ゾウは鼻が長い。

b0141773_15443053.jpgb0141773_1545121.jpg











栄養士を対象とする講演会やセミナーで、
どんなテーマのときにも、
栄養士の社会進出を促す要素を入れることが多い。
「社会進出」にもいろいろあるが、
肩書きや経済的豊かさ、名声などをイメージしてのことではない。
栄養士の資質をがもっと社会に反映されるように
アクションを起こしてほしいと思ってのことである。

「在宅栄養士」というコトバが、
いまも使われているのかどうか、
全国的な事情はわからないが、
「在宅文学士」や「在宅経済学士」などといったら
世間の人は笑うだろう。
資格の有無よりも、いま、または将来、
なにをし、なにをしようとしているのか、
それが問題であろう。

社会への貢献という点では、
たとえば「食事バランスガイド」のような、
実効性のないシステムが流布するのを
止めることができなかった責任の一端は、
やはり栄養士の怠慢にある。

「ゾウは鼻が長い」という構文を知っていると
「キリンは首が長い」という文章も作れる。
しかし、モモンガという動物を知らないと、
鼻が長いのか、首が長いのか、
なにと比べたらよいのかさえ、わからず、
文章そのもを組み立てられない。

日々の食事をメニュー単位で管理しようというのは、
「ゾウは鼻が長い」というような構文を覚えれば、
モモンガのことも、フンコロガシこともわかる、
といっているようなものである。
単語(食事の場合は食材)を知らなければ、
食事の体系は整わない。
できあいのものしか選べないというのは、
なんとも窮屈な発想である。

人はとかく、自分の専門を他人にやさしく教えようとするとき、
相手の理解力を過小評価する。
年は若く、人生経験も不十分で、
知力も低めに見積もる。
レベルの低い者に合わせることも、
登山などでは必要だが、
人々の意識を高めようとするとき、
無気力、怠惰、思考力不足の者に合わせるようとすると、
周辺の者にバカが移る。
幸い、そこまでのバカは実存せず、
それは関係者の空想が生み出した
バーチャルリアリティである。

「食事バランスガイド」は、1人暮らしの男性をイメージした、
と開発者の1人が講演会で語っていたが、
自分で食材を買わない人をイメージしたのでは、
日本人のあらゆる階層に末永く活用してもらうわけにはいかない。
関連官庁は、例の「1日30食品」の失敗を繰返したことになる。

このケースは、ひとりの栄養士だけの問題ではないが、
世間知らず、人間知らず、情報発信の原則知らずの食関係者が、
少なからずかかわっていたはずである。
膨大な国家予算を使いながら、
たぶんこれは普及することはない。

栄養士の社会進出とは、
こうした国家的なヘルスプロモーションにかかわり、
継続的に国民の健康向上にかかわること、
それも1つのカタチである。
栄養士は「栄養士」によって自分を縛ってはいけない。
もっと先の先まで見通すアタマを鍛えよう。
 

by rocky-road | 2008-07-25 15:45  

<< テールライト(尾灯)で前方を照らす。 アロハ、着るか着られるか。 >>