能登、金沢の「お・も・て・な・し」

5月31日(日)、
ロッコム文章・編集塾/能登教室の
6回目が終わった。
(石川県七尾市石崎町
「さはらファミリークリニック」ホール)



講義は2本。
①「コミュニケーションスキルとしての
アンケート」
②「ハガキの基本と活用法早わかり」

その前に、全員の宿題発表。
ある著名学者の新聞紙上での論文を
論評する、という課題。
この論者の論旨は、
「日本人の食の堕落は、
民族の堕落だ」というもの。

焼酎は「脂っぽい」食べ物によく合う、
昔の日本人は、質素ながら、
海藻や根菜、魚、豆、米など
「栄養バランスが理想的」な食事をしていたので
ヘルシーだった。
肉などを食べるようになって、
「キレやすくなった」「食は堕落した」と、
いい気な迷論を展開している。
日本を代表する大新聞が、
かくも怪しい珍説を
堂々と紙上に公開してくれるので、
悪文探しが仕事の1つである
文章教室講師にとっては
日本という国はありがたい国だと、
深く深く感謝する。

評論の文章を書き慣れない塾生にとっても、
とりつきやすい文例ではないかと思う。
何人かの人が、
「昔の日本人の食事はバランスがよかった」
との論者の説に対して、
当時の日本人の平均寿命が、
50歳台をようやく超えた程度だったことを
数値をあげて異を唱えていた。

しかし、
「一汁一菜を基本とする
日本人の質素な食事パターンはよかった」
とする論者に対して、
「これに野菜料理を一品加えると副食がそろう」
「確かに食の欧米化によって生活習慣病がふえたけれど」などと、
「難あり論説」に寄り添った表現をする人も少なくなかった。
「難あり論説」には
一定の距離を置き通す必要がある。
でないと、一種の共犯者になってしまう。
評論は、基本的に「是々非々」とはいかない。
それをやると、
論者(評論する人)の立ち位置があいまいになる。
といって、評論は、
けなすばかりが目的ではない。
高い評価をする評論というものもありうる。
それでも、「ほめ殺し」はよくない。
高い評価もまた、冷静に、
自分の好き嫌いではなく、
社会的財産としての価値を、
社会の側に立って論ずる必要がある。

「社会の側に立って」とは、
ボールを1メートル先に投げるのか、
10メートル先に投げるのかの違いである。
手紙、メール、自己紹介、スピーチなどの文章を、
1メートル先への投球とすれば、
社会的文章とは10メートル先の受け手に
向けて投げるボール。
途中で、予定外の人に届く場合があるので、
「私」や「思う」の語句はあまり使わない。
主語は、読み手であり、
抽象的ながら「社会人」となる。「私」ではない。
書き手は、社会人の代弁者という位置づけ。
したがって、
栄養士が見て、
(理想的に)「穴だらけの文章」に対しても、
「〇〇という意見は(納得がいかない)」
「〇〇について示されていないのは(残念である)」などの、
「私」を前提とした、
情緒的な表現は控えたい。
さて、講義2本について……。
「アンケート」については、
「調査」というよりも、
イベント主催者と来場者との
コミュニケーションツールである場合が多い、
というのが論点。
ハガキについては、
デジタルコミュニケーション時代だからこそ、
ハガキコミュニケーションに意義がある、
ということを強調した。

今回は、開通したばかりの
北陸新幹線による往復だった。
飛行機なら能登空港まで38分の距離だが、
新幹線では2時間ちょっと。
でも、地に足の着いた移動のほうが、
主体性がわずかに保たれていて落ちつく。

おかげで、江戸時代以来の古書店や、
魚市場や金沢城、兼六園周辺を巡ることができた。
能登、金沢の人の「おもてなし心」に
深く接することができた。
帰りの新幹線では「グランクラス」という、
食事、嗜好飲料つきの号車に乗せていただいた。


金沢駅経由ということで、
金沢では、
「健康づくり栄養士の会」のみなさんに、
「いま、栄養士にどんなセンスが求められているのか」というタイトルで、
1時間半のお話をさせていただいた。
(6月1日 金沢健康プラザ大手町 西館)


「地味でおとなしい」
との従来の栄養士像から脱皮し、
イメージチェンジを図るには、
表情や身だしなみに加えて、
思想や知識、情報などの見直しも必要、
というお話をした。

その1つは「栄養士」という肩書名である。
この名称のおかげで、
食事や食生活に関心を示さない人がいる。
栄養素のことを説くのが栄養士だと、
自己催眠をかけてしまう傾向がある。
そんな指摘をさせていただいた。

終了後の質疑で、
すでにフリーで活動している人から、
今後の持続、発展の方向性について質問を受けた。
タイムリーな質問だと思った。
私の得意とする「商品開発」がテーマ。

商品は、物品とは限らない。
人間そのものも商品である。
そのための秘策はない。
が、そのための原則は、
1人ブレストへの集中と、
それを別の視点で見ることによる
サジェスチョンであろう。





いつか、「1人ブレストセミナー」なるものを
開催する必要があるかもしれない、
などと思った。

by rocky-road | 2015-06-04 15:13

