オバサンよ、明日に向かって撃て!!

「食ジム」第99回について振り返っておこう。
(会場/神奈川近代文学館)

テーマは
「暦の年齢とは関係なく、
いつも輝いている人のライフスタイルとは……。」
座長/池田 麻理さん
アドバイザー/影山なお子さん 大橋


1.お歳をうかがってビックリ、「とてもそうは見えない」
あの人、この人。
「実年齢よりずっと若い」↔「実年齢よりずっと年上に」
2.いかにも「オバサン」に見えてしまう人のカタチとは。
(身だしなみ、コトバづかい、態度、考え方、人間関係……)
3.「オバサン」や「オジサン」を、
第三者が、若返らせることはできるのか。
あるならば、その傾向と対策。
4.自分の元気と若さを保つ99の法則。
そのためのアクションプラン。以上


ここでいう「オバサン」とは、
親族や子供からの呼称のことではなく、
そして実年齢のことでもない。
すなわち、実年齢以上に年長であるかのように振る舞ったり、
人の年齢を気にしたりする状態またはタイプである。

「タイプ」と割り切れば、それでおしまいだが、
こういう言動、さらには、こういうライフスタイルは
意欲や活力のレベルが低くて狭く、
自己の人生にも展望が乏しい傾向があるばかりでなく、
人の健康度まで下げることも少なくない。
その結果、まずは本人の加齢を促進することになり、
要するに、自他の寿命を縮めやすい。
この点において非健康的行動と言え、、
健康支援者にとっては支援対象になりうる。

自ら「オバサン」を目指している人、自覚している人は少ないが、
「オバサン化」している人の指摘ならばできる。
みなさんから提示されたものなどをまとめると、
こんなふうになる。

*姿勢(猫背、フラつき)、体型 (著しい肥満・やせ)
*白髪、手入れをしていない髪
*濃すぎる化粧
*強すぎる香水
*年齢の上下にこだわる(年少者や店員などには上から目線)
*キメつけの多い表現(「世の中ってそういうものよ!」)、
*空気を読まない発言(ホンネ過ぎる、えげつない指摘、
求められていない発言、孫や親せきの話が多い、非建設的な発言)
*人の名や事物、品目が不確か(「あの人、あれがさあ、なになのよ」)
*ていねい表現の喪失
……あげればキリがない。

どんな現象にも、かならず原因がある。
東アジア系の人の傾向として、
(儒教的ともいわれるが、くわしくは不案内)
親や祖先、家族を敬う伝統があり、
年齢の上下は、人とのコミュニケーションをとるとき、重要なポイントとなる。
そして個人的には、生涯を通じて年齢の行事(還暦、卒寿など)があり、
毎年、12種の動物の名を付したりして縁起の強弱を占う。
これらの慣習を尊重することが大人の分別とされてきた。

いまでは、これらが多分に形骸化されたとはいえ、
人格によってではなく、年長であることだけを
バックボーンにして振る舞う人は少なくない。
結婚し、子供を産むなど、
客観的な「オバサン資格」が得られると、
早いとこ「オバサン化」したほうが、
上位にランクされるので有利となった。

もっともそれは、
社会的ポジションが狭い人に限られることかもしれない。
人に誇れるのものは年齢しかないとなると、
「あなたより、1か月と3日、お姉さんよ」なんていうことになる。

男にも「オジサン化」はあるが、
長い社会的トレーニングのおかげで、
ある程度、抑える分別を身につけた。
その反面、学歴や所属会社、
肩書などで差をつけようとするクセはついた。

現代日本では、平均寿命が飛躍的に延びて、
健康寿命も生涯現役の期間も確実に延び続けている。
このような環境の中では、
「年相応」の生き方や、年齢に関する行事にこだわりすぎると、
加齢の速度を速める可能性がある。

それを避けるには、暦の年齢など忘れて、
つまり「年不相応」に、
きょう、あしたに、すべきことに傾注したほうがよい。
「明日に向かって撃て!!」(昔の映画のタイトル)は、
年齢には関係ないキャッチフレーズとなる。

そのためには、
年齢に関する行事、還暦だの古希だの、
そういうことに自分を合わせようとしないこと。
七五三や成人式くらいまではいいとして、
還暦や古希、米寿などとなると、
無意識的にも親や祖先の様子が浮かんだりして、
昔の高齢者のイメージが、自分をうしろ側に引っ張りがち。

昔の小学唱歌、『船頭さん』の歌詞は、こんな歌いだしだった。
「♪ 村の渡しの船頭さんは 今年六十のおじいさん♪
年はとっても お船こぐ時は 元気一ぱい 櫓がしなう ♪」
60歳は立派な「おじいさん」だったのである。

現代を生きるわれわれは、
生物として、人類として、適応への挑戦をしている状態にある。
過去の尺度に自分を合わせたりしているヒマはなく、
これまで地球上には存在しなかった、
ホモサピエンスとしての年齢を創り出そうとしているのである。

古代中国で3000年も前に生まれたという干支を
21世紀に生きる人類が基準にするのなんとも不思議で滑稽。
当時の平均寿命は、長寿者でも、ようやく30歳代か。
その尺度を、人生100年時代を目指す人類が使って
還暦だ、古希だ、丑年だ、午年だといっている事実。

それは、100円の人生を「30円に負ける」と
売りたたいているのと同じである。「70パーセント off」
これを悲劇と見るか喜劇と見るか、
な~も感じない人は、「オバサン化」進行中と考えてよい。

