
10月から11月にかけて、
セミナーや旅行・出張が続いたので、
脳にやや負荷がかかった。

10月3日の千葉県教育委員会のご依頼による
「人を惹きつける『給食だより』8つのポイント」から始まり、
中旬の沖縄・座間味島へのスノーケリングツアー、
戻ってすぐに11月15日の能登教室、
「栄養士という職業のリーダーシップのカタチ」
能登から京都に入ってパルマローザ組と
雨の京都散策、1人で京都市動物園見物。
そして、
11月22日の遠距離クラス
「ステップアップの行動学」
23日、食生活プログラムスのシリーズセミナー
「食を楽しく語るための用字用語」

セミナーの数や日数としては
さほど騒ぐほどのことでもないが、
短期間に「中身の濃い」(?!)
テキストをつくるのに
軋みの出ている脳が悲鳴をあげた。
血圧計の出番を待つまでもなく、
顔がほてって、血圧の上昇を感じた。

編集者時代、
スタッフのミスでページに不足が出たとき、
その修復に1時間ほど没頭したあと、
急に耳鳴りが始まった。
その耳鳴りは、
以来30余年、いまも続いている。
そのときの気分に似ていた。
今度はどこに来るのか、
脳か耳か眼か、
が、セルフコントロールで、
なんとか発症を抑えた。

それはともかく、
リーダーシップ論にしろ、
用字用語にしろ、
従来の栄養士向け、健康支援者セミナーには
なかったテーマなので、
対象者のニーズに沿ってテキストを作るのに
少なからず頭を使う。

リーダーシップといえば、
世の中は
「オレについて来い型」(率先垂範型)が中心で、
健康支援者のような
「あと押し型」(カウンセラー型)の
研究やデータは見つけられない。


「あと押し型リーダー」とは、
視力障害アスリートのサポーター
(伴走や合図役)、
ベビーカーを押す親などのイメージ。
ベビーカーを押す親は、
子どもが関心を示すような対象物に、
それとなく近づいて、気づかせる。

クライアントの好ましい行動を見つけたら、
そのことを適切なコトバで指摘し、
それが評価に値することを気づかせ、
その行動を定着させ、
さらに発展への動機づけとする、
これはベビーカーを押す親の
ポジションに似ている。
うしろにいても、子に動機づけはできる。
(クライアントを
子どもにたとえているのではない。
ポジションの話である)

「用字用語」もまた、
出版、新聞、放送関係で使われる、
専門用語といってよいが、
これを健康支援者に解説する意義と興味は
大いにある。


食関係者であれば、
「用字用語とは、料理の食材に当たる」といえば、
ほぼわかってもらえる。
にんじんや肉を渡せば、
だれもが料理を作れる、というわけではないが、
料理になじんでいる人なら、
素材の大事さはわかる。

発話および文章は料理に当たる。
単語を一定の順序で並べるのが言語表現である。
「ヤバイ」「バカ者」「ウチら」「自分的には」
などという素材(コトバ)を使う人の
言語表現(料理)と、
「人間」「愛」「幸せ」「利他行動」などの素材を
使う人の言語表現とは、
盛りつけの風景は異なる。
(うまいかまずいかは、食べる人にもよる)

個人および社会の健康度をあげることを使命とし、
人々をあと押しする健康支援者が、
自分の使う言語表現素材を
見直すことに意味がある。
「胃にやさしい」「ヘルシーな食材」
「行動変容を促す」など、
素材の吟味ができていないコトバを使うことの
危うさ、弱さを認識することは、
プロのセンスをどれくらい高めることか。

能登での「リーダーシップのカタチ」の
講義の途中で、
受講者から指摘があった。
「テキスト中に『後押し型リーダー』
という表記と、
『あと押し型リーダー』
という表記法との2つのがありますが、
なにか意味がありますか」

テキストづくりのミスである。
「あと押し型」で統一するつもりが、
1か所、「後」となっていた。
この場合、どちらでもよいが、
不統一は好ましくない。


横浜での「用字用語セミナー」の
1週間前に当たる、
能登での「リーダーシップのカタチセミナー」で
講師の「用字用語」の誤りを指摘する受講者の
言語センス、
あと押し型リーダーとしてのセンスのよさを感じて、うれしかった。

▲ by rocky-road | 2015-11-24 16:37