「生涯現役」のカタチをイメージする。
2021年9月26日(日)の食ジム第102回のテーマは
「生涯現役を支えるライフスタイルと
モチベーションを、どう維持・強化するか」
(横浜市技能文化会館)
座長/山同紀子さん
アドバイザー/影山なお子さん 大橋
進行テーマは以下のとおり。
1.私が知っている「生涯現役」の人のカタチ(活動、
年齢、学びたいところなど)とは、あんな点、こんな点。
2.定年退職後、または、仕事を離れたのちに、
「やりたい・続けていきたい」仕事、社会活動、
余暇活動、ライフスタイルとは……。
3.生涯現役を支えるライフスタイルとモチベーションを
維持するためには、どんなアクションプランがあるか。
4.健康支援者として、生涯現役を目指すことと健康との
関係をどう理解し、どのようにクライアントを支えれば
よいのか。
このテーマを考えたり、話し合ったりするとき、
肝心なのは「生涯現役」とはなにか定義しておくことである。
それをしておかないと、目標や議論のポイントがずれる。
概念が定まっていないこういう用語については、とくに。
講演にしろ、講話にしろ、講義にしろ、
自分の掲げたテーマについて
定義をしてから始めるのがルール。
とはいえ、世間では、そうしない講師が圧倒的に多い。
「フレイル対策としての食生活」
「食事でホントウに免疫力がつくのか」
などの講演を行なうとき、
講師は、まず、「フレイル」とはなにか、
「免疫力」とはなにか、
自分の考える定義を示してから始めるのが
正しい情報を伝えようとする者の義務であり、礼儀である。
「経済的活動(仕事)をはじめ、ボランティア、
地域活動、政治活動、信仰、勉強会などを通じて、
社会貢献や自己実現を伴う組織的活動を、
年齢とは関係なく、
定期的、継続的に行ない続ける状態をいう。」とした。
不幸にも病気や事故で急死した場合、
その直前まで上記のような活動をしていたとすれば、
「生涯現役を貫いて亡くなった」と表現できるし、
超高齢期の人が、引きこもるような生活をしていれば、
「現役の時代は○○年前に終わっていた」
または、「生涯現役とはいえない生活」
などと見ることになる。
ほかの方々に譲るとして、
ここでは「生涯現役」とはなにかについて、
もう少し考えてみよう。
「生涯現役」は経済活動だけを指すものではない、
ということと、それは生涯の目標というよりも
結果であるという点である。
なにをもって「現役」とするか、
この場合の前提は、社会活動および組織活動であろう。
「役」(えき)には
「①人民に労働を課すること。
また、その労働。『役務・服役・兵役・苦役』
②労力を使うこと。」(広辞苑)
などの意味があるが、
現代に当てはめれば、
単に「労力」を使うだけでなく、
社会に役立つことに労力を使うこと(発想力を含む)、
と考えていいだろう。
1人暮らしの人の家事を「現役」とはいわないが、
家族と自分のための家事は「現役」といえる。
病人や障害のある人、寝たきりの人の介護は
社会の一面を支えるという意味があるので、
「現役」としていいのではないか。
たとえば、切手集めや昆虫標本作りのための昆虫採集は
「現役」とはいえないが、
集めた切手をお金に替えて福祉活動に寄付するとか、
昆虫の標本を博物館やその他の公共施設に寄贈する、
とかの行為を持続的に行なう場合には「現役」といえそうだ。
祖先からの財産を公共団体に寄付するというのを
「現役」とすることにはムリがありそうだ。
いや、その財産が自分の労働によって得たものであったとしても、
いま現在、働いていない状態であって、
かつ持続的でないものについては、「現役中」とは考えにくい。
さらに投資家の場合はどうか、
このあたりのことは、
寄付のプロ(?)や投資などの経験のない部外者には判断できない。
「生涯現役」は、若い人の目標というよりも、
各人の人生の結果である、ということ。
「生涯現役を目標に生きていこう」というのは
モチベーションとしての意味はあるが、
イメージとしてはおぼろである。
それを元気のある限りは続ける、
その結果として、現役時代が長くなる、
という順序になるのではないか。
従来の「健康寿命」を漫然と延ばそうと努力することよりも、
いくらかは能動的で、かつ現実的であろう。
概念としては、
「生涯現役」という概念よりも後発の
「フレイル予防」や「認知症予防」よりは、
「生涯現役」のほうがいくらかは具体的で能動的ではある。
《注》「フレイル」→→心身の虚弱化。気力、食欲、
歩行速度などの低下、
話力(発話の機会、発声力、話題性など)の低下
などが複合的に起こる心身の状態。(大橋のここでの定義)
こういうことをいかにアクションプランにしていくか、である。
昨今のフレイル対策を見ていると、
フレイルの一因として、たんぱく質不足があると聞くと、
栄養士をはじめ一部の(であることを願うが)関係者は、
たんぱく質を与えることが
対策の中心であるかのように思ってしまう。
フレイルも認知症も、情緒不安も
子供の不良化や不登校も
あたかも栄養障害であるかのようなアプローチが
主流であるかのように思い込んだりする。
場合によっては、
食との関係はうすい要因である可能性について
想定ができないと思われるケースが少なくない。
目が赤くなった人について、
眼科の医師は「はやり目」を疑い、
内科医は高血圧症を疑い、
産業医は働きすぎを疑い……
などという比喩が昔からあった。
さて、
「生涯現役」のためのアクションプランとは、
日々の生活の中に、
いろいろのシステムをつくることである。
「健康の6大要素」を念頭に置くことである。
①栄養 ②運動 ③休養
④ストレスマネジメント ⑤よい人間関係の維持・発展
⑥生きがい(きょうの楽しみ、あした以降の楽しみ)
(④~⑥は大橋案)
あるいは生涯現役中の人のための、
アクションプランのごくごく一部である。
(これだって相当な努力を要する)
無表情は心の健康、周囲の快適環境のリスク。
表情の固い人は、
だれかにくすぐってもらってもいいから、笑う時間をつくる。
くすぐってくれる人がいない場合は、
ネットやCDなどで漫才、コント、落語などを視聴する。
パジャマではゴミ捨て、庭仕事などはしない。
食事のときは衣服を整える。
靴下、靴、履きもの、メガネなどのスペアを
必要度の1.5倍~10倍以上用意する。
これらは健康を左右する環境問題である。
*食事――1日に何をどれだけ食べるかという指針をもつ。
「4群点数法」もその1つ。
「食生活を歩くための食の地図」という別称も可能。
1日3回、定刻に食事をする。
1人でも「いただきます」「ごちそうさま」を唱える。
小食の人は4回、5回もあり。ただし「地図」は必要。
人並みか、それ以上。ご近所、買い物先の人との会話。
配達員、ご近所の人、同僚などへの心こもったあいさつ。
コミュニティ、グループへの参加。
人への献身、社会への貢献(「情けは人のためならず」)
★孤独をすすめる人を疑え!!
ショッピング、撮影、スケッチ、短歌や俳句の創作、
自転車・バイク・自動車などでの外出、
コミュニティやサークルへの参加など。
生涯現役を目指す人の目標として、
何人かの人が名をあげていた。
まさに、日に日に若々しく、謙虚で品格があり、
アクティブである。
「♪あんたが1番 わたしは2番
Ha! ドン! ドン! ♪」
(三好鉄生の「すごい男の唄」から)
by rocky-road | 2021-10-01 16:38 | 「食ジム」