一生×百菜、満載。
宗像伸子さんが残したお料理レシピが
スタッフによって再現され、料理書となって復活した。


オーナーを失ったヘルスプランニングは、
立ち上げ当初からのスタッフ、
山脇ふみ子さんによって引き継がれ、
いまも経営を継続している。

宗像さんのお料理は、質素で清潔。
ハッタリや押しつけがない。
まさに人柄そのものである。
この点もしっかり継承されている。


一方、
今回、刊行された新刊
『シンプルだけど体にいい! 主菜×副菜』の
編集を担当したのは群羊社。
群羊社については、このページでも話題にしたことがあるが
(2022年10月)、
ユニークな料理書、フーズガイド、
食育関連の書物などで知られる出版社である。

社長の藤原眞昭(まさあき)氏と奥さんの勝子さんは、
私の女子栄養大学出版部時代の同僚。
お2人は、のちに結婚され、群羊社を立ち上げた。

女子栄養大学出版部時代の話になるが、
この編集部で、健康ものの料理書をシリーズで出し始めたころ、
女子栄養大学の栄養クリニックに所属していた宗像さんにも
お声をかけてご協力を願った。

当時、健康書シリーズの担当者が眞昭氏であった。
当時、眞昭氏は、
原稿用紙の使い方さえわからなかった宗像さんに
ていねいにアドバイスをして、
「健康になるシリーズ」など、多くのヒット企画を進行した。

私が『栄養と料理』時代に企画した
「フーズデータシリーズ」
(『食品の塩分早わかり』『食品のエネルギー早わかり』など)や
「ガイドブックシリーズ」(『毎日のおかず640種の エネルギー
塩分 たんぱく質ガイドブック』など)の時代には、
藤原夫妻は、群羊社を立ち上げていて、
これらの書物の編集を全面的にお願いした。

芸術作品から商品企画まで、
あらゆる企画には、
制作者のカラーは出るもので、
それは時代を越えて継続される。

今度出た
『シンプルだけど体にいい! 主菜×副菜』も
例外ではなく、
送られてきた本の表紙を見た瞬間、
「これは藤原作品だな」とすぐにわかった。
その特徴は、使い勝手よく作られていること、
レイアウトがシンプルながら見やすく、使いやすいこと、
文字数が少なく、理屈よりも実用……などにある。

こういう料理書を作れる編集者は激減し、
この系列では継承者は出ないことだろう。
そういう意味では、記念碑的な1冊となる可能性がある。

昔、だれがいったか、
「料理は瞬間芸術」という表現がある。
手や口、舌で味わう芸術作品は、
確かに料理以外にはない。

それでも今度、
亡き宗像伸子の料理は写真で再現された。
そして、そのスタッフは「ヘルスプランニング・ムナカタ」。
宗像伸子は、
亡くなって1年半後の2025年6月現在、活躍中である。

人の寿命は、生きた暦の年齢よりもずっと長い。
クレオパトラや紫式部がそうであるように。

業績、作品、想い出、思想、感性、スキル、
レシピ、写真、社名……。

ページをめくりながら、
改めてそのことを実感している。

by rocky-road | 2025-07-04 23:06 | 宗像伸子先生