日本や世界の健康は、わが家から。

3月21日(月/祝)、
第108回「食ジム」が終わった。
(横浜市技能文化会館)
テーマは、
「栄養士として、家族の健康と食生活を
支えるには、どんな方向性があるか。」

このテーマの趣意は、
人の健康を支える栄養士自身、
自分の家庭・家族の健康や食生活を
どう支えているのか、どう支えるべきかを
考えることである。

昔は「医者の不養生」とか「紺屋の白袴」
(こうやのしろばかま)とかの諺(ことわざ)が
よく使われたが、
いまは、知る人も使う人も少ない。
意味は、「とかく専門家というものは、
自分のことはあと回しになりがち」ということ。

今回の食ジムは
栄養士は、家族の健康管理、
家族の食生活維持に手抜かりはないか、
それをチェックするのがテーマ。
栄養士の場合、
自分の健康管理、食生活管理の怠慢は、
医師の場合以上に
健康支援をする相手への影響が大きい。

無表情、不愛想な栄養士や、
「外食はダメ」「飲酒はダメ」
「豚カツの衣は、はがして」などと
「指導」している栄養士は
むしろ、人々の健康向上にブレーキをかけている。

そこで今回の話し合いの話題は、以下のとおり。
1.私がいま、このように健康(不健康)なのは、
わが両親のこんな育て方、健康観、食生活……。

このコーナーでは、自分の健康の理由を
コトバで説明するトレーニングと
健康・不健康の理由を分析する機会とした。
家族から刷り込まれる健康観がいかに大きいかを
実感するきっかけになれば幸い。

2.家族や、だれかさんが、私の「健康のカタチ」や、
食行動、お料理などについて、
肯定的に指摘してくれたこんな事例、大公開!!

だれもが人からほめられた経験をもっている。
それを振り返って見つけることで、
今度は自分が人の利点を認める視力を養うことができる。

3. 「隣の芝生は限りなく灰色」あのお宅の、気になる
ライフスタイル(考え方、言動、食生活、ほか)。

好ましくない事例を見つけ、それを反面教師しとして
自省のきっかけとする。
この場合「隣の芝生」は、かならずしもご近所だけを
指すものではないという見込みであったが、
「隣」に引っ張られて、話題が「ご近所」になりすぎた。

昔のクラスメイト、先生、職場の同僚、
仕事で出会った人などに、
健康上、気になる人は少なくないはず。
それを分析してみる意味はあるだろう。
それにしても、
ご近所には、心の病に近い人が
少なからずいることが明らかになった。

4.家族や、接する人の食と健康を支えるための、
ライフスタイルに関する12か条。

このコーナーの狙いは、
健康支援者がどういう「食と健康」に関する
哲学をもっているか(いわば大原則)、
その適正度や自負、自信が
人を支えるときのバックボーンになることを
確認し合った。

人の健康を支える人がもつべき必要条件として
こんな事項があがった。
*明るい・大きな声でのあいさつ。
*憧れをもち続けること。
*余暇活動(趣味や旅行など)の充実。
*好奇心をもつ。
*寛容さ、受容性。
*食卓をはじめ、いろいろの楽しいシーンを
コーディネートする能力を磨くこと。

ここであがった「好奇心」については、
少し補足が必要だろう。
好奇心は自然発生的に生まれるものではない。
人に話す、人から聞かれる、
日記や手紙を書く、文章を書く、絵を描く、
写真を撮る、俳句や短歌をつくるなど、
情報発信がまずあって、
その素材として、
情報収集への動機が高まる。
これが「好奇心」のメカニズムである。

「12か条」は、
時間的な制約で十二分には出しきれなかったので、
以下に大橋案をあげてみよう。

*社会や人と連帯感をもつ。
人は持ちつ持たれつで生きている。
自分が人によって支えられていることを自覚し、
死ぬまで人への貢献に努める。
(「孤独のすすめ」などは犯罪的)
「生かされている」は流行語化して
軽いニュアンスになったが、
確かに人は生かされている。
「人のお役に立つ」を習慣にすると
強いモチベーションになり、
生きがいや自分の健康を支えてくれる。

*「ライフスタイル観」を持つこと。
「人はなぜ生きるのか」ということと同じだが、
人の健康を支えるとき、
その人がどういう方向に向かって
どう生きようとしているのかを
話し合いの中から推測し、
それを補強するようなアプローチをする。


「どんな生き方をしたいですか」「人生観は?」などと
問いかけるのは野暮中の野暮。
衣服の選び方、食事の内容、
自分の仕事の説明の仕方、
余暇活動などから、それを推測する。

*接する人たちに、
食事時刻を守ることの意味、
1日に、何を、どれくらい食べたらよいのか、
どれくらいがスタンダードなのかを
自主判断できる能力をつけさせることこそ、
栄養士にとって、生涯にわたる使命の1つと心得る。

*人は健康になるため、病気にならないために
生きているのではないことを
肝に銘じる。

では、なんのために生きているのか。
いろいろの意味で「楽しむこと」である。
(社会秩序を守りつつ)「楽しみ」を求めることは、
結果的に健康法の基本。
「楽しみ」は享楽ではなく、創造である。

*そして最終的には、
「健康の6大要素」を実践すること、
人々に実践することを(それとなく)すすめること。

①栄養。計画性のある食事(時刻、何をどれだけ、 団らん)

②運動。歩く、出かける、筋トレ、肉体労働。

③質のよい休養(グタッと寝ていることではない)

④ストレスコントロール(この6か条を実践すること)。

⑤よい人間関係の維持・発展。(人に生かされている)

⑥生きがい。いつもテーマをもって暮らすこと
(今晩の予定、あしたの予定など)。
「生きがい」とはモチベーションそのものである。
by rocky-road | 2022-03-23 23:29 | 「食ジム」