80代のモチベーション。
6月4日の「読売新聞」人生案内に、
80歳代の男性からの
「気がつけば80代 死が不安」と題する
相談が載っていた。
家族は妻と20代の娘。
週に3日ほどは仕事をし、
休日にはスマホやブログを楽しんでいる。
しかし、
「亡くなったことが報じられる人の年齢は、
80歳前後が多いようです。いつ死と向き合うのか、
すごく不安を感じます。
どういう心構えで過ごせばいいのでしょう」
これに対して、回答者の樋口恵子さんは
「86歳女性の私は、お便りを拝見して、
うらやましさを感じ、あなたの気力、努力に
圧倒されて、声も出ません」と応じる。
樋口さんは、お父上が50歳のときの子だそうで、
年寄っぽい父に「少し引け目を感じて」いたとか。
しかし、「77歳で死ぬまで社会の中で生き、
働くことに全身で喜びを感じていた姿は、
今もって私が老いを生きる指標です。
あなたの生き方はきっと娘さんの
大きな精神的遺産になるでしよう」と結ぶ。
6月5日に82歳の誕生日を迎えた私の
この人生案内についての感想は、
「今日の80歳代は、ずいぶん若くなった」である。
少年時代ならともかく、
80歳代にもなって
死ぬことが不安だという人がいるとは、
信じられないくらいだが、
そういう幼さが残っている高齢者が現存することを知って、
なんだかムーミン村の住人のように感じた。
他人事ながら心温まる話である。
(人の不安で心温まっていけないが……)
私より7つ年下の友人は現役時代、
勤め先のオーナーにずいぶんいじめられ、
結局はガマンできずに退職したのだが、
オーナーが82歳で亡くなったあと、
「オレは絶対にあの人の年齢以上は生きてやる」
と、恨みを込めて語っていた。
人生案内に投書した人のモチベーションは「不安」、
いま75歳の友人のモチベーションは「恨み」、
私はこれらを「マイナスのモチベーション」と呼ぶ。
極上の孤独をすすめたり、
「健康という病」などという本を書いたりする作家は
そうしたマイナスのモチベーションを持つ人の
ニーズに応えつつ、
本の売れ行きだの、評判など、
ブラスのモチベーションを高揚させていることだろう。
では、「お前のモチベーションは?」
と聞かれたらどうするか。
それを聞くわけ?
6月10日に
「『健康論として』 モチベーションを考える」
というセミナー講義を控えていて、
ようやく10ページのテキストを仕上げたところ。
その関係で、
栄養、運動、休養以外の健康の要素を
さらにさらに考え続ける日々である。
ますます、
心の栄養素としてのモチベーションというものに
興味を感じている。
「生きがい」という抽象的なコトバを
「モチベーション」の概念を使って
分解してみた。
上記のセミナーでのメインテーマになるはずである。
死の不安はまったくない。
戦争を経験し、
すぐ近くに爆弾を落とされたりしたし、
空襲直後の遺体の山も見てきたし、
親や3人の兄たちも
70歳以前に亡くなっているしで、
わが一族の中では充分に生きた。
ここで終わっても、まったく悔いは残らない。
などといっている人間が、
夜景のきれいなホテルのホールで
若い女性たちに祝っていただいて、
ますますモチベーションは高まるばかり。
by rocky-road | 2018-06-07 22:54