
今年3月にスタートした
「食コーチング講師養成講座」も、
この10月24日で第6回、全12回の半分まできた。
今回のテーマは「『健康のカタチ』とは……」
そのメインは《ヘア&メイク》であった。

食コーチングをベースに食や健康を語るとき、
講師の身だしなみは、きわめて大事。
健康を語る人が「健康的」でないと、
説得力が低下する。

医師から看護師、保健師、栄養士、
そしてレントゲン技師、
さらには、事務職まで、
直接・間接に人の健康を支える者は、
内面はもちろん、
外観においても健康でありたい。

身だしなみは、
まずもって自身のもっとも身近な環境である。
(厳密にいえば、自分の鼻や耳、手や足の形、
皮膚の色、髪の色つやも〝外部〟環境である)
それらの環境は、当然、情報をもっているが、
環境を読み解くリテラシーがないと、
ただの物質でしかない。

赤いパンツを履いて元気が出る人、
シルクのパジャマを着て寝ると眠りが深くなる人、
新しいジャケットを着たとき、
いつも以上に姿勢がよくなる人などは、
「衣環境」に対するリテラシーがある人
ということになり、
その効果は、自分および周囲の環境に影響を与える。

「衣環境リテラシー」を向上させるためにも、
上記の講座で、各自がヘアメイクやフェイスメイクについて
「私の流儀」として2分間のプレゼンテーションを
していただく、という宿題は有効であったと思う。

講師の身だしなみとプレゼン内容を
同時にチェックされる研修会は、
そう多くはないはずである。

原稿を用意する必要はなかろうと、
途中から、メモに頼らないプレゼンに変えた。
なんたって「一流の講師養成」である。

ところで、
『広辞苑』は「身だしなみ」をこう定義する。
「身のまわりについての心がけ。頭髪や衣服などを整え、
言葉や態度をきちんとすること」
身だしなみには、「言葉」や「態度」も含まれる、
というところは注目点である。



が始まるのに合わせたかのように、
NHKラジオ(第2放送)が
カルチャーラジオという伝統ある番組で、
『ファッションはどう変わるのか』という
3回シリーズを放送してくれた。

ラジオ番組用に再構成して放送するもの。
司馬遼太郎さんも、ドナルド・キーンさんも、
かつてこの番組でお話をしている。

『ファッションはどう変わるか』の講師は
「パーソナルスタイリスト」
「ファッションレスキュー」を名乗るキャリアのある女性。

3回のテーマは、
「自分に合った服とは」
「コロナでファッションの行方はどうなるか?」
「似合うをどう構築するか」
なんと魅力的なタイトルだろう。

だがしかし……。
「人は見た目が9割」という説があるが、
「人は第一声が9割」という面もある。

妙に上から目線で、決めつけしゃべり。

それはいいとしても、
話の内容がつかめない。

「アフターコロナ」とか
「マインドフルファッション」とか
「マインドレスファッション」とか
「ダイバシティ」とかと、
カタカナ語をよく使うが、
1語1語の概念も定義もはっきりしないため、
「だから、こうだ」のように話が着地しない。

ついでにいえば、
「ファッションレスキュー」も
切ないネーミングではなかろうか。

ファッションも絵画も、
コトバで説明するのはむずかしいが、
この講師の話は、言語心理学的な価値がある。

1時間も話し続けながら、
なんとも独りよがりの観念先行、だから抽象的で、
ほとんど内容がない、
聞き手の行動に影響を与えるような考え方の提示も
アクションプランもない。


そういう講演というのが存在することを知った。
言語学者必見の講義である。

よくぞここまで空っぽなしゃべりをする人を
見つけだしてくれたものである。
反面教師として、
これ以上の事例にはめったに出会えないと思ったので、
急いで録音をし、養成講座の受講者に聞いてもらった。

「言葉や態度をきちんとすること」に従えば、
「パーソナルスタイリスト」を名乗っていても、
「身だしなみ」に不備がある、ということになる。
われわれの講座に参加してくれれば、
「倍返し」どころか、
100倍にして返してあげるのに……。

「食コーチング養成講座」の話に戻ろう。
女性の表情が「チーク」(わが用語では「頬紅」)の補強で
みなさんからも「オーッ!」と声が出るほど輝きが増す。
こういう環境に男1人、居合わせる幸運を感じる。

いまは「オンライン」に頼らざるを得ない時期だが、
講義、講演というアナログ形式のコミュニケーションスキルは
なくなることはない。
群れ行動をする動物は、
個体と個体の接近、接触、向かい合いを
基本的行動とする。
そこに戻らないと心身の健康は保てない。

小原秀雄氏(動物学者)によれば、
ヒトは自ら村や町、都市という檻に入って
「自己家畜化」してきたが、
それでも、対面しての情報交換は捨ててはいない。
ということは、
講義・講演のテキストや、
チークによるメイクアップのスキルは
これからも磨く必要がある。

この「講師養成講座 第6回」を行なった翌日、
10月25日(日)には、
「食ジム」 第91回
「身だしなみを磨き続けるには どんなことが必要か」
というテーマで終日、話し合った。
(座長/甲斐和恵さん 横浜市技能文化会館)
プログラムは以下のとおり。

1. 「ここだけの話」……TPOの読み違いや準備不足のために、
その日の身だしなみで 「やっちまった物語」。
2.「私は見た!」……職場で、会合などで、 その人の身だしなみに
ドッキリ、ビックリの事例集。
3.現在・過去・未来、身だしなみが見事と思った同性・異性、
いま、お手本にしているあの人、あのコーディネート。
4.キーワードや
フレーズを50個、あげるとすれば。(印象、ヘアスタイル、衣服、
アクセサリー、イメージなど)
5.身だしなみを磨き続けるためには、どんなアクションがあるか。


経過は省くが、項目「4」の
「健康的ではない身だしなみとはどういうものか……」で
思いつくままにみんなであげてみた。
その一部をあげて、今回のブログは閉じよう。

*年相応という考え方。
*覇気のない表情。

*姿勢が悪い(猫背など)。
*歩き方に力がない。
*ブラシや櫛が通っていない髪。

*輝きのないメイク、または過剰なメイク。
*聞き取りにくい小声。
*(おっさんのような)品のないくしゃみ(「ウェックション!!」)

*場違いの大笑い。
*首筋から胸まわりが見えるシャツ。
*ダブダブ、パツパツの服装。

*服を選ぶとき「一生着られる」を基準にする。
*香りすぎる過剰香水。
*日焼けを避ける過剰な防御(黒ずくめ、忍者)

*中身がパンパンのバッグ。
*どこへいくのもエコバッグ。
*領収証などでパンパンの財布。

*茶、灰色、オリーブ色(国防色)の衣服。

*シワシワ、毛玉、よれよれの衣服。



*靴の中敷きが汚れている。
*「終活」に励む高齢者、それをすすめる識者。

以上。
▲ by rocky-road | 2020-10-29 20:28 | 食コーチング師養成講座