君はちゃんと勉強してよ。
切歯扼腕(せっし やくわん)というコトバがある。
激しく怒ること、くやしがることをいう。
「切歯」は歯ぎしり、「扼腕」は、腕を握りしめる状態。
要するに歯ぎしりして悔しがる状態。
いま、日本一、この思いを味わっている1人は、
小沢一郎氏が4億円疑惑で初公判に出廷したあとの記者会見で、
「野党から国会で説明するように要望が出ているが、応じる気はないのか」と
質問をした記者ではないか、と思う。
口べたの小沢氏にとって、数少ない話術の武器の1つは
逆質問である。
おおぜいの記者が集まっている中で、逆質問された人は、
自分の意見を展開しなければならない。
それにはヒビって、沈黙する。
小沢氏はいう。
「なにもやましいことはしていないので、
そのようなことを考えるつもりはまったくない」と。
そして逆質問。「三権分立を君はどう考えているの?
ちゃんと勉強してよ」
ああ、なんという不甲斐なさ。
ディベートのトレーニングをするか、
食コーチングプログラムスの「食ジム」にいらっしゃい……、
テレビを見ていて、思わずそう思った。
政治記者なら、小沢氏のこういう手法は知っているか、
先輩記者から聞いていたはず。
逆質問には、さらなる逆質問……これがディベートのセオリーである。
「三権分立とおっしゃいますが、
あなたはその1つの検察や裁判を不当とおっしゃる、
だったら、あとは立法府の国会で立場を明らかにするしかないのではありませんか。
三権分立をおっしゃる以上、まだ一連の司法手続きを信じておられるわけですね?」
「だとしたら、あなたを起訴したことは、適正な判断といえませんか」
例の記者は、仲間や、メディアからそんな指摘を受けて、
いたたまれない気分だろう。
記者は、文章を書いてナンボの職業だから、
公共の場での、ナマ身の人間とのぶつかり合いは得手ではない。
では、健康支援者はどうか。
食事相談は、まさにナマ身の人間のぶつかり合い。
しかも、相手には自分の生き方に
絶対の自信を持っている現役パリパリのおっちゃんがゴマンといる。
だからこそ議論やディスカッションのトレーニングが欠かせない。
口べた政治家に逆質問をされたくらいでオタオタしていてはダメ。
日本人はシャイだから、その場では黙っていても、
あとから「ああ言えばよかった」「こう言えばよかった」と後悔する。
問いかけにしろ議論にしろ、それは反射神経、
からだに覚えさせておかないとイザというときに役に立たない。
トレーニングの機会はいくらでもある。
駅で気味の悪い男が近づいてきて声をかけたり、
じろじろ見つめたり……。
こんなときは「通報していいですか」(これも問いかけ)
いきずりの痴漢や変質者なら、たいてい、これで撃退できる。
小沢さんの功績は、日本人に「逆質問にナヨナヨするな」という
教訓を与えたこと、これは彼の数少ない業績かもしれない。
それと、健康支援者には、
「食ジム」でトークの瞬発力を磨く意義を教えてくれた。
「ハイ、勉強します!!!」
by rocky-road | 2011-10-09 00:30