「輝き度数」87点のあなたに。
もう10年以上前になるか、
栄養士会のリーダーが、
「栄養士の専門性」の自覚や強化を
しきりに強調していたのを覚えている。
この場合の「専門性」とはなにか、
そこがはっきりせず、
ご本人に聞いてみたいと思っていたが、
伺うことなく今日に至っている。
一般論で言えば、
国家試験なり資格認定基準なりによって
「資格あり」とされれば、
それをもって第一段階の「専門性」を
身につけたことになる。
しかし、その後も「専門性」を磨けという。
このあたりから論点がボケてくる。
資格を得て、それぞれが職場に配置されたとき、
そこでの「専門性」とはなにを指すのか、
そこが論点になる。
フードサービスの業界に入った人、
病院に入った人、
デパ地下で食品を売る人、
料理教室を開いた人などなと。
これらの人にとって「専門性」とはなにか。
どんな資格、どんな専門性があろうとも、
それはそれとして、
まずはその職場で必要とされる知識やスキルを習得して、
それを「専門性」としてもらわなければ、
現場は困る。
現場での専門性をつけたからといって、
養成校で学んで得た資格や専門性は
上書きされて消去される、
というものではないのだから。
なんだかポイントのはっきりしない
いくつかの「専門性」の必要を説く文章を読んだとき、
要は社会人になっても、
勉強を怠るな、ということなのか、
あるいは、
一種の原理主義的思想によって
後輩に喝を入れ、
そのことで自身の権威を高めようとしている
……そんなふうにも感じられた。
現場で働く栄養士たちは、
さぞや当惑したことだろう。
権威主義が、
コトバの下にチラチラ見える。
それはさておき、
第85回「食ジム」では、
これとは真逆のテーマで話し合った。
「『栄養士以外の部分で輝く』とは、
どういうことか。」
座長/奥村花子さん
アドバイザー/影山なお子さん
大橋
(2020年2月9日 横浜市技能文化会館)
内容は、
1. ここまで生きてきて
「……らしい」「……らしくない」
と言われたのは、
あんなとき、こんなとき――そのときの気持ちは?
(子ども、女、あなた、学生、
栄養士、日本人……など)
(その他の職業を含む)で輝くスタイルや言動で
「見習いたいな」と思う人の、こんなところ。
3.「栄養士らしくない」
(その他の職業を含む)スタイルや行動で
「見習いたいな」と思う人の、こんなところ。
4.栄養士(健康支援者)が、
本業以外のところで輝くことに、
どんな意味があるのか。
そもそも「輝く」とはどういうことか。
5.栄養士(健康支援者)が、
本業以外のところで輝くには、
どんなアクションがあるか。
昔の日本人は、「らしさ」にこだわった。
私自身、「日本男児らしく」「男らしく」
「日本国民らしく」を強く説かれてきた。
メソメソしてると「男らしくしなさい」と
親から叱りつけられた。
かつては「地味でおとなしい」とか
「白衣を着て、ソロバンを持っている人」(古いね)
とかと言われて、それが「らしさ」だった。
現代に生きる、その日のみなさんの発言には、
しっかり者ゆえに、
失敗したりすると「〇〇さんらしくないね」と指摘されたり、
(いわゆる婚期を迎えているために)勉強のために
遠出をしようとすると、
親から「そんなことしている場合か」と突っ込まれたり。
「栄養士」に関しては
おおむね、よい意味で「栄養士らしい」
と言われることが多くなってきたようである。
もう、「地味でおとなしい」は
過去の「らしさ」になりつつある(かな?)。
ときに、
保健師や看護師と一緒に働く栄養士で、
その人たちと互角か、むしろリードするくらいに
輝いている人がいるという。
その場合の「輝き」とは、
栄養士としてのものなのか、
もともとその人が持っている性格やタイプなのか。
やはり後者の「タイプ」であるらしい。
今回の話し合いの目標の1つは、
そのあたりに着目する視力を
強化することにあった、とも言えそうだ。
社会は、いろいろの専門家の分業によって
維持されている。
むしろ各自の専門性を押さえて、
共通の話題を見つけて転がしてゆく。
待合室、スポーツジム、スポーツ観戦、サウナ風呂……。
「あの人の職業がわからない」なんてなったらカッコいい。
いや、職業の詮索などするヒマもないほど、
話を弾ませることができたら
その場にいる全員がカッコいい。
(「♪仕事、聞くほど野暮じゃない♪」)
つまりは「専門性」と「多様性」とを
合わせ持つ社会人。
それが輝きのある社会人ということになるのか。
栄養士にとっての「輝き」とは
「心身の健康がカタチとして表われ、
健康環境の強化、拡大に影響を与える状態」
とでもしておこうか。
フツ―の人とフツ―の場所で
フツ―に話し合いながら、
いや、コトバさえ交わすことがなくても、
それでいて、
相手の健康度をあげる、
という時代に入ってきている。
栄養士の輝き度、正確には資質を自己評価する
基準をつくる必要がある、
ということも話題にあがった。
他人の能力を査定する目的ではなく、
自分の「専門性」や「非専門性」を
自らが見極め、
さらなるスキルアップの動機づけをするために。
そんな「輝き度スコア」を
「栄養士全般版」
「食事相談栄養士版」
「スポーツ栄養士版」
「給食施設栄養士版」
「高齢者施設栄養士版」
などと作ってゆくのは
このうえなく楽しい作業となるだろう。
by rocky-road | 2020-02-13 23:02 | 「食ジム」