定番感想「この新年、楽しかった!!!!」

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2012年は、4つのセミナーや講義で始まった。
1月8日(日)は食コーチング第9期修了者へのはなむけ講義。
翌9日(月/成人の日)は、
パルマローザ主催「新春ブラッシュアップセミナー
「クリエイティブな取材力、インタビュー力をつける。」
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1月14日(土)は、身だしなみセミナー、
「赤羽でのショッピングツアー」
(カジュアルウエアを選ぶ)
翌15日(日)はロッコム文章・編集塾
遠距離クラスの講義日。
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それぞれ、内容は異なるが、
これを社会性のある立ち位置の決め方、という観点から振り返ってみよう。
これらのセミナーで感じたことの1つは、
社会人としての軸足をどう支えるか、という問題。
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取材の講義では、演習として、
「きょう、会場に来るまでに見聞したことを書きなさい」
(あと取材、思い出し取材)を出題した。
数行の文章だが、描写と感想とが混濁する文章が少なくない。
車内での乗客の様子を「取材」するとき、
描写しながら、自分の感想を述べる。
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全体の文章をジャンル分けすると「感想文」。
ふと思った。学童期に読書感想文などを書かされた人が多かろうが、
この「感想文」という学習には困ったところがある。
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というのは、読書感想文では、
「素直な感想でよろしい」という評価になりがちだからである。
「素直」は、基本的には美徳だが、熟考しないという側面を持つ。
そこで「よかった」「感動的だった」「偉い人だと思いました」
「……のところで涙をこらえきれませんでした」となりがち。
つまり、生徒は、素直に、言い換えれば反射的に出た表現で
感想を伝える技術を身につける。

「主人公の名前を間違えている」
「筆者は、そうは言っていないはずだよ」などと、
正確な読み解きができていないことを指摘する教員は少なかろう。
「そんな平凡な感想では読んだ意味はないじゃないか」とまで
ダメ出しをする教員はさらに少なかろう。
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こういう学習法は、
文章には「感想」が入らないといけないかのような文章スタイルを生み出す。
若いときに刷り込まれた文章法は、
大人になり、社会人になっても、滅多なことでは消えることはない……。
そういうことなのではないか、と思った。
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手紙などは別として、
公的な場面に、あることへの評価を伴う文章を書くときは、
原則として、まずは、より客観的、詳細、正確に事実を描写すること。
それから、感想または評価を行なう。
描写の部分と感想または評価の部分とは分ける。

塾生にはしばしば伝えているが、ひとくちに「文章」といっても、
そのアイテムは大別しても100は超える。
(エッセイ、小説、ルポルタージュ、報告書、手紙、ビジネスレターなどなど)
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「評論」は、「感想」の発展型といえないこともないが、
この場合の感想は、自分の感想ではなく、
自分の意見に共感または同意できる
不特定複数の人々を想定したものであることが求められる。
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つまり軸足を社会のほうに移す。
社会の側に立って論ずること、それが社会人である。
社会現象を論ずるのに個人的な感想や素直さはいらない。
求められるのは、少しユニークな視点、
社会の財産になりうる論理である。
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遠距離クラスでは、
社会性のある文章を書くトレーニングに時間をかけた。
「感想型文章」から脱却するには、
もうしばらくは、反復する必要がある。
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軸足を社会に置く必要は、文章に限らない。
赤羽でのウエアのショッピングツアーに参加するに当たって、
「職場に着ていけるような服があるのなら行きたい」
というような意味の問い合わせがあったと聞いたが、
職場環境を知らない者には判断ができない。
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社会にはいろいろの環境がある。
自分もその社会環境の一員であり、
したがって、自分にも環境をつくる権利と義務とがある。
とすれば、社会環境にピッタリカンカンの服などありえない、
環境はつねに変貌を続けているのだから……。

社会人としての軸足がしっかりしていれば、
どんな店に入っても、自分なりの環境提案はできるだろう。
このときの選択基準は、
社会または職場、または同業者にとって適度に提案的であること。
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自分の好き嫌いの中には、
自分の社会環境は「かくあるべし」という提案が含まれなければならない。
衣服に「無難」や「一生もの」を基準にするのは、
文章における個人的感想、読書感想文に当たる。
社会は言う。「そんなこと、知ったことか!!」

では、こんな場合はどうだろう。
「〝ら〟抜きコトバ」(「寝れる」「見れる」)や
「〝で〟抜きコトバ」(「あした、早いんすよ」)が不快だという。
中高年女性に多い「アメリカの? ニューヨークの?
ハンバーガーショップの?」という、
尻上がりの問いかけ調にはうんざりだという。
「いわゆる」を乱発するバカがいる……。
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これを大新聞や部内報に書く場合にも、
感想文的な書き方では、意味のある文章にはならない。
快・不快、好き・嫌いを表出するだけでは、社会は1ミリも反応しない。

もし、そんなに不愉快であれば、
そういうコミュニケーションの不都合を、
いくつかの例をあげて、それに同意した人には、
それを改善する方法を何項目かあげて、
実効性のレベルをあげる。
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一種のマニュアルである。
楽器の教則本も、パソコンの「取説」も、禁煙プログラムも、
社会の財産となっているからこそ意味を持つ。
マニュアルは、反射的には書けない。
じっくり考え、何度もシミュレーションをする必要がある。

というところまで読んできて、
この文章を読んだ感想が思い浮かぶかもしれない。
その感想の評価基準の1つは、
「このブログは、社会にどの程度有効なのだろうか」
ということかもしれない。

by rocky-road | 2012-01-17 01:22  

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