あなたがいま燃えているものは?

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17412403.jpg

遠距離クラスの第48
回が終わった。

104日、横浜・技能文化会館)

ロッコム文章・編集塾は

毎月、数クラスを開講しているが、

遠距離の方、毎月参加がムリな方を対象に、

3か月に1回の割合で

1日研修の教室を開いている。

このクラスは、

20089月の開講して12年目になる。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17415167.jpg

今回の講義は

「思考と発想力をシステム化する。」

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17421916.jpg

ものを考える最良の場所として、

中国の欧陽脩(10071072年)は

「三上」をすすめたと伝えられる。

「馬の上」「枕の上」「トイレの中」(厠上/しじょう)

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17531833.jpg

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17443044.jpg
あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17420862.jpg
いわば「沈思黙考」にふさわしい場所である。

1000年前でも、

モノを考えるには

やはり人との「密」を避けて

静かに集中したほうがよい、

と考えていたところがおもしろい。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17441005.jpg

1000年後の現在、

思考法はさらに進化して、

「創造的集団思考法」

つまり「ブレーンストーミング」に至った。

アメリカ人、A・F・オズボーンの考案だという。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17450142.jpg
この方式は脳の中から

是が非でもアイディアをひねり出そうという、

超・積極的思考法である。

これに比べると「三上」方式はいかにものどか。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17454830.jpg

もっとも、日本人は、

「ブレスト」方式は苦手のようで、

自分でも雑誌の企画会議などで試みたが、

トントンと発言が出てこない。

仕方がないので、

レストランを借りて、

アルコール飲料も「あり」でやってみたが、

結果は同じである。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_18004464.jpg

欧米人のように

幼いときからディベートなどによって

討論する基礎トレーニングをしておかないと、

いきなりブレストをやっても、

アイディアがあふれ出すどころか、

シーンと静寂だけがあふれ出す。

なんとも息苦しい困惑の場面になる。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17451663.jpg

その点、食コーチングプログラムスが主催する

「食ジム」は、目的も方法も異なるものの、

「ブレスト」に近い形式になっている。

日本にブレストを定着させるには、

この「食ジム」形式を経験するとよい。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17563639.jpg

「頭がよい」とはどういうことか、

それは、定義によって意味が大きく変わるが、

少なくとも「思考力」や「発想力」は、

かならずしも頭の良し悪しには左右されない。

けっきょくのところ、システムとトレーニングである。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17583461.jpg

思考力や発想力は天性のものとか、

素質であるとかとはいえない。

そのことを認識するのが

今回の講義の目的であった。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17584539.jpg


この講義の過程で、

またまた新しい難題に気がついた。

思考力や発想力はシステム化によって

ある程度は強化できるが、

では、生きるエネルギー、生きがいを感じる情念、

社会参加を助長する情緒は、

システムによって強化できるのか。

知性と同じように、

感性もコトバで磨けるのか。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_18024694.jpg


新聞や雑誌を開くと、

「捨てることのすすめ」とか、

「がんばらなくていい」とか、

「終活」とか、

健康寿命の延伸を迷惑に思っているのではないか、

と思えるような提案が少なくない。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17504447.jpg
あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17513874.jpg

また、塾生に

「人は(私は)なぜ生きるのか」という

エッセイを書くように課題すると、

反省や是正点の記述が中心であったり、

モチベーションの低い青春時代を

振り返ったりする文章が少なからずある。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17510534.jpg

こういう状況を見ると、

現代は、生きるエネルギー、

つまり将来への展望や、野心や野望、

3日や1週間にも及ぶ感動や興奮が

ほとんどないことがわかる。

その結果、コロナ感染を恐れることを

最大のモチベーションにして

生きている人が少なくない。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17512013.jpg

もともと、すべての人が目標をもち、

生きがいを見い出すというのはムリな話で、

だからこそ、古来、

集落ごとに、地域ごとに、

国ごとに目標を設定して

それを共有することで、

自分の方向を考えることができた。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17525954.jpg

最高のモチベーションは「お国のため」だったが、

通信機器の発達のおかげで、

国の中で「内輪の話」ができなくなってしまった。

人の国の子や人をさらったまま

まったく返えそうもしない国を「とっちめよう」とか

わが国の領海を、物ほしそうにウロウロする

某国の船を「叩きのめしてやろう」とかと、

国のリーダーが口にできなくなった。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_18022044.jpg

「ほしかりません勝つまでは!」

「一億火の玉」

「米英鬼畜」

そういうスローガンによってまとまれることは、

一般大衆にとっては、生きる目標を設定しやすかった。

いやいや、いまだって、

go to travel!」や

go to eat!」などのスローガンで

多くの人が小さな生きがいを見い出している。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_18021436.jpg

しかし、人生の目標を

go to travel」にするわけにもいかない。

もっと内面から燃えるものがほしい。

情熱をかき立てるシステム、

情念を燃やすシステムとはなにか。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17400931.jpg

かつて、フランス文学者の桑原武夫氏が、

司馬遼太郎氏との対談で、

「感情の論理学」という概念があることを語っている。

フランスの心理学者が使ったコトバだとか。

さて、

わが《ロッコム文章・編集塾》で、

これをテーマにすることができるのか。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_18040707.jpg

「それって、文章の問題? 編集のテーマ?」

というなかれ。

文章も編集も、

感情やスキル、理念や思想を伝える道具である。

いやその前に、

論理的にモノを考える道具、そのものである。

目的のない橋や鉄道がないように、

伝えたい内容のない文章も編集もありえない。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_18043123.jpg

わがロッコム文章・編集塾は、

「がんばらなくていい」なんていわないし、

「捨てること」を急がない。

「終活」なんて無意味なことをせず、

まだまだ「習活」(学ぶ活動)を続ける。


あなたがいま燃えているものは?_b0141773_18044876.jpg
講義の途中や終了後、

みなさんが持ってきてくださった

新刊『栄養士のための ライフデザインブック』に関して

編者と監修者によるサイン会になった。

ありがとう。

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_18054727.jpg

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17541953.jpg

あなたがいま燃えているものは?_b0141773_17540373.jpg


by rocky-road | 2020-10-08 18:06 | 大橋禄郎 文章教室  

<< 健康のカタチを求めて……。 「おばさん化」は晩秋、老化現象... >>