海つながり、食つながり


↑→写真右:『マリンダイビング』500号記念号 写真左:ツマグロモンガラ
ダイビング雑誌のパイオニア、
『マリンダイビング』500号記念号が届いた。
創刊は1969年、私がダイビングを始めたのは1964年。
この雑誌が出たときの喜びは大きかった。
ダイビングという、まだ少数派のレクリエーションが、
世間に認知されるきっかけの1つとなると思うと、うれしかった。
編集者として、この雑誌の編集には
期待するところが大きかった。

その直後、縁があって編集のお手伝いをすることになる。
水中写真家として、すでに著名であった館石 昭氏は、
ご自身が経営する水中造形センターから出すこの雑誌に
プロの編集者の力を借りたい、とおっしゃり、
「レジャー雑誌ではあるが、社会に出すには、
しっかりとした国語を使った、文化的に
恥ずかしくないものにしたい」とその理由をつけ加えた。
編集者にとっては、ぐさっとくる殺し文句である。

以後、25年あまり、この雑誌や、
そのあとに創刊された『海と島の旅』
『マリンフォト』などのプロデュースにかかわることになった。
おかげで、館石さんからは、
撮影テクニックの基本、写真評論など、多くを学んだ。
趣味としてのダイビングは、いまも続けているが、
出版プロデュースの仕事は、
海から健康、食へと移った。
『栄養と料理』の編集長時代は、
まだ海関係の出版にたずさわっていたため、
あるとき、『栄養と料理』の読者から、
こんな問い合わせがあった。
「編集長は、あのダイビング誌の大橋さんですか」
つまり、海と食とがここでつながった。
当時、創刊45年あまりをたっていた『栄養と料理』の読者と、
当時は創刊10年あまりの『マリンダイビング』の読者とが
クロスオーバーしたのである。

この号で第11回 水中写真コンテスト
グランプリ発表。大橋が受賞
編集を仕事にする人にも、専門と非専門とがあり、
得意と不得意があるが、
基本的には、どんな情報でも扱うし、扱わなければらない。
私は、「編集とは情報を収集や再構成などによって、
新たな情報体を創造すること」と、定義している。
録画画像からコマーシャル部分を除く、
1日のできごとを3行の日記に書く、
自分の仕事にネーミングし、名刺などを作る……
これらには、大きな割合で編集作業が伴う。
私が「編集は社会人としての基本スキルだ」というのは、
このことをいう。
そして、情報の受け手は、おおむね「人」である。
そして、人の仕事は、直接・間接的に人を対象にしている。
人を知ることが、けっきょくは編集の原点である。
ヘルスプロモーションはもちろんのこと、
食事相談にも食育にも、「編集」が伴い、
いずれも人のモチベーションを洞察する仕事ではないか。
by rocky-road | 2008-10-03 00:09

