歳を気にする、これだけの理由。

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去る3月10日に開催された

「食ジム」 第128回、

テーマ「年齢にこだわりすぎる日本人の世代観を

栄養士の立場で改善するためには、

どのようなアクションがあるのか。

(座長/山同紀子 神奈川技能文化会館)

このテーマに沿って、日本人と年齢観について考えておこう。

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話し合いの項目は次のとおり。


1.「聞かれてもいないのに、

自分の〝歳〟を口にする人」「歳の差にこだわる人」

「歳のことを話題にしたがる人」……といえば、

まず頭に浮かぶのは……「あの人」や「この人」!!

2.①日本人が歳にこだわる理由をいくつあげられるか。

②それでも利点は……。

では難点は……。

3.歳を気にしない人といえば、この人。 

  その人から、どんなことを学べるか。

4.日常生活や、健康支援の場面で〝歳〟の話題が出たとき、

どんな対応をすればよいか。

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このテーマ設定のコンセプトは、

年齢に過度にこだわることを、

プラス/マイナスで天秤にかけたとき、

多分にマイナスに働く、という前提による。


後述するが、人生100年時代ともなると、

還暦だの古希だのといった概念は、

新幹線の乗車券を東京から大阪まで買ったのに

目的地前の、

静岡や名古屋あたりで途中下車することを

すすめる結果になるのではないか。

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年齢を話題にする文化は、

日本に限らず、ほぼアジア全域に広がっている。

そのルーツは中国にある。

中国の十干十二支(じゅっかん じゅうにし)、

1か月を10日間という単位で3つに区分すること(上旬、中旬、下旬)、

子、丑、寅,卯(ね、うし、とら)など、

年代を12の動物単位にして表わす暦(こよみ)の発案。


2100~2200年前の時代としては

先端的な学術的、科学的な思想であり、知見であったから、

アジア全域に広がったのも当然である。

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そのうえ、2000年以上たったいまも

〝現役〟として、立派に通用しているのである。

アジア人にとって、

これぞ、世紀の大発見であり、

行動の原点となる人生観にもなっている。

その利点としては、

1歳でも年長の者を敬う思想が定着し、

人々に自制的、抑制的なライフスタイルを植えつけた。


この価値観は、家庭から大小のコミュニティ、

さらには、広く社会全体にまで浸透し、

家庭から地域、さらには、国の秩序の維持に役立っている。

この点は、欧米の能力主義とは対照的である。

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礼儀正しい行動様式は、

たどっていけば、

「年齢を気にする」文化の延長線上にある。

……というようなことは、

こういうテーマで話し合う機会がないと、

なかなか思考の対象にはなりにくい。

(儒教の裏打ちはあっただろうが)

