大きな声で、ゆったりと。

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2013年1月27日に始まった

パルマローザ主催の「輪読会」(りんどくかい)は、

この回(2019年2月17)で14回を数えるに至った。

輪読は、大学などでは、

少数のゼミなどで行なうことがあるし、

自主グループが、それぞれの本を持ち寄って、

読み合うこともある。

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「輪読」とは、

1人ずつ、リレー式に数ページを読むこと。

「輪」は、「回る」「回す」という意味。

そのメリットは、「一所懸命」に集中できること、

いま読んでいるところを「見失ってはならじ」と、

懸命に目で追うことになる。

指導者または参加者のコメントや問いかけによって、

行間や背景まで読み込むことができること、など。

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今回のテーマは「食文化の前後左右」。

食文化関係の本を読むのはこれで3回目。

1回目は「食文化に視点を持つ。」(201610)

2回目は「日本人の食文化史を振り返る。」(20178)

そして今回。

この回では初めて海外の食文化の記述を読んだ。

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「手食をめぐる作法」は、

『アジアの食文化』という本の一部で、

スリランカの人たちが

手で粥やおかずを食べる様子を細かく記述している。

民族学や民俗学、文化人類学、動物行動学などなどでは

「フィールドワーク」(学術的な現地密着調査)

基本中の基本と位置づけ、

現地の人(ときには動物)と生活を共にして

長期間、観察記録をする。

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今回、テキストに選んだのは、

上記のスリランカ人の手食文化、

もう1冊はタイの北西部に居住する

「首長族」(通称「カレンニー」)

かれらは、ミャンマーでの紛争を避けて

長期的な「難民」となってそこで暮らしている。

そんな不安定な地域にも、

「フィールドワーカー」は入り込んでいる。

ちなみに「首長族」とは、

首に金属のリングを幾重にも巻きつけるので、

首のつけ根や肩が沈み、首が長く見えるから、とか。

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日本の食文化に関するテキストは、

「幕末京都町人のくらしと食」

呉服屋である水口屋の主が

2代にわたって38年間、日記を書き続けた。

この日記から食関係の記録に注目した

島崎とみ子氏の論文である。

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もう1冊は、社会学の世界から

「外食産業」の歴史を

各種の資料からたどったレポート

(加島 卓氏執筆)

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そして、

健康支援者や栄養士が

日常的に視野に入る『フードファディズム』

(食と健康との関係を過大に結びつける考え方)

著者の高橋久仁子氏は、

日本で最初にこの概念を紹介した人。

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高橋氏がそこまでのいきさつを述べた

冒頭部分を輪読した。

それによると、

1991年に『Nutritionand Behavior』という本に出会い、

それを和訳して『栄養と行動 新たななる展望』

というタイトルで出版した。

これが「フードファディズム」という概念が

日本に広まるきっかけになったという。

behavior」は態度、習性、生態などの意味。

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原著のタイトルも、訳本のタイトルも

けっして見事とは言えないが、

それでも内容がよかったのと、

高橋氏が粘り強く発言したことによって

日本で知られるようになった。

(とはいっても、まだまだ知る人は少ない)

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原著者の名は示されていないが、

1章 序章の書き出しの部分なかなかシビれる

(高橋氏訳)

「ネアンデルタールの狩人と

20世紀のアメリカ人のように

異なる集団にあっても、

人々は自分達が食べる食物は行動に強力な影響を与えると、

一貫して信じている」

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フードファディズムの本質が

軽妙なフレーズでバシッと示されている。

こういうフレーズがさらりと出てくるところが

アメリカ人(? または欧米人)って、すごい。

こんなタッチで序文を書いてみたい。

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ところで、

輪読会のよいところとして、

前述のように、

多様な種類の書物に出会える、

深読みができるなど、メリットが大きいが、

忘れてならないのは、

音読による一体感や

音読を聞く者にとっての癒やし効果。

スラスラと読むことが

「うまい読み方」ではない。

内容に沿った、

耳に入りやすい速さで、

穏やかに、温かく、わかりやすく……。

音読力は、本人および人類の健康度をあげるはず。

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お経も、音読することで、ありがたさが増し、

その意味もわかりやすくなる。

次回には、

音読理論をまとめて、

前置きに講話でもしようか、と思う。

「けっして判決文や差し押さえの通告書のように

冷たく読んではいけません」

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すべての小中学校の先生に申しあけます。

「けっして、スラスラ読んだ子を

ほめすぎないようにしてください。

つっかい、つっかいでも、

味わいのある読み方をする子をほめてください」と。

次回は、小学生のように、

または法事ののときのように

全員で音読するのもいいかもしれない。

困るのは、会場を選ばないと、

近隣からクレームが出る可能性。

いずれにしても、

輪読文化は

もっと大事に持続したければならない読書法である。

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by rocky-road | 2019-02-24 00:08  

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