「ウサギ栄養学」の「専門性」。

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広島に向かう機内で読むために
栄養士向けの雑誌を持ち込んだ。
巻頭にはこの世界のリーダー2名が
それぞれに文章を寄せているので
それに目を通すつもりだった。
ところが、
この文章には情報が乏しく、
文体がいかにも硬直していて
おもしろ味のないこと甚だしい。

なぜこうも人間味のない、
読者と対話が成立しない文章が書けるのか、
ある意味では、それに感心した。
文章力以前に、
対象者に向けて話しかける姿勢が感じられない。
こういう文章しか書けない人に、
食事相談ができるのか、案じられる。
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その1人は、
10年後の管理栄養士・栄養士像として、
こう書く。
「(10年後には)
対象個人あるいは集団における
多様な人びとに寄り添っていることでしょう。
そのような姿が、地域社会、
医療や福祉等の施設、学校等、
人びとが生活するあらゆる
場所で見られるようになっていると
確信しています」

なんとも抽象的で、
当事者意識の薄い文章である。
この程度のことは、10年待つまでもなく、
一部としても、現在すでに、
そうなっているのではないか。
そもそも「寄り添う」とはどういうことか、
リーダーとしては具体的に示す責任があろう。
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また、別の筆者は、
栄養士70年の歴史を振り返ったのち、
中盤で「食物栄養学」から「人間栄養学」への
転換があったことをあげ、
まとめのところでは、
「オーミックス」だの「レギュラトリーサイエンス」だの
なじみの薄いカタカナ語をあげ、
その語を解説して、まとめとしている。

要は、研究にしろ情報にしろ、
複合的にとらえ、
多様性を見てゆくことだ、ということらしい。
さほど目新しい概念とも思えない。
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まとめくらい、
用語の解説ではなく、
自分の考えなり信念なり、
将来展望なとでまとめてほしいが、
「締め」をだれかに下駄を預けてしまっている。
栄養士のトップリーダーの文章には、
思想が感じられない。
こんなことで人の健康を支えられるのか。

「インフォメーション」も
「インテリジェンス」も、
辞書では、ともに「情報」と訳したりしている。
しかし、ニュアンスは大違い。
「インフォメーション」が、
料理の素材、
じゃが芋や玉ねぎに当たるとすれば、
「インテリジェンス」は、
それらの情報を使って料理を作ることに当たる、
……そうたとえる人がいる。
「知恵」や「知性」は、
断片的な情報素材を蓄積し、分析し、
解釈して
自分の資質の一部としたものである。
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栄養士のトップリーダーの文章は、
多分に「インフォメーション」的で、
「インテリジェンス」を感じない。
なにが複合だ、なにが多様性だ、といいたい。

少しいらいらしているうちに、
広島空港に着いた。
2015年12月6日(日)、
コミュニケーション研究会 ひろしま」主催の
セミナーで、「栄養士は、スピーチ力、
講話力をどう強化するか
。」を講じた。
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「人間栄養学」というからには、
人間の食行動を追いかける必要があるだろう。
と同時に、栄養士は、
その「インテリジェンス」を
魅力的に対象者に伝える必要がある。
10年後を考えるのであれば、
「専門性」の中に逃げ込むのではなく、
「専門性」を広げていくべきだろう。
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栄養士が「栄養素」を語るのが専門性ではない。
栄養素や食生活、さらには人生を語れるよう、
守備範囲を広げてゆくことが、
多様化し続ける社会に適応することにつながる。
多くの社会人がしている程度の対話やスピーチ、
文章力がなくて、
個人や社会の健康度を
どうやって支えてゆくのか。

コミュニケーション研究会 ひろしま」の
(以下「コミ研 ひろしま」)シリーズセミナーも、
年4回のペースで第1クールを終えた。
6日のセミナーは第2クールの初回であった。
1年ですっかり運営力つけた。
初回のあいさつ、進行、懇親会、
オプションのツアー。
どれも及第点に達した。
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「専門性」は、各職場で磨いていけばよい。
必要に応じて、いろいろのセミナーも
行なわれるだろう。
そうした多様なセミナーを企画・運営することも、
まさしく専門性の一部となっていく。

栄養士活動現場は、閉鎖社会ではない。
社会との接点は限りなくある。
その接点はコミュニケーションによって
生まれ、拡大し、強固になっていく。
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「コミ研 ひろしま」のメンバーは、
社会との接着剤となるコミュニケーション力を
数ステップ分、アップさせた。
10年後は、きょうの延長線上にある。
「専門家」栄養士は、
押しも押されもしない社会人であることを
忘れてはいけない。
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オプションのツアーでは、
人が放ったウサギたちによって生まれた
「ウサギ島」(大久野島)を訪れた。
同行の栄養士は、
「人間栄養学」も「ウサギ栄養学」もこなすので、
ウサギからは好物の野菜をねだられていた。
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by rocky-road | 2015-12-10 22:38  

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