いざ、鎌倉!!

けさ、ゆうパックで新刊本が届いた。
『野菜の達人 レシピ』
日本文芸社編、B5変型のハンディな料理書。
構成はフレンチ、イタリアン、
中国、日本、ベトナムの料理人が
担当する30ページ、
後半の90ページは高橋幸乃さんが
受け持っている。
この春、わがロッコム文章・編集塾の塾生の1人、
高橋さんから「書籍の料理制作の依頼があったけれど、
どう対処しようか迷っている」と相談を受けた。
フードコーディネーターで、
ネットで食関係の情報提供の仕事をしている人だから、
この程度のことに対応できないはずはない。
「なにも迷うことはない。イージス艦に乗ったつもりで
やりなさい。いくらでも応援するから」と励ました。

出版プロデュースとは、
企画からプロジェクトチームの編成までを請け負う仕事だが、
今回のケースは、後方からの援護射撃にとどまる。
とはいえ、いつ援軍出撃の命が下るかわからない。
が、案ずることもなく、
彼女は仲間の援助を得て、2か月足らずで
128ページ本をさらりとやり遂げた。
突貫作業で銭ハゲができたといっていたが、
申し分のないできばえである。

社内にしっかりした編集者がいるらしく、
初登場の料理研究家をうまいこと使いこなした。
著者名が出ないのは残念だが、
実績には違いない。
自分で売り込まないかぎり、
めったなことでは本の依頼などない。
一生に2度とないチャンスを逃す手はない。
少なからずの慎重派の彼女だが、
どうやらそれは、世をはばかる仮の姿らしく、
なんということもなく100点ほどのレシピから
料理づくりまでを受け持った。
見返しにサインを頼んでおいたら、
何回か練習をしたのち、「恵存」と毛筆の書を書き込んで、
ようやく送ってくれたのである。
こうしたケースは、だれにもあるとはいえない。
それならば、自分で企画して売り込めばいい。
版元には優秀なプランナーがいると思うのは錯覚である。
近年、編集者教育が不十分で、
どこの版元にも、そうそう優秀なプランナーなどいない。
未来の著作者には、「専門分野は自分こそ最高のプランナー」
という自負が必要。
よい企画は、自分で売り込まないと、向こうからはやっては来ない。
いずれにしろ、「いざ鎌倉!!」(わかるかな?)に備えて、
適応力やファイトという「槍」(やり)を
いつも枕元に置いておきたい。
by rocky-road | 2008-08-13 21:51