和食は世界の食文化に。

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「食ジム」 第142回、

 「日本人の「食」の現状と

 今後の方向性を考える。」が終了した。


 2025年7月19日(土)

 座長/永野幸枝さん

 アドバイザー/影山なお子さん 大橋禄郎

 会場/横浜市 関内ホール 

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進行プロットは、以下のとおり。

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1.食シーンや食習慣に関して、

私って日本人だなぁ」と、

つくづく感じることのあれやこれや……? 

2.今回の「米騒動」によって、日本の食料環境や、

  日本人の行動様式について感じたことは? 

3.日本の食品や食文化、日本人の食行動、健康観が、

  今後も、世界にどういう影響を与え続けるだろうか。

4.健康支援者として、日本人の健康や幸福度を

高めるために、公私にわたって、どのような

アクションが求められるか。

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個々の経過はほかの方に譲るが、

「駅弁が食べられるし、車内で食べる食事は格別」

「おにぎり文化と、種類のバラエティ」

「世界の料理を日本流にアレンジし、

それが自己満足ではなく、

本場の人にも『うまい』といわせる」などの指摘が印象に残った。

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米騒動については、

私の見解をご披露させていただいた。

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「マスメディアは、パニック情報を好むところがあって、

品薄とか物価高騰とかを、各メディアが競って追いかける」

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それらは、マスメディアの習性であって、

「いつもと同じ」では「ニュース」にはならない。

その昔のオイルショックがきっかけとなった

トイレットペーパーの買い占め騒動、

「黄変米(おうへんまい)騒動」(輸入米に青カビ)、

そして2年前のコロナ禍。

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マスメディに「心休まる情報」を期待するのはムリ、

と考えておいてほうがよい。

話が飛躍するが、

現在進行中の各地のクマ被害がよい例。

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クマは怖いが、しかし、いきなり猟友会が駆除するのではなく、

共存の方法を探りたい。

「人間は厄介な存在」であることを

クマたちに知らせる方法はいくらもあるはず。

(駆除してしまったら、そういう情報は

クマの社会に伝承されない)

