栄養士、健康支援者の「ダイバーシティ(diversity)」(多様性)
2018年のセミナー開きは、
1月8日のパルマローザ新春セミナーでの、
「社会的ポジションを左右する文章表現力、
どこを、どう見直せばよいのか。」
であった。(横浜市技能文化会館)
そして、≪コミ研 ひろしま≫での
シリーズセミナーでは
「栄養士としての『ライフデザイン』を
どう描くか。」をテーマとした。
(三原市市民福祉会館)
どちらも、従来の栄養士の守備範囲からは
かなり離れたテーマであることを
意識しつつ、演題を決めた。
さらにいえば、
現在、出版を急いで執筆中の書物も、
栄養士のライフデザインを考えるものである。
かつて、読売ジャイアンツの長嶋茂雄選手は、
守備範囲を誇るプレイヤーでもあった。
三塁手でありながら、
二塁手の守備範囲にまでは入っていって捕球したりした。
ご本人の述懐によれば、
フライになった打球はおもしろくなく、
捕れそうもないむずかしいボールを
飛びついて捕球し、一塁に投球する、
その一連のパフォーマンスに
美学を感じていた。
草野球ながら、
自分も、打順、背番号ともに「3番」だったので、
その爽快感はよくわかる。
さて、栄養士の場合は、
スタンドプレーとして
守備範囲を広げようとしているわけではなく、
健康支援の必要から、
広げざるを得ない、という時代へと
移ってきている、というのが現状である。
たとえば、百寿者の研究では、
栄養、運動、休養以外に
家族関係、人間関係(さらに異性関係)、
趣味や余暇などに関するエビデンスを得ようとしている。
また、飲酒の習慣、コーヒーを飲む習慣の効用まで、
万単位の被験者によるデータから検証している。
もっとも、酒とコーヒーについては、
研究者自身、やや含有成分に要因を求めすぎる傾向がある。
生活習慣に着目するアイディアも技法も未熟なため、
微量成分のほうに引っ張られがちである。
栄養、運動、休養の「健康の3大要素」は、
人生50年の時代の提言であって、
人生100年時代には、
これに
ストレスコントロール、よい人間関係、生きがい
を加えて「6大要素」と考えるべきことは、
10年以上前から提案しているが、
これからの研究テーマは、
後半の3大要素に中心が移っていくはずである。
健康支援者としても、
職業としての現代的意味を失わないためには、
守備範囲を広くする必要がある。
自分の守備範囲を堅持しつつ、
少し遠くに見えるボールも追ってみる。
栄養士、健康支援者よ、
「長嶋茂雄に学べ」は、
人生100年時代に適応するための提言である。
あたかも
「食コーチング ブラッシュアップセミナー」でも、
「『私らしさ』をデザインする。」をテーマにしていた。
(2018年2月4日 横浜市体育館併設平沼レストハウス)
ここにはゲストとして参加したが、
ここでは「健康のカタチ」としての身だしなみ、
食べ方、歩き方をレッスンしていた。
まさか、栄養士の歩き方についてまで
アドバイスを求められるとは思っていなかったが、
ファッションモデルとしてのそれではなく、
健康支援者としての歩き方ということであれば、
気がつくことはある。
以前、栄養士のためのカウンセリング講座を開いたとき
(『栄養と料理』時代)、
講師にお願いした心理カウンセラーの話が、
かならずしも栄養士の求めているものではない
ということを感じた。
それぞれに合うようにカスタマイズする必要がある。
これは歩き方にもいえるはずで、
不特定多数の人向けの歩き方レッスンと、
健康支援者にふさわしい歩き方レッスンとは、
違いがあるのが当然である。
「栄養士らしい歩き方」とは、なにか。
ここにもテーマがありそうだ。
いうまでもないが、
守備範囲の広さは、
現ポジションの守りの手を抜くことではない。
栄養士の基本の1つ、
食事における「栄養バランス」とはなにかを
これはこれで、
もっと練っておかないといけない。
2月12日には、昨年から5回シリーズで続けてきた
「四群点数法」の活用法を考える
セミナーの最終回を迎える。
その前日の「食ジム」第64回のテーマは、
「5年後、10年後をどう考えているか。」である。
こうした多様性(ダイバーシティ)こそが、
5年後、10年後の栄養士に求められる
適応力であり、生命力であろう。
by rocky-road | 2018-02-05 22:48