日本に降る雨にオピニオンはあるか。
2020年6月7日(日)の
パルマローザ スペシャルセミナーに向けて
テキストづくりを始めてしばらくして、
コロナ騒ぎが始まった。
テキストづくりに専念できるという点では、
ステイホームには利点もあった。
「健康支援者がオピニオンリーダーとして、
社会的に、しかるべき役割を果たすための
アクションプラン。」としたために、
テレビに登場する感染症系の医師の
「オピニオンリーダー度」を
図らずも評価する癖がついた。
「集団の意思決定(流行、買物、選挙など)に関して、
大きな影響を及ぼす人物」のことだが(Wikipedia)、
テレビに登場してくるその道のプロは、
「意見」がない。
何回見ても覚えられない。
「マスクをしろ」
「マスクはこのように着脱せよ」
「人と話し合うときは90度の角度を保って」
などなどは「意見」ではなく、
専門家としての基礎的スキルである。
オムレツの作り方、ミルクセーキの作り方を
伝えることが「意見」ではないように。
おおむね技術者または職人であって
オピニオンリーダーではない。
昔から「医は仁術なり」というコトバがある。
その意味は、医師は病気を治すだけではなく、
思いやりをもって、患者を支えること。
「仁」(「じん」とも)は
「いつくしみ」「思いやり」のこと。
薬が治すのであって、
医師はその薬を選ぶプロ。
なのにときには、
医師が「○○の薬、飲んでみる?」
などと患者に尋ねたりする時代である。
ミルクセーキ作りにも
意見や思想を加味することはできる。
それが一級のプロというものである。
「この世界的な危機をどう乗り越えたか、
もちろん運ということはあるでしょうが、
何年後かに、
『私はこのようにして自分を守った』と
誇りもって人に言えるような行動をとるのは
カッコいいことではないでしょうか」
これほど通信機器が発達した時代に、
家ではすることがない、なんて思う人生は
あまりにもシンプル過ぎる。
そういう人生を見直すことに、
このステイホームを活用してはいかがですか」
くらいのことを言うドクターが1人や2人、
いてもいいのではないだろうか。
大好きな場面がある。
スラム街で、行ずりの人に花を売って
その日暮らしをしている女性の、
あまりにも粗雑なコトバづかいに感心して(?)、
言語学者が「あの子に正しい国語を教えられるか」と
友人の学者と賭けをする。
イライザ(花売り娘)はバテる。
そのとき、ヒギンズ教授(男性主演)が
イライザに近づいて、こう諭す。
「よく考えてごらん、
君がやろうとしていることを。
荘厳で格調の高い英語は最大の国民的財産だ。
英知あふれる高貴な思想が込められた、
かくも音楽的ですばらしい言語なのだ。
君はそれを征服するのだ。
きっと成し遂げられる」
この場面での茫然自失と共感を表わす
ヘップバーンの表情がすばらしい。
そして、いままで発音できなかった
このフレーズを美しく発音できるようになる。
「The rain in Spain stays mainly in the plain.」
(スペインの雨はおもに平野に降る)
教授「なんだって?」と、
急に発音できるようになったイライザの一言に耳を疑う。
ヒギンズ教授のこのコトバ、
これぞ「オピニオン」の原型。
「いいんじゃないかな?」
「自粛を続けることが大切なんだろうと思います」
なんて自信なく言っている日本人たちを、
ヒギンズ教授に諭してもらいたい。
「よく考えてごらん、
君が使っている日本語のことを。
荘厳で格調の高い日本語は、
最大の国民的財産だ。
英知あふれる高貴な思想が込められた、
かくも音楽的ですばらしい言語なのだ」
さて、セミナーの話に戻って、
栄養も健康も、
ただバランスだ、健康寿命だ、
とお念仏にしてはダメ。
「栄養のバランスを考えることが
人生においてどういう意味があるのか」
食材にしろ調味料にしろ、
茶碗にしろランチョンマットにしろ、
物質は物質以外の何物でもないが、
それらを情報化することは
「オピニオン化」することでもある。
感染症関係の職人たちにも
オピニオン力を鍛えていただきたい。
6月7日のセミナーに
感染症関係の職人の来訪があることを
いささかも拒むものではない。
by rocky-road | 2020-06-01 22:00 | 新型コロナウィルス