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ではどうするか、その対策を専門家に取材するなどして

報道すればよい。

しかし、専門家といわれる人とは言え、

クマを追い払うアイディアは、あまりなさそうである。

撃退法は、素人でも、1時間も考えれば、

50個や100個くらいのアイディアは浮かぶはず。

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ハンドサイレンの携行、各種スプレーの噴射訓練、

クマ追い払い用の花火や水鉄砲(薬液入り)の携行、

さらに徹底するなら、

弓道・棒術・槍・薙刀(なぎなた)愛好家による威嚇、

スポーツ選手による、クマ追い払い競技……などなど。

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マスメディアは、〝あったこと〟は派手に報道できるが、

まだないことの対策の提案は苦手。

このあたりの傾向を前提に、

「何かあったら、対策は自分で考えこと」を

自分用の信条として準備しておくとよい。


防災対策に専門家が生まれたように、

クマとの共存法対策も、

資格制度をつくって活躍してもらえばいい。

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クマには休んでもらって、

ここは、「食ジム」の話。

話を戻そう。

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日本の食文化の普及は、まだ始まったばかり。

文明は先進国によってリードされるが、

いや、文明(ライフインフラの普及や、

船舶や飛行機、武器などの開発など)を

リードした国が先進国となるのだが、

文化というものは、文明とは別の筋道で進化する。

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日本のような島国には、

他国の影響を受けても、

それをアレンジして独自のものを生み出す地の利があった。

豊富な水資源、湿潤環境ゆえに腐敗が早い、

そこから生まれる衛生感覚、

海外の雑音に惑わされることなく、

使い勝手のよい物品を生み出す実験室のような国土と、

非専制的、非収奪的な為政者……

などのお陰で、文化的洗練度を高めた。

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先進国の人たちは、

ようやくそのオリジナリティとクールさ(「イケてる」「カッコいい」)に

気がついた、というわけである。

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米を「主食」とする献立の知恵とバリエーション、

箸を前提とした茶わんをはじめ食器各種、

しょうゆと、しょうゆ差し、

正座して、集中しての食事--「いただきます/ごちそうさま」

食材と献立の季節感、朝・昼・夕食らしさ、

魚、肉、野菜の調理法のバラエティ、

日本酒の産地の多さに応じた味のバラエティ、

食材や料理の鮮度を保つ知識と技術……

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それらは当たり前のこととして

2000年以上、伝承されてきたが、

地球規模で見れば、

培養器の中で発達実験を行なってきたようなものである。

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日本酒愛飲家としては40年程度の〝駆け出し〟だが、

日本酒は〝つまみ〟を前提とした酒である。

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この点は、味や度数の強い焼酎やウイスキー、ウオッカとは違う。

日本酒は、食塩を〝つまみ〟にしても旨い飲料である。

日本酒を基準にすれば、

ワインでさえ、味や香りを主張し過ぎる。

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欧米人に〝つまみ〟の習慣がないのは、

酒そのものを味わう文化だから、ということだろう。

日本酒の場合、口の中で酒とつまみとが混じると、

旨味のエキスでくるむ状態になる。

まさしく〝つまむ〟ための飲料である。

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培養器のフタがあけられた。

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かくして、

日本型食生活も、寿司もおにぎりも、

箸も食器も、日本酒も

世界の食文化の中に組み込まれることだろう。

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サラダは、

ボウルの中の食材を、

フォークで追いかける料理ではなく、

コーンもミニトマトもマッシュルームも、

箸で、つまんで食べる料理であることが常識になるのは、

そう遠い話ではない。


1つの懸念案件は、

生ものの扱いに慣れていない人たちによって、

いつか、大規模な集団食中毒が

引き起こされる可能性があること。

数十人、いや、数百人の被害者が出るかもしれない。

このとき「日本食は危ない」という、

誤った認識が生まれないことを祈る。

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最後に、

「食ジム」プロットにあった

「健康支援者として、

日本人の健康や幸福度を高めるために、

公私にわたって、どのようなアクションが求められるか。」

について。


この日の「食ジム」が終わった帰り道、

参加者の1人が、バスの中で

高齢の女性から声をかけられたという。

「ステキなバッグですね。あなたの雰囲気に合っているわ」と。

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ここから始まって、

その女性がシアトル(アメリカ)から数十年ぶりで

帰国中であることも話題になった。

打ち解けて話しているうちに、

その女性が言ったという。

「おしゃれしてる方を応援したくなっちゃうの」

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このご報告を受けて感じたのは

これぞ「健康と幸福のカタチ」ではないか。

ステキなバッグを持っていると声をかけられる、

とは決まっていない。

声をかけたくなる温かさが、

声かけをしやすくさせる。

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このケースでは、

食ジム帰りの人の表情が、

バスの中の健康環境そのものであった。

身だしなみや、魅力的なバッグだけでは、

声をかける決め手にはならない。

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ここでのポイントは表情。

表情にはお金だけでは調えられない情報がある。

「表情は社会に対する、文字のない伝言板」と

言ったことがあるが、

まさにその事例。

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日本人の健康度を高めるアクションのポイントで

案外、面倒なのは表情や言動であろう。

昔の日本人は、見知らぬ人に声をかけた。


行列のときの前後の人、乗り物の中で隣の人、

病院や公共施設での隣の人。

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それがいまは、スマホをのぞき込むだけで精一杯。

日本の食文化が世界の食文化になりつつあるいま、

健康支援者に求められるのは、

日本人の心身の健康度を、

言動で表現することではないか。

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戦後しばらくは、

道で外国人旅行者に声をかけられると

逃げ出すのが日本人だった。


世界の食文化の新発祥地に住む日本の健康支援者としては、

国内・国外を問わず、

フレンドリーではあるが品格のある態度、

それを「健康のカタチ」として示すことであろう。

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by rocky-road | 2025-07-25 18:57 | 「食ジム」

 

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