「名古屋から京都へ」の時代。
食にかかわるとはいえ、
まったく業種の異なる3つのグループの集まりに、
連日参加した。
1日目は、
わが地元、北区の健康増進部健康推進課が行なった、
「北区 楽しい食の推進員会」10期生を対象とした養成講習会。
ここでは、影山なお子さんによる
「食生活を輝かせるために知っておきたい7つのポイント」
(「食コーチング」の視点から)
という午前中の講義のあと、
午後に、「おいしさ100倍の食シーン撮影入門」
というコーナーを担当した。
2日目は、藤原勝子さんが校長時代の
ジャパンフードコーディネータースクールの同窓会。
1982年に発足したこのスクールだが、
いまは別経営のスクールになったため、
元校長が参加する同窓会は今回が初めてであった。
元・講師として、これに出席した。
3日目は、食コーチングが主催する「食ジム」第125回。
今回のテーマは
「栄養士は後輩たちに、栄養士という職業の魅力を
どのように伝えてゆけばよいか。」
(座長 三宅理江子さん
アドバイザー 影山なお子さん/大橋 )
3つのコミュニティは、個々に活動をしていて
互いの交流はない。
しかし、それぞれに関わった者から見えてくるのは
「食」を通じて社会に貢献しようという参加者のモチベーションであり、
日本人の健康寿命を支える柱としての役割である。
北区の「楽しい食の推進員」も、
「食ジム」参加者も、主体は栄養士である。
フードコーディネーターにも、
栄養士の肩書を持つ人が少なくない。
栄養士および食生活の社会史を振り返ると、
栄養士の働き場所は、主に病院であったが、
フードビジネスが盛んになると
(その社会背景には、女性の社会参加がある)
病院以外のところにも、
栄養士の活躍場所が広がっていった。
このとき、「栄養士」という肩書は、
フードビジネス向きとは感じられないところがあり、
別の肩書が求められるようになった。
このニーズに応えるべく、
「フードコーディネーター」「フードスペシャリスト」
「食育コーディネーター」「食生活アドバイザー」など、
資格を与える短期養成校が数々生まれた。
「管理栄養士」と「フードコーディネーター」との比べ方として、
どちらが養成機関が長いか、
どちらがお金がかかるか、という点を基準にすれば、
迷うことなく前者である。
したがって、「栄養士の資格があるのに、
なぜわざわざ〝フード系〟の資格までとる必要があるの?」
そういう疑問を持つ〝外野〟が多かったのは当然である。
が、今度、フードコーディネータースクールの同窓会で、
何人かの人と話をしていて、
やはり、この資格には意味があった、と感じた。
「いま、どんなお仕事をしているの?」と尋ねると
「カフェを開くにはお金がかかるので、
カフェを開きたい人のサポートをしています」
そしてBさんは
「メディアで働きたいという人を売り込む仕事をしています」
さらにCさんは、
「カフェプランナーの仕事をしています」
Dさんは、
「大学の教授をしています」
養成期間や払った学費の多寡とは関係なく、
みなさんしっかりご自分のポジションを得ている。
人と人とを引き合わせるコーディネーターという仕事は、
社会が多様化するほどに、ニーズが高くなる、
いや不可欠な仕事となってくる、
ということであろうか。
いま思えば、
日本を代表する大手の食品会社にいた人も少なくない。
その人たちが、
いまはフリーのフードコーディネーターとして活躍しているではないか。
「あの会社にいたときと、いまを比べたら、
どちらに達成感がある?」
そういう野暮な質問は、もちろんしなかったし、
する必要もなかった。
答えは表情や話しぶりに書いてあつたから。
そして思った。
「楽しい食の推進員」も、
「食コーチ」も、
健康を軸足にした、人生100年時代のコーディネーターなのだ、と。
人生100年時代の説明の仕方として、
こんなストーリーを考えて見た。
仕事関連の出張か、ほかに、なにかの都合で、
東京の人間が名古屋まで、年に何回か通っている、としよう。
名古屋までの間、車中で何をするかは、
経験的にわかってくる。
「この本を読み切る」「この雑誌を買って読む」
「ケイタイでブログの下書きをする」
が、事情が変わって、
名古屋への定期的出張先が京都に変わった。
名古屋から京都までの時間がプラスされたとき、
「読む本は少し厚めのものにする」
「週刊誌はやめて月刊誌にしよう」
「車窓から低山だけを撮ろうか」
「人生100年時代」とはそういうことだ。
名古屋から京都までは睡眠時間とするか、
米原で途中下車して1泊するか。
「あなたのお好きなように」
どう過ごせばよいか、定まらない人が多い。
そういう人に、アドバイスをするのが、
「楽しい食の推進員」であり、「食コーチ」であり、
「フードコーディネーター」であろう。
「100年時代」とは、
出張先が遠くなる、ということであり、
車中で過ごす時間が長くなる、ということである。
by rocky-road | 2023-10-27 23:21