あなたは魔女を見たこと、ありますか。

「給食だより、広報メディアを10倍楽しくする スキルアップセミナー」
の3回目 『情報は身近なところに――取材力のつけ方』が終わった。(7月29日)
第1回 「給食だよりの名編集長になるための8つのポイント」(3月25日)
第2回 「企画力で勝負!! ヒット企画はこうして生み出す!」(5月27日)

編集スキルについては、現役時代から今日まで、
プロに対して論じてきているが、
この20年あまりは、ノンプロの人たちにも、
同時進行的に指導をしている。
わがロッコム文章・編集塾、大学での講義などである。
このところは、栄養士組織のセミナーに呼ばれて
お話しすることも多くなった。

以前にもこのブログで書いたが、
それはパソコンの普及によって
編集が万人のスキルになった結果である。
が、そうなればなったで、今度は
生活場面のどんなところに編集スキルを
生かしたらよいのか、
それを教える人間が必要になってくる。

おそらく、人類の歴史と同じくらいに歴史のある編集スキルを
近年の健康支援者の生活の中で
どう使っていったらよいのか、
それを伝えることに少なからずの使命感をもっている。

機器の発達というのはおもしろいもので、
必要がモノを生んだはずなのに、
モノが「必要」を生み出すという順序もある。
移動手段として生まれた自動車が
雷や地震のときのシェルターとして役立ったり、
同じく移動手段である船が昼寝や密会の隠れ家として
〝活用〟されたりするがごとし。

パソコンは、地震や台風、疫病の感染範囲を予測し、
チェスや将棋の名人となって有段者と対局し、
健康支援者や栄養士の編集コミュニケーションを活性化しつつある。


「編集コミュニケーション」は紙面上のテクニック
というレベルにとどまるものではない、
ということである。
そのことを頭に置いて、
今回のセミナーでは、こんな演習をした。

「展示するモノを観察し、それを見ていない人に文章で説明しなさい」
(文章は、小学生の子を持つお母さんを想定して書いてください)
展示物は、その瞬間まで隠しておいたピンクの魔女の人形。

5分間、みなさんに観察していただいた。
魔女人形をつぶさに観察し、衣服の模様、
頭についている真珠の数などを緻密に描写する、
つまり文章スケッチをするか、
その場にいないお母さんに、そもそも魔女とはなにか、
そこから説明するか(このあたりから編集)、
みなさんの回答にはいくつかの系統があった。

その文例は、次回にご紹介しよう。
取材力は五感を使って行なうが、
説明の文章は、説明力、言い換えれば高度の思考力、
洞察力が必要となる。
ここに編集とはなにか、についての答えの1つがある。
小手先で満足してはいけないスキルである。



by rocky-road | 2012-07-31 00:10