パルマローザ フォトコンテスト 2019 入賞発表。
終わった。
(2019年5月3日 金/祝日)
フォトコンテストのエントリーが出そろったので拝見した。
横浜の山下公園からレンが倉庫まで、
ゆっくり撮影して歩いた。
写真撮影などのクリエーティブな仕事は、
「勝手を知ったいつものところ」には要注意。
「慣れ現象」によって、
風景を新鮮に見ようとしなくなる。
応募作品を見る限り、
意外なほどバリエーションが少ない。
カメラマンとしては(プロ、アマ関係なく)
砂漠のど真ん中に放り出されても、
なんらかのモチーフを見つけるアィディアが不可欠。
それは人生も同じで、
砂漠のような「平凡な日々」のど真ん中に放り出されても、
心の被写体(モチベーション)を見つけて
作品化していかないと(知的・感覚的刺激または認識)、
つまらない人生になってしまう。
今回も、「銅賞」を最高位とせざるを得なかった。
ハードルを下げたい誘惑に負けそうになるが、
歯を食いしばってでも、
それなりの尺度で選考を続けたい。
タイトルのネーミング力不足は、
この撮影会に限ったことではなく、
日本中のフォトコンテストの99%は幼稚園並み。
しかし、ここも妥協しないで、
よりよいネーミングを求めていきたい。
受賞作品のあとに、
参考作品として、大橋のショットもご紹介させていただく。
銅 賞
エントリー 3.
タイトル 「帽子をかぶり、横浜散歩」
撮影者 塚本 ゆみ子 (長崎県 特別養護老人ホーム勤務)
【評】
ユーモラスな表情をとらえて成功した。
基本どおり、ローアングルで狙ったのがよかった。
遠景の船の煙突を強調するのなら、
ズームで狙って遠近感を狭めるとよい。
そうすれば、余計な背景を少なくすることができただろう。
タイトルの「帽子」はどうか。この表情からすれば「王冠」
「横浜散歩」は不要なつけ足しのフレーズ。
「浜のオンリーわん」で決まりだろう。
佳作
エントリー 5.
タイトル 「アイドル」
撮影者 甲斐 和恵さん (神奈川県 船員保険健康管理センター)
【評】
子どもの表情を撮ろうと迫る2人の女性の姿がおもしろい。
瞬時のできごとに素早く反応したセンスを買いたい。
2人のカメラマンと、撮影者。
写真教室での、
みなさんの夢中ぶりがほほえましい。
野暮な指摘ではあるが、
撮影するときは、荷物は極力減らして
より身軽でありたい。
佳作
エントリー 9.
タイトル 「中1の春。人生の目標は高く高く!」
撮影者 影山なお子 (神奈川県 ≪パルマローザ≫主宰)
【評】
「逆バンジー」(と呼ぶらしい遊具)で遊ぶ子の撮影はむずかしい。
動きが速いし、距離も流動的。
この作品は、知り合いの子を追いつつも
構図のおもしろさに着目している。
幾何学的な模様と、イベント会場の雰囲気とを
冷静な作画感覚でとらえている。
タイトルは説明のし過ぎ。
「人生の目標は高く」くらいでいいのでは?
佳作
エントリー 8.
タイトル 「花道の先には……」
撮影者 三奈木博文さん (東京都 会社経営)
【評】
撮影意図がわからない不思議な写真だ。
砂場で無心に遊ぶ子か、
迷子か、「座敷わらし」か。
出来過ぎた構図、動と静の対比、
静寂の音が聞こえてくるような臨場感など、
なかなか撮らない(撮れない)作品として
注目した。
タイトルからも肌寒さが感じられる。
佳作
エントリー 6.タイトル 「オーロラをゆく」
撮影者 永野 幸枝さん (千葉県 学校栄養士)
【評】
みなで同じ場所から撮った一作。
夕陽を追わずに、停泊船を入れ込んだ構図がよい。
わずかながら、もう少し明るく撮りたかった。
タイトルの「オーロラ」はどうか?
実際にオーロラを撮ってくる人が多い今日、
夕陽をオーロラと見るのは現場感覚の弱さか。
その他の作品
エントリー 1.
タイトル 「昇っていく」
撮影者 徳本 梨江さん
(埼玉県 高齢者福祉施設勤務 栄養士)
春になると、ときどき、こういう人が現われる。
それをスナップショットで押さえた適応力を買う。
が、現場を知らない人には、意味不明の作。
記念写真にはなるが、
「作品」として公開するには弱い。
タイトルには、
怪しい行動をする男の気分が出ている。
タイトル 「輝く一輪」
撮影者 塚本 剛志さん
(長崎県 塚本工務店経営)
【評】
ワイド系のレンズで寄ったために、 花弁が湾曲してしまった。
色も黄ばんでいて
ホワイトバランスの設定が気になる。
「一輪」を撮るには、しっかり一輪に限定したい。
右下の中途半端な一輪はカットするか、
2輪で美しく撮るか、意図をはっきり持とう。
エントリー 4.
タイトル 「ももいろの夢」
撮影者 塚本 初音さん
(長崎県 中学1年生)
【評】
バラの花とマリンタワーの対比はおもしろいが、
その場合は、
その他のものは思い切って整理したい。
高く伸びた枝や、草むら、左の赤いバラ、
こういうものが入り込むと
画面が散らかってしまって
夢が「ももいろ」ではなくなってしまう。
花の向きにも工夫を。
カメラアングルを工夫すれば、もっとすっきりとできるはず。
エントリー 7.
タイトル 「夕暮れの引き寄せ力。」
撮影者 奥村 花子さん
(東京都 Hanaヨガ&食スタジオ主宰)
【評】
夕景をきれいに撮っているが、インパクトが弱いかな?
同じポジションからでも、ズーミング(絵の切り取り方)、
露出などを工夫することで個性は出せる。
タイトルで謳っているように、
「引き寄せ力」を発揮していただきたい。
それにしても
スルメみたいに乾燥したネーミングだ。
エントリー 8.
タイトル 「横浜ジャンプ、スタンバイOK!」
撮影者 三奈木麻弓さん(東京都 行政栄養士)
【評】
わが子の記念すべき瞬間をいいアングルでとらえている。
係員の表情もいい。
フォトコン作品とするには、もう少しインパクトがほしい。
充分なキャリアからすれば、もっとユニークな撮り方があるはず。
タイトルもダラダラと長すぎる。
ビシッと決めよう。
参考作品(撮影/大橋禄郎)
一輪の撮り方
おじさんコスプレみなと
潮風の通り道
by rocky-road | 2019-05-19 22:18 | 写真教室