デジカメによる花火撮影法。

久々に花火を
かぶりつきのような場所から撮った。
早い者順のスペースとは別に、
有料席が設けられていて、
庶民の娯楽とばかりはいえない花火見物。
文字どおり「高値の花」のポジションもある。

これまでは、フィルム撮影だったので、
カメラを三脚に固定する必要があり、
その場所を確保するために、
夕方7時の打ち上げのために
午前7時に場所取りをする人も珍しくなかった。

普通に見物する場合は、
前日からブルーシートなどを敷いて
場所取りをしたりするが、
芝生を傷めるとか、
境界線を巡って領土紛争が起こるとか、
主催者を悩ませているらしい。

デジタルのコンパクトカメラで
しっかり撮ったのは2回目くらいだが、
フィルムに比べてだいぶ楽に撮影ができる。
まず、三脚がいらない。
手持ちで充分。
ただし、多重露光ができないので
1画面に何輪もの花火を写し込むことはできない。
(やればできる機種もある)

「多重露光」とは、
2~3秒のスローシャッターにして、
その間に画面に入る花火を露光する。
構図は花火任せなのだが、
事前に絵を予想して待機する楽しみがある。
以下、デジタルコンパクトカメラでの
撮影の基本をあげておこう。

①ホワイトバランスはオートに。
②シャッタースピードは「400分の1」に。
③フォーカスはマニュアルとし、
無限大(∞ 最遠距離)に設定する。
いわば「置きピン」である。
こうしておけば、
花火がどこにあがっても
だいたいピントは合う。
④ズームは、撮影地の条件に合わせて、
好ましい構図を決める。

花火そのものをアップでだけ撮っても
さほどおもしろくない。
花の撮影でもよく言うことだが、
旅行先で花を撮る場合、
その地の状況をも表現したい。
アップの向こうに風景が広がる、
というような絵づくりをする。
花火の場合、水辺が多いので、
水面の反射などを入れると風情が出る。

昔は、きれいな花火があがると
「たまや~」などと叫んだが、
撮影中は、感動は心で受け止めて、
無言でひたすらにシャッターチャンスを狙う。
同行者は、
そのへんのことがわかってくれる人でありたい。
少なくとも本気で花火を撮るなら、
打ちあげ最中にビールを飲んだり、
唐揚げを食べたりしているわけにはいかない。
以前、カリフォルニアのモントレーで
花火大会を見たとき、
ほとんどの人が立ち見で、
BGMにグレンミラーの曲が
流れていたのを思い出した。
花火そのものよりも、
おしゃべりをしたり、
曲を聴いたりしながら、花火「も」見る、
そういう感じである。

それに比べると、
日本ではますます花火が
ショーとして、高いポジションを得るように
なっているのがわかる。
もっとも、
BGMにポップ調の曲が流れるのを耳にしたのは、
特等席のせいかもしれない。

スポンサーとなってくれた組織の
紹介アナウンスがあり、
そのあと、花火、音楽、
そしてまた協賛スポンサーの紹介。
適度に間ができる、
休みなく、尺玉が連打される、
豪華絢爛な花火大会の時代ではなくなったのか。
これも、「身の丈に合った」
花火ショーということなのかもしれない。
最後に「置きピン」の補足をしておこう。
カメラフレームに飛び込んでくるモノを撮る場合、
いちいちピントを合わせているヒマはない。
ランナー、乗り物、動物など。
画角を先に決め、一定の場所にピントをセットし、
その距離、その位置に被写体が入ってきたら
シャッターを切る。

液晶表示画面は「クイック」にしておかないと、
次々にシャッターを切れない。
確認画面がいつまでも出ていたのでは
仕事にならない。



花火の場合、距離は最長(無限大)。
この条件は、ずいぶん楽だ。
ただ、瞬時に消える花火のこと、
シャッターを切ったときには
最初の明るさ、大きさが失われつつあることも。
そこで、前の花火の明るいところに露出を合わせ、
シャッターを半押ししたまま、
次の花火を待つ。
開いた瞬間、というより、
開く直前にシャッターを切ると、
全開の花火が撮れる。


この夏、いつか、どこかで出会う
花火のために、心の準備をしておいては?

by rocky-road | 2015-08-06 00:04