さて、プログラムの4にあげた
「自分の元気と若さを保つ99の法則。
そのためのアクションプラン。」
については、時間的な制約もあって
終点まで達しなかったので、
99のアクションプランを目指してあげてみよう。

*全行動の姿勢を意識する↓
胸を張る、猫背不可。手足の位置、カタチを意識する。
姿勢を正して食事をする(ながら食事は厳禁)。
キビキビ動く。日々、歩幅は広めに1歩1歩。
生涯、歩き方改革。

*頭・顔まわり↓
毎日・毎時刻とも、髪を整える。定期的に美容院へ。
終日、メイクチェック。化粧道具の更新(年1回は)。
ナチュラルメイク。 電車の中などで化粧をしない。
表情を豊かに。知らない街でも無表情で歩かない。
美しい笑顔を目指す。髪の色を美しく。
メガネ、マスクもおしゃれグッズと心得る。
ときどき寝顔のチェック(どうやって?)

*衣服↓
肌着に愛を。しかし古びたら見切りを。常に更新。
服選びにアドバイザーを(ブティック店員は不可)。
季節感を大事に。常にジャストサイズを(お直し実行)。
複数のブティックを定期的にチェック。

衣服、靴、バッグ、アクセサリーなどを適宜更新する。
衣服や靴、バッグなど、長く使っていることを自慢しない。
衣服や靴を手放すときは、リサイクルの可能性を考えて処理する。
寝具にもおしゃれと清潔感を。


*日課↓
洗顔、歯磨き、定刻のトイレ。通勤。学習。
その日のスケジュールの確認。約束時刻の厳守。
新聞・雑誌・読書・テレビ・ラジオ。家事。育児。歩行・運動。
夕食後もダラダラ過ごさない。日記を書く。
しばしばハガキ・手紙を書く。
入浴・シャワーの頻度をパターン化する。

*仕事↓
どんな人にも快いあいさつをする。
相手の地位や立場に関係なく、ていねいに接する。
仕事は楽しく。職場環境改善に持続的努力。よい人間関係の維持、向上。
きれいなお金を稼ぐ。勤め先に幸せを求めず、そこに幸せをもたらす。
家と職場との往復だけの生活を避ける。
「給料分は稼ぐ」のではなく「給料の数十倍、数百倍を稼ぐ」を目指す。
会議力・ミーティング力を磨く。

*「予暇」↓
グループ活動に参加し続ける。創造的な趣味・学習・研究をもつ。
年に数回は旅行をする。各種料理店での食べ歩き。
セミナー、講演会、映画鑑賞、コンサート、観劇、美術館、動物園、
公園、水族館、シーサイド・リバーサイド・山・丘歩きなどを続ける。

*友人、知人、縁者↓
それらの1人または数人とは、2日とあけず連絡を取り合う。
友人・知人と定期的に飲食を共にする。
予暇活動仲間と月に1回以上は会う。
旅行仲間がいる。年賀状や暑中見舞いを出し合う人を50人以上とする。
身だしなみ、メイクなどについてアドバイスを受ける人を見つける。

*食生活↓
1日に3回、ほぼ定刻に食事をとる。
季節の食材を楽しむ。
朝食、昼食、夕食の「らしさ」を意識する。
箸、茶碗など、自分の食器にこだわる。
自分なりの食事摂取基準を決めて実行する。
自分の足で食材を選び、購入することを習慣とする。
各種飲食店を利用する習慣をつくる。
間違っても暴飲暴食はしない。
調理技術のスキルアップを日々心がける。
年に6品以上は新しい料理を取り入れる。

*健康管理↓
身体・歯・目などの健康チェックを受ける、かかりつけ医がいる。
運動習慣・歩行習慣を続ける。気分転換、ストレス緩和の方法がある。
不眠・うつ・イライラ、頭痛、ドキドキなどの症状を慢性化させない。
毎日、笑う・ほほえむシステムをつくる(談笑、放送、落語、漫才、YouTube)。
部屋の掃除、洗濯、ふとん干し。
*コミュニケーション↓
常にていねい表現を心がける。タメ口表現をしない。
年齢の話に熱中しない。年上か年下かを過度に話題にしない。
年齢の上下で話し方を大きく変えない。
「若い」「若くない」をあまり口にしない。
手で口元を隠しながらしゃべることをしない。
人の悪口をいわない。人の話を最後までしっかり聞く。
自分のことを「オバサン」「オジサン」といわない。
場所をわきまえず大声で話したり笑ったりしない。
「どうせ」というフレーズを頻発しない。
折々のあいさつを物品送りだけですまさない。
年賀状では干支をテーマにしない。
「オバサン化」している人に、それとなくアプローチする。

*ライフスタイル↓
人生に目標を持ち、それに向けて生きる。
「自分らしく」「自分に正直に」という生き方をしない。
人々や社会に対して、人生をかけて「お返し」をするという方針を。
人に孤独や断捨離をすすめない、自分もそうしない。
終活をしない(最後の最後までがんばる)。
おばあさんぶらない(そういう論述、著作をしない)。
生涯現役を目指す(社会参加を続ける)。

さて99個に達したか。
ほかにあれば、それぞれに考えていただきたい。
忘れてならないのは、
人生は「オバサン化」「オジサン化」を避けるためのものではない。
それらは健康の検査値のようなもので、
ライフスタイルのチェックポイントの1つにすぎない。

人生とは、
〝明日に向かって撃ちまくる〟ことであり、
〝明日に架ける橋〟の工事に参加し、
そこを先頭きって渡るために、
by rocky-road | 2021-06-30 20:12 | 「食ジム」