「人生100年時代」だから、栄養士にはやることいっぱい。
今年も担当させていただいた。
(2023年1月7日(土) 10時30分~17時30分
会場/かながわ 労働プラザ)
「人生100年時代」は、一種の流行語であり、
キャンペーンのキャッチフレーズのようにもなっている。
しかし、歴史的には「人生50年時代」もあったし、
「80年時代」もあった。
私が子供のころ歌った『船頭さん』という歌は
「♬ 村の渡しの船頭さんは 今年六十のおじいさん
年をとってもお船を漕ぐ時は
元気いっぱい櫓(ろ)がしなる♪」
であった。
私が生まれた1936年ごろの
日本人の平均寿命は男46.92年、女49.3年であった。
そういう時代であれば、
60歳は立派な(?)おじいさん、おばあさんであっただろう。
いま、孫やひ孫は別として
60代の人を「おじいさん」「おばあさん」と呼んだら怒られるだろう。
現在86歳の私の場合は、
孫にも「おじいさん」とは呼ばせず、
ずっと「ロッキー」で通してもらっている。
ともあれ、
時代時代で「人生何年」などと、
なんとなくではあるにしても、
レースの距離を想定しておくことには意味がある。
ゴ―ルまでの距離がわからなければ、
スタミナの配分をすることさえできない。
そうはいっても、
寿命というものは結果論であって、
死の直前に「私は予定どおり100歳まで生きた」
と言い切る人は少ない。
高齢者に「長生きの秘訣はなんですか」
という陳腐な問いかけをする風習があるが、
これはいわば儀礼的な問いかけであって、
そこには科学的なエビデンスはない。
「毎日、晩酌をすることだよ」
「散歩を続けること」
「仕事を楽しんですること」
「恋心を持ち続けること」
などと、百人百様の答えがあろうが、
それは万分の一ほどの後づけ理由であるから、
ここでは、「ほう、そうですか」と
オーバー気味に共感しておけばよろしい。
今回の新春セミナーのメインテーマは、
栄養士が「人生100年」時代に、どう着いてゆくか、
いや、どう人々の健康を後押しするか、である。
戦前、戦後の栄養不足、体力不足の克服から
1960年代には肥満~成人病~生活習慣病対策へと
ポイントが移り、そしていまは、
フレイルや認知症対策をどうするか、
ということが問題となっている。
栄養士は職業柄、
「フレイルの一因は、たんぱく質不足」というところにだけ反応して、
それ「サバ缶だ」「肉や魚をしっかり」などと、
あたかも高齢者が言う「長生きの秘訣」のように
事態を単純化して、「秘訣化」してしまう。
健康支援者の支援の思想やスキルに、
ライフスタイルの見直し、
モチベーションの強化という要素が
絶望的に欠けているため、
健康支援者のそれぞれの分野で、
養成教育ができていない。
管理栄養士の資格試験に
行動療法やコーチングの考え方を取り入れる
という話を聞いたことはあるが、
そもそも、それを指導する教員の養成ができていないので、
水を上流から流すことなどできはしない。
生活習慣病にしても、つまるところはライフスタイルの問題。
そのことに気づきながらも、
真正面から対処しようとしないで、
遠目に見ながら、
話題を「食卓」の話に矮小化し続けてきたのが、
ここまでの、およそ60年であった。
栄養士は、
ライフスタイルやモチベーションアップの専門家ではないが、
食行動の中にも、
ライフスタイルを向上させること、
モチベーションを高めることはたくさんある。
定刻に食事をとる習慣、
同席の人と語り合って食事をする訓練と習慣化、
献立の名称(主菜、副菜など)を覚えること、
1日にとりたい食品を覚えることなど、
一見、栄養学と離れるようなことも、
結果として人生を活性化する。
「人生100年時代」には
「身体的フレイル」予防以外にも、
「精神的フレイル」や「社会的フレイル」予防にも
栄養士がひと肌もふた肌も脱がねばならないことがたくさんある。
ほかに、適任者がいるのなら、
それらの人に任せればよいが、
1日3回の決まりごと(日常茶飯事)に
かかわれる人は、ほかにはいないのだから、
栄養士がやるっきゃない。
それは、栄養士にとって
生きがいを感じる楽しいことではなかろうか。
―――――――――――――――――
ここからは、
2023年1月8日に行なわれた「食ジム」の補足。
(第117回食ジム
「『健康のカタチ』としての
身だしなみには、どんな方向性があるのか」
座長/三上聡美さん 横浜市技能文化会館。
詳細は影山なお子さんのブログ、
「スタンバイスマイル」を参照)
ここでは、新春の初夢として、
WHO「健康身だしなみ委員会」からの諮問という想定で、
その評価基準をみなさんとあげてみた。
それを元に、整理してまとめてみよう。
「身だしなみの評価基準」
*TPOに合っていること(冠婚葬祭、仕事、ご近所など)
*その人の体型、行動目的に合ったサイズであること。
(フィット感、ユニフォーム、ゴージャス、シンプル)
*素材にバリエーションがあること。
(保温性、通気性、強度、シワになりにくい=ポリエステルなど)
*メリハリのある色柄であること。
(健康な色の例=白、赤、オレンジ、ピンク、青、緑、黄。
要注意の色は、グレー、茶、オリーブ色など)
*コーディネートされていること。
(3色以上になるときは要注意)
*類型的でないこと。
*デザインが古過ぎないこと。
*シワやほころび、褪色が目立たないこと。
*衣服は自分にもメッセージを送り続ける。
(冴えないもの、古いもの、ダサいもの、
フィットしていない服、人には見えないインナーでも
自分のモチベーションや健康度を下げる)
以上。
by rocky-road | 2023-01-15 23:51 | 「食ジム」