愛や恋を語る文章。
7月5~6日(土/日)に
行なわれる、シリーズ
「栄養士・健康支援者のための輪読会」
のテキストができあがった。
(主催/パルマローザ)
タイトルは「愛と恋を語る文章」
担当、大橋禄郎。
栄養士や健康支援者に
「愛や恋を語る文章」を鑑賞する能力の
強化がなぜ必要なのか。
このテーマは、
「人間を多角的にとらえるために
関連書物を読む」というシリーズの一環。
これまでは、進化と人間、文化人類学、
比較文化論の視点から
「人間とは何か」を学んできた。
科学の視点で考えても、
愛や恋は、生存のための基本行動である。
人間を知るうえで、
ここを迂回することのほうが不自然である。
したがって、
人の健康行動を支援するシゴトにとって、
「愛とは」「恋とは」について
基礎知識を持っておくことには
バックボーンを鍛えるうえでの利点がある。
愛や恋は、どちらかといえば、
文系的にとらえられがちだが、
今回は、脳科学的な視点で考えるところまで
攻めていきたいと思っている。
実際、脳科学の永遠のテーマの1つは
「こころ」である。
このテーマにうってつけなのが、
昔、読んだ『愛は脳を活性化する』
(松本 元著 岩波書店)である。
おおいに教えられるところがあって、
担当していた『栄養と料理』の
連載・インタビュー「編集長訪問」に
ご登場願ったことがある。
(1988年12月号)
松本さんは、
脳型コンピューターの開発にかかわった人である。
人間は、コンピューターを作り出したことによって
逆に脳のしくみを、
わかりやすく把握できるようになった。
インプットやアウトプットといった
コンピューター用語は、
そのまま脳の情報処理システムを
理解するのに役立っている。
松本論によれば(脳科学の常識にもなっているが)
愛や恋は、本能的な「行動」ではあるとしても、
その基本的なしくみは、
対象者の印象や刺激が
脳に「インプット」されるというよりも、
その刺激を受けて、
脳内にすでにある記憶を材料にして
「愛」や「恋」というプログラムを
「アウトプット」する、ということになる。
一目ぼれやストーカー行為は、
脳内での情報処理(プログラム化)が、
社会のしくみの中では
誤作動した、ということになる。
脳科学の基礎知識をベースにして、
『風立ちぬ』(堀 辰雄)や
『春琴抄』(谷崎潤一郎)、
そして、渡辺淳一の諸作を読むと、
また違った恋の風景が見えてくるだろう。
そのことによって、
栄養士や健康支援者の人間への洞察が、
いっそう深まるはずである。
そうでなければ、
愛や恋について考える意味はない。
今回は1泊2日のセミナー。
夜には、桂文楽の色っぽい噺でも
聞いていただこうかと思っている。
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★過日、脱法ハーブで撹乱した男が
中国人女性をはねてしまったが、
東京・池袋の現場には
多くの人が供え物をしていた。
by rocky-road | 2014-07-03 19:58