座間味島よ、See You Again.
去る10月5日(2022年)、那覇滞在中に
日帰りで座間味島を訪ねた。
2015年7月以来、7年ぶりである。
長らくお世話になった島のペンションも
とっくにクローズしてしまったから、
そんな慌ただしい島訪問にならざるを得なかったが、
日帰りで取って返すとは、
いかにも島を軽く見ているようで、
島には申しわけない気がした。
ともあれ、久々にここに来ることができた。
いつも思うことだが、
「ここには何回目だろう」と
当てもなく振り返ったりするが、
ログブックの十数冊をチェックするヒマはないから、
座間味訪問回数は永遠に不明である。
それでは釈然としないので、
初座間味島はいつであったかと記録を調べたら、
1973年8月24~30日、
東京潜泳会の仲間と10人で訪れたことがわかった。
このクラブの発足は1964年だから、
9年目にして、
ようやく沖縄の海にたどり着いたことになる。
もう、これまでのようには、
ここには通えなくなる可能性もあるので、
座間味島での海体験を記録しておこう。
小学校以来の仲間とつくった《東京潜泳会》という
スノーケリングクラブが、
座間味にたどり着くまでには、
神奈川県の三浦半島、
静岡県の伊豆半島、
東京都の伊豆七島のうちのいくつか、
やや遠出しても南紀の串本、
四国の土佐清水、
日本海では佐渡島などを潜り歩いていた。
サンゴの海を知らぬままに
海の旅を続けていた者たちにとって、
座間味島の美しさは、まさに絶句である。
いや、正確に言うと
「大変、大変」と叫ぶことにもなる。
初めてこの島を訪れた女性会員が、
海の中をのぞいた瞬間に発した二言が
「大変、大変」である。
ウエットスーツを着始めていた私は、
浅瀬で事故でも起こしたのかと思って駆けつけたら、
海中の魚の種類と数の多さに驚いたゆえの絶叫だった。
のちに私は、
ダイビング雑誌の連載記事の中で、
このときの海中の様子を
「魚図鑑の綴じ糸が切れて、
各ページが散乱しているよう」と書いた。
さて、座間味島への旅。
年に1回のときもあるし、3回のときもあるし、
行かなかった年もあるし、だから、
年1回×49年=49回というわけにはいかない。
推計だが、多くて35回、
少ない場合は25回というあたりでは、なかろうか。
それでも、25回ほど通えば、
「古座間味」というビーチの地形も
季節ごとの魚の種類もわかってきて、
水中カメラマンにとっては
スタジオ的に、使い勝手のよい場所になる。
スキューバダイバーは
もっぱら海底を目指すが、
それを何回か経験している過程で、
光がたっぷり届かないそういうエリアは、
自分の趣味には合わないと思うようになった。
その結果、ますますスノーケリングの特性を意識し、
海面周辺、さらには海面と海上の両方を写す
「半水面」という撮影法を自分の特技とするつもりで、
そのエリアをウォッチングすることにした。
東京潜泳会も「スノーケリングの東京潜泳会」と
名乗るようにした。
このように撮影エリアを絞ったおかげで、
自分のレパートリーや表現力に
オリジナリティが出てきたし、
そこそこ納得のいく写真が撮れるようにもなった。
実際、ここで撮った写真は
コンテストに入る比率が高くなった。
以下に、それらの作品を掲げておこう。
昼下がりのミズクラゲ
富士フィルムコンテスト/ネイチャー部門
銀賞 (1986年)
富士フィルムのフォトコンに最初に入選したのが
この作品である。
これは古座間味ビーチではなく、
阿佐というビーチで撮った。
魚になる術
NHKテレビ「遊々専科」
(1989年放送。30分番組)
この番組は、
本業のある人が、
どんな余暇活動をしているかを紹介するシリーズで、
どういうルートなのか、
私のところにもコンタクトがあって、
座間味行きのツアーを
取材班が訪ねるということになった。
このころは、
東京潜泳会を後輩に任せて、
私は《スノーケリングピープル》
というクラブを運営していた。
ツアー中の私たちのグループに、
天野慶子さんというアウトドア系のライターが加わり、
この人にスノーケリングを教える、
という設定だった。
この番組は毎月、週末の夜に放送された。
おもしろかったのは、
私自身、初めて見る映像に集中しているのに
あちこちから電話が入り、
「クラブに入れていただきたい」と
申し込んでくるのだった。
録画はしていたが、
本人は、この段階では放送内容を
ほとんど見ているヒマがなかった。
わんマンショー
第29回よみうり写真大賞
一般の部 1席
(2008年)
入選作品は『読売新聞』に載った。
ペンションのオーナーと、
飼い犬のサランの協力を得て撮った1作。
自分では、タイトルのネーミングが
うまくいったと思っている。
フエダイ夏模様
富士フィルムフォトコンテスト/ネイチャー部門
優秀賞(2009年)
しばしば聞かれることの定番は、
「いままで行った海の中で、
いちばんきれいな海はどこ?」
いちがいには言えないが、
透明度、魚の種類と数の多さ、
魚との距離、砂地の輝きなどで言えば、
座間味島は
モルディブにも、カリブにも、
トラック島にも、フィリピンのあちこちにも
負けることない、と答えている。
2023年以降、
ふたたび座間味島に渡ることはあるのか。
それはモチベーションの問題というよりも、
何を、どう撮るか、というアイディアの問題である。
by rocky-road | 2022-12-16 00:01 | 沖縄