講話・講義・講演力は、人間の器。

昨年11月24日から、
3回シリーズとして開催された
「一流を目指す講話・講演力――
これでもか100本ノックシリーズ」が、
今年の2月2日で終わった。
(主催/食コーチングプログラムス)

何度も言うことになるが、
日本人は、複数の人に向けて話をすることが得手でない。
各種スピーチ、講話、講演、他者の紹介(俗に「他己紹介」)
などなどである。

きょうも、日本中の学校や職場で、
教員、上長が、講義や講話、訓示を
行なっているだろうが、
その半分、いや、おそらく80%くらいは
「少々難あり」状態ではなかろうか。

またまた、この話になるが、
ギリシャでは、2500年も前に、
奇跡的に民主主義が生まれ、
そこでは、人々からの支持を得るための
弁論術や修辞法が生まれた。
「ソフィスト」という話力指導のプロが現われ、
ここから哲学が生まれる。

当時、日本はまだ縄文時代を、
ゆったりと歩いていた。
地政学的に民主主義が生まれる余地はなく、
ゆるやかな君主制の中で、
人生40年時代を送っていた。

それから2500年。
日本は近代化し、それにつれて民主化したが、
伝統というよりも、民族性と見るべきか、
協調性を大事にするメンタリティからすると、
複数の人に大きな声で自説を述べることは
「はしたない」ということになるのだろう。

けれども、教育機関でよい講義をすることは
次世代の資質を高めることになるはずだし、
楽しいスピーチは、
集まった人をハッピーな気分にさせるはず。
そして、職場での上長の楽しいトークは、
スタッフのモチベーションを高めるはずだし、
栄養士、健康支援者の温かい問いかけは、
健康度のさらに高い社会環境を生み出すことだろう。

現在の日本の「トーク不得手事情」を
もはや歴史や地政学のせいにしてはいられない。
要はトレーニングをシステム化することを急ぐこと。
日本でも、かつて(40年前頃?)は、
「あなたは10人の前で話せますか」
などと謳う話し方教室がいくつかあった。
いまは、どこへ行ってしまったのだろう。
そういうビジネスの復活を願いたい。

女性の講話力なら、
《食コーチングプログラムス》が
引き受けてもよいのではないか。
同様に、
小・中・高・大学は、
年に数回、講義のブラッシュアップをすべきだし、
職場でも、年に1回は、ブラッシュアップすべき。

社員・職員研修は、すでに行なっているだろうが、
「講話力」となると、見落とされている可能性がある。
そもそも、そういう潜在ニーズに気づいていないだろうし、
そのコンテンツもスキルも準備されていない。
となれば、
当面の〝つなぎ〟として、
わが大橋予暇研究所が引き受けるしかないか。

ちなみに、
今回の「100本ノックシリーズ」では、
料理教室の講師の講話力にも触れた。

料理教室講師で、
料理教室を活性化するための
講話・講義法を学んだ人はどれくらいいるのだろう。

それどころか、
自分1人、しゃべりまくって
受講者を減らしてしまう料理講師が、
なんと多いことか。
サロンの雰囲気をつくり出せないのである。

「他己紹介」についても取りあげた。
人を紹介する場合にもスキルがある。
これは、いつでも、どこでも行なわれているが、
それを「スキル化」する例はほとんどない。



しかし、どこで学んだのか、
影山なお子さんは、
このスキルが名人級に身についている。

そこでこのシリーズでは、
人を紹介するスキルもカリキュラムに入れた。

それも、1ひねり、2ひねりして、
大村桜子さんが、
「大石しずく」という架空の人物になりきって、
大村桜子さん(つまり自分自身)を紹介する、
という難度の高い設定で演習を行なった。

やればできるもので、
いくつかの失敗はあったが、
みなさん、100本ノックを受けていた。

講評は、講師1人がするのではなく、
参加者も、手をあげて指摘する。

それらの指摘には、姿勢、視線、発声、
立ち方、手振り、身だしなみなども含まれる。

この形式は、発話者にも、指摘する人にも学びになる。

将来、「スピーチ・講話・講演スキルアップ教育機関」が
カリキュラムを考えるとき、
参考にしてはどうか。




いずれにせよ
スピーチ・講話・講義力の低迷は
ナマ情報の質的価値(そこへ行って得る情報の
鮮度と情報量の多さと高さ)を
見失わせることにつながるし、
そもそも、国民の協調性、モチベーションを
停滞させる。



いや、日本に限らず、
いまは、地球上に、大演説をぶつことができるリーダーが
ほとんどいなくなった。

各地の紛争を引き起こした為政者たちは、
SNSかなにかで、つぶやいたりはするが、
世界に向けて堂々と宣言するリーダーは皆無。
要するにセコく、ショボくなった。


「久々にトランプが出て来た」と言いたいが、
思いつき発言が多く、理念にも品位にも欠ける。

今回の「講話・講演力 100本ノックシリーズ」が
ある栄養士会のセミナーで、
たまたま聞いた医師の無気力講演が
ヒントとなって発案されたこととも
通じるところがある。


反面教師の存在価値を、
それなりに実感させてもらった。

とはいえ、やはり講話・講演力の向上は、
人々の健康度をあげ、周囲の人をハッピーにさせる。


今回、このシリーズを受講した人たちの人的環境が
今後、どのように変わってゆくのか、
追跡調査をしたいところだが、
大調査になり過ぎるので不可能。

次善の策として、
参加者のみなさんに、ご自分のまわりに限って
調査を続けていただきたい。
快い人間環境が生まれているはずである。

結果の一端が出るのは
5年後、10年後になるだろうが、
気長に吉報を待つことにする。


by rocky-road | 2025-02-07 21:40 | 講話・講演力強化セミナー