第390回 パルマローザ 写真教室 選外作品講評
銀賞、銅賞、入選作については、
≪栄養士・健康支援者のための写真教室≫主催者、
影山なお子さんのブログ、
「スタンバイ・スマイル」で発表しているので、
ここでは、選に漏れた応募作品について、
選評してみた。今回は金賞は「なし」とした。
http://palmarosa.exblog.jp/
写真は映像表現ではあるが、
森羅万象を認識し、記号化するという脳の作業という点では
言語表現と大差はない。
18歳から成人とする、消費税を10㌫にする、
そういうことをどう考えるか、
みなとみらいの風景をどうとらえるか、
それもこれも、
認識力、思考力という点で共通性がある。大橋禄郎
エントリー 2
タイトル
真昼のひととき
撮影 さいとうはる子さん
(東京都 行政 管理栄養士)
【評】
スケッチをする姿をうしろからそっと撮った。
「そっと感」は作品にも出ていて、
インパクトに不足がある。
もっと寄って描いている絵を見せるか、
モチーフのレンガ倉庫を美しく撮るか、
あるいはその両方を示すか、
強い表現力がほしい。
タイトルもマイルドな遠景をほんわかと示している。
エントリー 6
タイトル
YOKOHAMA CITY
撮影 塚本はつねちゃん
(長崎県 佐世保市 小学校4年生)
【評】
のどかな公園の風景を
しっかりした構図で切り取っている。
人物をやや左に配したのも、観覧車との対比でグッド。
観覧車は、もう少し空の部部まで入れておきたい。
旅のスナップとして撮っておきたい1品。
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タイトル
ピンクのトリオ
撮影 塚本ゆみ子さん
(長崎県 佐世保市総合医療センター 管理栄養士)
【評】
ピンクのトリオに着眼したのはよいが、
縦位置の写真を横にしたようで、
安定感がとても悪い。
縦位置にして見てみたが、やはり落ち着かない。
カメラアングルに問題がありそうだ。
構図力をつけよう。
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タイトル
春の日差しを満喫
撮影 田澤 梓さん
(神奈川県 シダックス株式会社 管理栄養士)
【評】
構図としてはおもしろいが、
子どもの動作が説明できていない。
近景の向こうの遠景を撮るとき、
両方に目配りをして、
ジャストタイミングでシャッターを切りたい。
左端の大人の姿が、竹割り式に一刀両断、
その半身が残っているというのも、
構図への配慮不足のアカシ。
タイトルの「満喫感」が感じられない。
エントリー 9
タイトル
ツツジ@みなとみらい
撮影 渥美智佳子さん
(静岡県 病院 管理栄養士)
【評】
初夏の港の風景を手慣れた構図で撮っている。
ツツジと遠景のバランスもよい。
残念なのは、右の壁のような影。
これを外して撮ることができなかったのだろうか。
むしろ縦位置に構えて、
みなとみらいの空をもっと入れれば、
はるかに印象的な作品になっただろう。
応募のとき、縦位置にトリミングすることは許される。
エントリー 10
タイトル
日本丸の船首から。
撮影 三奈木麻弓さん
(東京都 行政 管理栄養士)
【評】
大胆な構図で、キャリアを感じさせるが、
説明不足は否めない。
カメラポジションが選べず、
こう撮るのが精いっぱいだったと思うが、
帆船の舳先に船員が整列していることを
写真を見て理解できる人は少ないだろう。
マイナス補正のし過ぎで、
船員の服が重くなったのも残念。
これも、応募のとき、
パソコン上で修正ができるはず。
エントリー 11
タイトル
屋根より高く
撮影 三奈木博文さん
(東京都 株式会社ミナキ)
【評】
入選作と同じく、トランポリン遊具で遊ぶ子を撮っている。
しかし、楽しさよりも、なぜかシラッとした印象。
遠くから望遠で撮ったのか、
現場のにぎわいが消えている。
遠くにいる「われ関せず」という人の動き、
頭の一部だけが出ている人たちの存在感のなさ。
戦場カメラマンではないが、
やはり熱い現場に身を置いてこそ撮れる写真もありそうだ。
タイトルは、季節柄、どんぴしゃり。
エントリー 12
タイトル
こいのぼり日和
撮影 奥村 花子さん
(東京都 Hanaヨガ&食スタジオ主宰 管理栄養士)
【評】
青空、高層ビル、帆船、いくつかの家、鯉のぼり。
なんとも盛りだくさんな作品。
あんまり欲張ると、
けっきょくなにを表現したかったのかがわからなくなる。
「風景チャンプルだ」との反論があるかもしれないが、
ならば、これをどう味わうか。
幕の内弁当の食後感と同じで、
「なにを食べたかわからない」となる。
「こいのぼり日和」なら、
鯉のぼりの撮り方を考えよう。
エントリー 13
タイトル
カメラを構えて
撮影 山本恵美子さん
(東京都 企業 )
【評】
タイトルどおりの作品だが、
これといった情報が伝わってこない。
味に自信のる飲食店なのかもしれないが、
写真で見る限り廃屋にしか思えない。
これを撮ろうとする少年カメラマンの撮影意図も伝わらない。
シャッターチャンスは不可欠だが、
そこには鑑賞者を納得させる情報がほしい。
少年の足元までしっかり収めよう。
エントリー 14
タイトル
グリーンロード
撮影 甲斐 和恵さん
(神奈川県 船員保険健康管理センター 管理栄養士)
【評】
人の配列、雲の様子、広い緑地、
記念写真としておもしろい。
しかし、作品としての新しさ、ユニークさは感じられない。
記念写真は作品にはならない、
ということではなく、
いろいろの演出ができる以上、
「こうきたか!」という独創性がほしい。
エントリー 15
タイトル
ハナくらべ
撮影 植村 寿香さん
(千葉県 高齢者福祉施設 管理栄養士)
【評】
狙いはわかるが、タイトルの表現ができていない。
致命的なのは、子どもの表情が見えないこと、
顔がアンダーで、楽しさが伝わってこないこと。
普通にまたがっただけでも、
笑顔でピースサインでもしているほうが明るさは出る。
これはたぶん、怖くてへばりついているのだろう。
それならそれで撮り方はある。
心配そうなママの姿を入れるとか。
エントリー 16
タイトル
ちょっと、ひとやすみ
撮影 岩田 博美さん
(神奈川県 企業 栄養士)
【評】
暗い。露出的な暗さだけでなく、絵全体が暗い。
海が見えるとか、芝生が広がるとか、青空とか、
そういうさわやかさがなく、
建物の裏手のように見える写真からは、
あたかも人目を避けて逃避行する2人のような連想が浮かぶ。
ロケ地として不適。
カップルの明るい表情もほしい。
by rocky-road | 2016-05-12 13:30 | 写真教室