議員さんにおすすめ、トークの瞬発力トレーニング。
東京都都議会で、
質問に立った女性議員が、
えげつないヤジを受けた。
この悲しいニュースは、
世界的な規模で広がりつつある。
なにが悲しいか。
いちばんのポイントは、
これは場外乱闘であるということ。
腕力を前提としない民主主義のシステムの中では、
会議は平和的な「戦場」である。
あるいは、コトバによる格闘技である。
ヤジは、
コトバ格闘技のルールに組み込まれていないが、
「是々非々」とやらで、
世界中の議会で、ある程度許容されている。
ヤジに限らず、議会中の居眠り、
私語、許可のない退席、
あくび、クシャミなども、
ある程度は許容されている。
それらが、許容の範囲か否かを
決める権限を持つのは、議会の議長である。
都議会における侮蔑的なヤジに対しては、
まずは議長がクレームを入れるべきである。
次に悲しいのは、
侮蔑を受けた議員が、
妙にわだかまりのない笑顔(苦笑)をしたこと。
そして、自分の席に戻ってから、
ハンカチで涙をぬぐったこと。
これは、プロレスでいえば、
試合後に自分の負けを悲しんでいる図でしかない。
真のファイターなら、
即、壇上で戦闘態勢に入るべきである。
「いま、私に対して許し難いヤジが飛びました。
質問の前に、この侮辱に対して、
議長に動議を申し入れます。
ヤジを飛ばした議員を立たせてください!」
これを契機に、議場がどんなに紛糾しようが、
それはむしろ、議員のファイターとしての格があがること。
そこで決着をつけることなく、
自席に戻って涙をぬぐったり、
ブログで恨み、つらみを言うなどは、
試合放棄以外の何物でもない。
同僚議員たちは、何をしていたのか。
自分の仲間が、かかる侮辱を受けたのに、
その場で抗議をしなかった脳天気ぶりを
問うた者がいたのか。
あとになって犯人捜しをするなどは、
議会ではなく、警視庁である。
同僚の中から犯人を見つけ出すなど、
人間として恥ずかしい。
それというのも、
議会人がまっとうな議論をしていないからである。
用意した原稿を棒読みするだけの
議会運営をしているから、
ヤジられても笑っていられるのである。
悲しみの3つめは、
こうした「死に体」(相撲用語)同然の
議会運営のお粗末さが、
世界的な情報になってしまったこと。
昔、某新聞に「もの申す」という投書欄があった。
どこどこの店員が無礼な対応をした、
駅員の態度がよくなかった、
警官にひどいコトバをかけられた……。
その場では抗議ができず、
あとになって新聞に投書して、ウダウダ言う。
控えめな日本人好みの人気の投書欄だった。
が、日本人のコミュニケーション力も
少しずつ上昇してきた。
「あとからウダウダ言うのはどんなものか」
という自問や指摘があったのか、
この人気投書欄も、やがて消えた。
もう50年以上は前のことだろうか。
社会は温室ではない。
思いもかけぬ迷惑や攻撃を受ける。
そればかり考えていると
いつも戦闘モードになっていなければならない。
それではトゲトゲし過ぎて落ち着かない。
確かにそうなのだが、
世間とは、社会とは、
そうした二面性を備え、
和戦両様の構えで、
または雌雄同体みたいな恰好で歩いてゆくところである。
「安心」と「安全」がセットで用意されているほど
世間は甘くはない。
「安心・安全」などとノンキに言っている奴を
ひっぱたいてやりたくなるのは、
平和ボケを売り歩いている
インチキ商売に見えるからである。
なかなか勝てないスポーツチームは、
ヘタだから勝てないだけのことだが、
解説者も評論家も、マスメディアも、
それを認めず、次への期待へと転化する。
選手は甘え、負けても妙に堂々としている。
選手をヤジるファンの声は
最初からないから、問題にもならない。
甘ったれたコトバファイターが恥ずかしい、
甘ったれ球技スポーツ環境が恥ずかしい。
男は、「敷居を跨げば7人の敵がある」として
育てられてきた。(最近は「玄関を出れば……」)
が、女性も社会に進出するとなると、
敵を持つことになる。
あの東京都議会のように、
男よりもキツイ攻撃を受けることになる。
新参者(しんざんもの)がシゴかれるのも、
これまた世の習い。
女性の場合、
あの下劣なヤジ都議や、
さらに下劣なセクハラや痴漢、DV、
ストーカーなどの被害を受ける可能性があるので、
敵は7人どころではなく、
700人か7000人くらいを
想定しておかなければならないだろう。
それが現実だとすれば、
硬軟合わせ持って、
どんな事態にも対処できる
準備性が必要だろう。
今回の都議会場でのヤジから始まった
場外乱闘のいちばんの当事者は、
侮辱を受けた女性議員自身である。
一般人が買い物の最中に、
スーパーマーケットかどこかで
イチャモンをつけられたのとは違う。
議場というコトバの格闘技場で、
ファイターとしての議員に向けられた攻撃である。
これは議員にとって、
そして同僚議員にとって
またとないチャンスだったはずだ。
ヤジった男をその場で探し出し、
この女性蔑視問題を論じ合うべきであった。
相手議員、対抗政党を、
場内でコテンパンにやっつけるチャンスを
自ら手放してしまった。
5日たってから、
ヤジった議員が名乗り出たが、
女性議員は「もっと早く名乗り出てほしかった」と
他人事みたいに言っていた。
それを言うなら、あなた自身が
もっと早く、議場という公的リング上で
反論してほしかった。
自分の瞬発力不足にまったく気づいていないらしい。
コトバのファイターとしての自覚がない
1議員、同僚議員、議長らの怠慢によって、
場外乱闘は、日本人の民度の低さを世界に知らしめた。
いま、あの女性議員には
トークの瞬発力強化のトレーニングをしてあげたい。
毎月、行なっている「食ジム」に
1、2度出てくれれば、
健康支援者並みのトーク力、
コトバの瞬発力をつけてあげられるだろう。
「食ジム」とは、
健康支援者を中心として行なっている、
問題掘り下げ型のディスカッション・ジム。
(食コーチング・プログラムス主催)
「周囲との人間関係づくりに秘策はあるのか」
「食や健康のマユツバ情報にどう対処するか」
「人間関係の幅を広げる 余暇活動のあり方」
「栄養士、健康支援者が転職を考えるとき」
などのテーマで1日かけて話し合っている。
by rocky-road | 2014-06-24 00:05