ダメ出し栄養士と、ダメ出しメディア。
この16日に行なわれた衆議院議員総選挙における
投票率は、59.32%であったという。
アメリカの大統領選挙の投票率も似たようなものだというが、
日本の衆院選では戦後最低の投票率だったという。
韓国の大統領選挙では70.1%という高率だから、
その差の大きさがやけに目立つ。
国にも精神年齢というものがあるようで、
老いて活力を失った国と、
将来に向けて期待を持っている国とは
投票率にも差が出るというものだろう。
多くの電波メディアが、棄権した人の声を拾っていた。
「どうせ政治は変わらないから」
「1日中寝ていた」
「お友達と会う予定があったので」
こういうコメントに対するコメンテーターの解説は、
「政治に期待できなくなっているからでしょう」
「政治不信の現われ」
投票行動にしろ、マスメディア情報の受信者にしろ、
その人の資質や熱意のレベルとは無関係に
1人が1票であり、1人が1視聴者である。
ここからポピュリズム(大衆迎合主義)が生まれる。
棄権した人間の言い分を聞いていると、
悪いのは本人ではなく、政治のほうだ、
という理屈になる。
この論法でいくと、
自分が肥満したのは食品を作ったヤツ、売ったヤツが悪く、
寝坊して勤めに遅刻したのは、
目覚まし時計の音が小さすぎるからだ、ということになる。
そしてマスメディアは、「それもそうだ」と、
調子を合わせるのである。
新しい政権が生まれようとすると、
今度は、多くのメディアが、新政権の不安部分を指摘する。
食コーチングは、
「肯定的指摘」をコミュニケーションスキルの
ポイントの1つと位置づけるが、
マスメディアは「否定的指摘」を売れ筋商品として大事にする。
その一方で、読者や視聴者を徹底的に甘やかす。
情報にも、もちろん鮮度が絶対必要だが、
企画力がないメディア関係者は、
ホットな情報をつくる能力が低いから、
どうしても「否定的指摘」で稼ごうとする。
「ダメ出し栄養士」のやり方とまったく同じである。
「ダメ出し栄養士」は、その人の自発性を促す
サポートスキル(育てるスキル)を持っていないから、
人のアラ探しをして、敵失(相手の失点)を待ち、
あいた穴を責める(攻める)というセコイ戦術をとる。
同様に、ダメ出し記事の多いメディアは、
やはり「三流メディア」だと思って間違いない。
日本の新聞は、自由民権運動の中で育っていった経緯もあって、
硬派を装い、政治批判を使命と考えるところがある。
テレビも、新聞から育ったようなところがあって同様。
批判はよい。が、それなら実名で論ずべきで、
自分の名を隠して、相手の名をあげて批判するのはフェアではない。
そんなアンフェアが、100年も続いたことによって、
選挙を棄権しておいて政治のせいにする、
甘ったれ人間を生み出した。
さらに、マスメディア自体が、
甘ったれ体質を持っていることは、
記憶しておいたほうがよい(例外も若干あるが)。
こういう、心理的に荒れて淋しい人生を
歩いている人の健康を支えるには、
やはり肯定的指摘から始めて、
生きることの楽しさ、食べることのたいせつさを
実感してもらうことである。
「アラ探し」よりも「よいところ探し」のほうが、
はるかに高度なスキルであることを
一部のマスメディアを反面教師にして、
学んでおいたほうがよい。
by rocky-road | 2012-12-19 23:50