋さんかご存じですか」
「伊豆の松崎は知っていますか」と、
まずは問いかける。
ザルや熊手を売っている店なので、
「荒物屋さんでしょ?」と答えると、
「そう。それを知っている人は少ない。
若い人は雑貨屋さん、さらに若い人は
ホームセンターといいます」
問いかけコミュニケーションの威力を
再認識させられるガイドぶりであった。
けっしてガイドを頼んだわけではなく、
むしろ急いで写真を撮って、
帰りの新幹線に間に合う見込みだった。
が、この「行きづりガイド」から離れられなくなり、
2筋分の道を一緒に歩くことになった。
その土地の知識だけではなく、
各地の古い街並みについての知識、
倉敷を訪れる人の県民性など、
矢継ぎ早に話題が続く。
それはそれは、ただ者ではない見識なのだが、
適度に問いかけてくるので、会話が成立し、
けっして知識を押しつけられているとは感じない。
コミュニケーションの達人は、
どこにでもいるものである。
私の倉敷初体験は、
「問いかけコミュニケーションの街」と
いう印象を残しそうだ
# by rocky-road | 2008-08-08 08:06