あなたが健康である理由を5つあげるとしたら?
「コミュニケーション研究会 ひろしま」が主催する
シリーズセミナーも4年目に入った。
今回も前泊して、
以前、訪ねたことのある「大久野島」(おおくのじま)に
渡った。
地名の読み方がおもしろいと思ったが、
不確かなので検索してみると、
「おおくのしま」と「おおくのじま」の2パターンがある。
フェリーの船内放送では「おおくのじま」と
アナウンスしていたように思う。
この奇妙な訓・音・訓・訓・読み地名について、
公式ホームページの制作者たちは関心がうすいらしく、
「うさぎ島」と別名で紹介しているものも多い。
正しい呼称については無頓着の様子。
訪問者としては、自分の行先を発音できないのは、
なんとも落ちつかず、ストレスになる。
観光名所にする気なら、
地名を覚えてもらうことこそ最優先すべきだが、
そういう意識がうすいところに、
ローカルな風情を感じてあげるのが、
旅の達人としてのゆるい感受性というべきか。
この島が太平洋戦争時代、
毒ガス生産の島だったとか、
なぜこの島に、
野生化したウサギが約700羽もいるのかとか、
そういう話はホームページに譲るとして、
ここは、写真論中心でいこう。
(ちなみにウサギは、鳥と同様、
1羽、2羽と数えるのが日本語の基本)
最初のウサギの写真は、
現地のポスターからの転写。
かわいい写真ではあるが、旅行者としては
こういう写真は撮りたくない。
第一条件は、その地らしさを出すこと。
ウサギのアップなら、近くの動物園へ行けば撮れる。
海とウサギ、環境的なこのチグハグは貴重である。
前回同様、ウサギが海辺に出てくるのを待ったが、
島はコンクリートやフェンスで囲まれていて、
砂地には降りられない。
なんとか海を入れたいと粘ってみたが、
コンクリートの地面というのが気にはなる。
ウサギに交渉中の大橋の写真は、真田美紀さん撮影。
栄養士にとってのコーディネート力と
編集力について考えるセミナーだった。
その内容の説明には入らないことにして、
2回続けた「箇条書き」を含む宿題について書いておこう。
昨年の5月の宿題は、
「自分の長所、短所を、各5つ以上、箇条書きで示しなさい」
そして、9月の宿題は
「私が健康である理由を5つ以上の箇条書きで示しなさい」
というもの。
箇条書きのトレーニングに力を入れるのは、
森羅万象を言語化して、
かつ、いくつかにカテゴライズするセンスを磨くため。
「虹は何色か」
「日没後に花を咲かせる草花は何種類か」
「私がチャーミングなところを5つあげると……」
などと、カテゴライズすることは、
つまりは認知機能を高め、
言語能力や思考力を磨くのに大いに有効。
俳句も短歌も詩も
箇条書きをベースにした創作活動である。
栄養士に「健康である理由」をあげてもらったら、
「ご飯がおいしく食べられているから」
「なるべく運動を欠かさない」
「買い物のときも歩くようにしている」
などと、アバウトに示す人が何人もあった。
こういう「理由」はアマチュア的過ぎると指摘した。
プロであるならば、もう少しプロらしく、
アマチュアから「さすがはプロ」と
いわれるくらいのフレーズをひねり出してほしい。
「ご飯がおいしい」など、結果をいうのではなく、
「おいしい理由」をあげる努力が必要。
「胚芽米と一汁五菜の献立を習慣にしているから」
「煮物名人と自称するくらいに根菜中心の煮物が週に2~5回」
「歩数計が5000歩以下を示す日は、
何時からでも、あと1000歩以上を歩いている」
「家族や同僚と笑い合うことがなかった日は、
ユーチューブで漫才を見て
爆笑する習慣がある」
カテゴライズとは、
森羅万象を言語化することであり、
箇条書きとは、それをランキングすることである。
ただ横に(または上下に)並べればいい、
というものではなく、
上位から下位へ、
大きいものから小さいものへ、
大事なことから、そうでもないものへ、
などなど、順序をつけることにも意味がある。
こうした認知法または思考法を自分のものにすると、
世界がさらによく見えるようになる。
『星の王子様』のサンテクジュペリは
「ほんとうに大事なものは目では見えないのだよ、
心でみるものだよ」
というコトバを残したそうだが、
「心」とは、
けっきょくはコトバによって認知可能となる。
怒りや恨み、
幸せや感動は、
すぐにコトバにできないことが多いが、
抑制したり、人に伝えたりするには、
なんとか言語化する必要がある。
いや、「怒り」や「恨み」を
コトバによって認識できる人は、
それらの感情を察知することができ、
暴発を抑止したり転換したりすることができる。
「恨み」だって、
その理由を箇条書きで列挙できるし、
それを緩和する方法も列挙できる。
箇条書きは、
ときにクールに、
ときに適切に行動するための、
思考技術であり、
けっきょくのところ、
じょうずに生きるための基本技術である。
by rocky-road | 2018-04-20 21:51