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しかし、その一方、「年功序列」のシステムが定着し、

「抜け駆け意欲」や、ギラギラした野心を抑制するほうに作用し、

独創的な思考やシステム、発見・発明が

生まれにくい社会を生み出した。

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食ジムでの話し合いでも、

年齢に関しては、みなさん、たくさんの体験や事例を持っていて、

話題は尽きない。


*初対面の人から、最初に年齢を聞かれる。

*しばらく話し合ったあとで、「40代と思っていたけど30代なのね」

*保護者会のときに集まったお母さん方から、まず歳を聞かれる。

*年長の男性は自分から歳を〝名乗る〟傾向がある。

*人のうわさをするとき、年代を話題にする。

*職場では歳の話は出ないのに、

トイレなどで(油断していると)「あなた、おいくつ?」

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日本人の多くは、話題づくりを苦手とするが、

その原因は、年齢を話題にするあまり、

話題づくりの能力が発達しなかったことにあるのか、

いやいや、もともと話題づくりがヘタだから、

歳の話題に逃げるようになったことにあるのか、

これは「鶏が先か卵が先か」の議論で、

結論は出しにくい。

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なにはともあれ、

アジア人が、欧米諸国とそれなりに共存しているのだから、

「十干十二支」が致命的なリスクにはなっていないことは

認めなければならない。


それどころか、

災害時に互いに助け合う協調性や

公共の場や物品を壊したり汚したりしないマナーは、

多大なメリットと考えるべきであろう。

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もっとも、年長者を敬う文化は、

日本人の場合、「親方日の丸」的体質、

つまり「長いものには巻かれろ」

という価値観を生み出したところもある。

そして、アジアに独裁国家が少なくないのも、

「権威に弱い」文化が根元にあるからだろう。

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さて、栄養士・健康支援者にとって、

年齢は、どういう意味を持つのか。


前述のように、

60歳未満の〝青年〟に

「もう、オレも、今年還暦だから……」

などと言わしておくのは、

目的を果たさずに途中下車をする

いわば、「食い逃げ行為」のようなライフスタイルを

助長することになるから、

ここは、なんとかブロックする必要がある。

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少し前に、このページにも書いたが、

88歳の能天気人間が、

新聞の人生案内欄に「終活の教科書はないか」

などと、第三者に意見を求める投稿をしていた。


別の日、この欄には、

20代の女性から、

「自分は現実主義で夢がない、夢はもったほうがいいか」

との投書があった。

これに回答した哲学教員が、

「夢はもたなくてもいい」と、答えていた。

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この現状は、

人生を持て余している者がいかに多いかを

如実に物語っている。

米寿を迎えた高齢者も、

大学生に哲学史を講じる教員も、

「人生の使い方」が、

まだよくわかっていないようである。


21世紀の日本には、

人生100年時代を迎えながらも、

個人または国家の方向性が定まっていない、

という、悲しくも恐ろしい現実がある。

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だからこそ、栄養士・健康支援者の出番なのである。

「年齢を気にする人が多い」

「歳に関する話題が好き」という文化を逆手にとって、

年齢のデノミネーション(単位切り下げ)を促進すればいい。

そのための基本知識として、

次のことを自分のものにしておくことである。

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*「十干十二支」は、2200年前の暦学によるものであること、

当時の中国の平均寿命はわからないが、

おそらく30~50歳の範囲であろう。

その時代だからこそ、

還暦(60歳)や古希(70歳)、米寿(88歳)に

深い意味と価値があった。

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それから2000年以上たった現代日本の

「人生100年時代」に当てはめると、

まさしく「途中下車のすすめ」にもなってしまう。

*高齢や長寿の延伸の意味は、

ただボケっと「長くこの世にいる」ことではなくて、

その活力を周囲の人や社会に及ぼすことにある。

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何度でも言うが、

「自分は1人で存在しているわけではなく、

多くの人に支えられているのだから、

時間があるときには、少しでもお返しに充てる。

そのことが、結果として自分の人生を活性化し、

日々が楽しくなる」

(「終活」などと言って、人のお役に立たないことに

時間や労力を使っているヒマはない)

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*前人未踏の長寿時代には、

イキイキ人生のお手本が少ないから、

世のため、人のための「お返し人生」は

あとに続く人のお手本になる。

そのお手本の一端を担うことを

仮に「お手本活」とでもしておこうか。

(語呂が悪いので「てほん活」とでもするか)

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*歳を気にする人、歳の話題が好きな人に対しては、

こんな問いかけを用意してはいかが?

「この会には年齢制限があるのですか」

「チコちゃん式に言うと、5歳プラス……どうしましょう?」

「あなたの歳と足して何歳になるか、暗算してみません?」

「90歳のご自分のイメージは?」

(「そこまで生きているはずないじゃない」と言われたら)

「では、60歳のイメージは? 

(現在の年齢にプラス10歳まで、ハードルを下げてみる)」

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「あなたが知っている長寿の人には、

どんな方がいらっしゃる?」

(☆きんさん 107歳 ☆日野原重明 105歳、

☆淡谷とし子 104歳 歌手・淡谷のり子の妹)


なんだかんだ言っても、歳には強くなろう。

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by rocky-road | 2024-03-22 22:40 | 「食ジム」  

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