外食は、人類をさらに幸せにする。

ゴールデンウイークの真っただ中に設定された
「講話・講演におけるテーマ力を引き出す。」の
終日2日間にわたるセミナーが終わった。
(5月4日、5日 横浜市技能文化会館)
もともとは、10~30分程度の講話依頼を受けた人から、
どのように対応するものかと、
相談を受けたことがきっかけで始まったこのシリーズ、
あっという間に第4回にまで至った。

栄養士、健康支援者に限らないが、
講話(ここでは5分~20分程度の小規模の講演のこと)や
講演(演題のついた30分以上の中・大規模のもの)
をする機会は、そうそうあるものではない。
それでも、栄養士は、その機会が多いほうではないだろうか。
しかし、その割にはトレーニングの機会がない。
そこで、影山なお子さんの≪食コーチング プログラムス≫が
開催したという次第。

今回は、「テーマ力を引き出す」がテーマ。
講話や講演は、報告や説明とは違って、
聞き手の印象に残る考えや提案、思想、感性の提示がほしい。
自己紹介は、基本的には自分の属性を説明することである。
氏名、所属、その会との関係、
場合によっては出生地、出身校、趣味など。

しかし、意識の有無は別にして、
テーマ性のある自己紹介をする人はいる。
「……それできょうは、こういうことを目標にして
この会に参加しました。
それは『5人のいい人とお知り合いになる』ということです」
このフレーズを入れることで、
この人の自己紹介は、みんなの印象に深く残るだろう。



今回のセミナーは、演習中心。
栄養士を対象とする講演会で
「『外食はなるべく控えましょう』
という食事相談からどう脱却するか。」が課題。
参加者にプロット(筋書き。構想)と、
テーマを考えてもらって、
それをプレゼンテーションするというもの。

かなりの苦戦が感じられた。
テーマ以前に、プロットのところでつまづいてしまう。
イントロ部分で、同じようなことを
複数の項目でいおうとする傾向、
どう答えを聞くつもりなのか、
聴衆に問いかける形式になる傾向などがうかがえた。
項目のダブりや問いかけ型は、
どちらも、言いたいこと、
さらには着地点が見えていない状態を現わしている。

それを実感しての講師の反省。
プロットのコツは、そう簡単に身につくものではなく、
少し先を急ぎ過ぎたかもしれない。
「起承転結」や「序破急」など、
いろいろの柱の立て方(つまりプロット)があるが、
このトレーニングをもっとやっておく必要がある。

プロットは、講話、講演に限らず、
少し長い、または重要な手紙、
論文、各種文章、動画の編集などにも必要となる骨組みである。
柱2本、柱3本、柱4本……。
内容と分量によって、柱の数は違ってくる。

「『外食はなるべく控えましょう』という
食事相談からどう脱却するか。」についていえば、
1.なぜ、「外食は控えましょう」といってしまうのか。
2.外食はほんとうに健康によくないのか。
3.食事のよしあしの評価基準。
4.外食を否定しない栄養士像。
こんなプロットを立ててれば1時間~3時間程度の
講演はできるだろう。

では、講演のテーマはなにか。
それはたとえば、
「人類の歴史は衣食住を分業する歴史でもある」
としたらどうだろう。






家を自分で建てる人は少なくなったし、
衣服を自分で作ったり繕ったりする人も激減した。
では食は?
食も、とっくに分業が始まっていて、
それゆえに
人類はさらにアクティブに
さらに楽しみを広げ、
そして健康寿命を延ばすことになるだろう。



by rocky-road | 2017-05-07 23:37