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ローマとヒロシマの物語。

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コミュニケーション研究会 ひろしま≫が主催する

コミュニケーション力強化のためのセミナーは

5年目を迎え、年4回シリーズの1回目が始まった。

2018114日 広島県三原市)

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今回は『一冊まるごと 渡部昇一』

(致知出版 20184月発行)

という本をテキストに使い、

渡部先生と塩野七生(ななみ)さんの対談部分を読んだ。

この対談ページのタイトルは

「『ローマ人の物語』に学ぶ将の条件」

「将」は「将軍」の将、

ここではリーダーのことである。

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渡部昇一氏(わたなべ しょういち/

山形県鶴岡市生まれ。19302017年)は

上智大学文学部英文科を卒業後、

同大学の教授を長らく務めた学者であり著述家。

海外生活期間もあり、

学識が深く、腰の据わったリアリストでもあった。

私は1980年代から、氏の雑誌論文を愛読し続けている。

テキストに使った本は、

渡部氏が4人の学者や論客と行なった対談をまとめたもの。

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1日で全部を読むのはムリなので、

今回は、塩野七生氏との対談部分。

(月刊誌『致知』の20082月号に

掲載されたものの再掲載分)

塩野さんが登場するページを選んだのは、

旧来の日本的、女性的な論法ではなく、

リアリティのある、切れ味のよい発言を

女性たちに知っていただきたいから。

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塩野さんは、1937年、東京生まれ。

学習院大学文学部哲学科卒業。

イタリアのフィレンツェへ留学して以降、

イタリア関連の著作を続けている。

大作『ローマ人の物語』は、

1992年から年1冊のペースで発表し始め、

2006年に全15巻を完結した。

対談は、その2年後に行なわれたもの。

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大作を書きあげたばかりだったので、

対談の冒頭、こんな発言をしている。

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塩野 「長年2000年以上前の人たちとばかり

 付き合ってきたから、

 生きている人とお付き合いするのが下手になっちゃって、

 うまく話せるかどうか心配ですが(笑)」

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こういうジョークがさらっと出るところに

知性と大人を感じる。

一方、別のところでは、

『ローマ人の物語』には

戦争の叙述もしっかり描かれていることを

渡部先生から指摘されると、

こう応じている。

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「もともとチャンチャンバラバラが大好きなので(笑)。

ローマの歴史というのは、大半は軍事の歴史ですよ。

ただ、その戦況の進展を示す図ですが、

司馬遼太郎先生は印刷までは

させていらっしゃらないようですね。

やはり戦争は悪だというのは私も賛成です。

しかし、もろもろの事情で、

仕方なく突入してしまう。

その時、名将が指揮した戦争は

味方の犠牲が少ないだけでなく、

敵の犠牲も少ないんですよね」

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こういうことをさらっと言える人が

女性に限らず、日本にどれくらいいるのだろうか。

「戦争は絶対いけない」というところで

思考が止まってしまう、というより、

平和志向をポーズすることにすり替えてしまう人が

圧倒的多数のこの国では、

どうすれば戦争を防げるかを

理論的に考えることを放棄してしまう。

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スポーツチームが強くなるには、

「メンタルとフィジカルが大事」という。

ここまでの思考はできても、

オールジャパンを強化するには何が必要か、

を考えようとしない。

うっかり考えると、

与党議員や公的立場の人の場合は

野党から吊るしあけられたり、

軟弱メディア(ほぼすべて)からは叩かれたりする。

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これほど人為的に思考を止めてしまうと、

モノの道理も世の中の動きも見えなくなってしまう。

おバカに生きることを強要されるのは、

食事を与えられないのと同じくらい

人間にとっては辛いことである。

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その辛さを忘れるには、

家の中でも食事中でも、

歩きながらでも、スマホをのぞき込んで

視線や思考を狭めないと、

ストレスを緩和できないのかもしれない。

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きょうの新聞(1113日 読売)には、

女性雑誌の広告が出ていたが、

著名な作家が

「誰にも邪魔されない『私の時間』」というテーマで

書いているか話しているのか、しているらしい。

特集は、その作家に「学ぶ」だとか。

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邪魔の入らない「私の時間」が作れないなんて、

大人の言うことではない。

そんなことすらできないとは、

警察か税務署に尾行でもされているのか。

恥ずかしげもなく、

メディアでそういうことを公言する

女性作家の視野の狭さ、社会性のなさは、

「極上の孤独」を提案する作家にも通じる。

5歳のチコちゃんに叱ってほしい。

「ボーっと生きてんじゃねぇよ!」

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そんなカマトト女性論者にはならないためには、

塩野さんのような、スケールの大きな論説に

触れておくことは意味があるだろう。

いや、バカ予防のためというよりも、

論理的思考のできる自分づくりのために、

2000年間、ローマ暮らしをしてきた

骨太の日本人から学ぶことは意味がある。

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渡部/塩野対談では、

「知力」(インテリジェンス)の大切さを

しきりに語り合っている。

「知力」は「知識」ではないこと、

「知力のある人は他の人が見えないものが見えるんです」

などなど。

そして言う。

「日本のリーダーには(説得力が)

一番欠けているんではないでしょうか」

「なぜスピーチが大切かというと、

やっぱり人間はみんな希望を持ちたいんです」

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(セネカ/ローマの哲学者)のコトバとして

「人間にとつて最後まで残るのは希望なんだと。

だから希望を与えること、つまり我々はやれるよ、

と思わせることがリーダーの

一番大切な仕事なんです」

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さあ、人の健康を支える

健康支援者というリーダーとして、

知力をどう強化するか、説得力をどう磨くか、

希望をどう与えるか。

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人の行動に「ダメ出し」しかできない人間には

縁のない話である。

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1日セミナーの最中、

45分間休みを取って、

地元のお祭りを見物した。

主催者のスケジュールである。

夏の水害のため、予定していたお祭りが

114日に延期開催になったのだという。

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邪魔がめいっぱい入る雑踏の、

なんと楽しいことか。

これぞ「極上の人混み」である。

ここでも知力は磨かれるのである。

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by rocky-road | 2018-11-13 21:10