人生の旅は夜つくられる。
沖縄での水中撮影の旅に続いて、
《食コーチングプログラムス》主催の東京スティに参加し、
体力の限界まで消耗した。
からだのどこかが痛いというのではなく、だるさと眠気が残っている。
完全燃焼した手応えのせいか、燃え尽き症候群の自覚症状はない。
東京に生まれて75年、戦時中、
学童疎開で1年半くらい東京を離れたこともあったが、
ほぼ東京の栄枯盛衰を見てきたように思う。
その東京で、各地の健康支援者のみなさんを案内するとなれば、
役どころとして不足はない、とひそかに思う。
といって、名所旧跡や《はとバスコース》をたどる気はない。
若いときから今日まで、自分用東京旅コースとして慣れ親しんでいるコースを考えた。
それでも、隅田川からスカイツリーを見るロケーションは初体験である。
おそらく、この船旅は今後、超人気コースになるだろう。
コースの詳細は、影山なお子さんのプログ(スタンバイスマイル)に譲るとして、
http://palmarosa.exblog.jp/ここでは夜通しトークについて書いておこう。
夕食後、そろそろ就床時刻というときに、
一室に集まって、ゆっくり語り合うという趣向。
旅に出れば、同室の人とじっくり話し合うことはよくあること。
夜通しトークは、これをもう少し組織的にしたもの。
成り行き任せの雑談ではなく、一定の方向性を維持する。
とはいえ、ディスカッションやシンポジウムのように、
話の展開にこだわるとカタくなって、眠気促進をしてしまう。
まとめ過ぎず、流れすぎず……というのが、進行役の留意点。
ここは旅のスタイルと似ているかもしれない。
私は、自分の旅を「創る旅」と称してきた。
地図と対話しているような旅は好まない。
そのために、しばしば帰り道を見失うが、それをも旅の楽しみとしている。
夜通しトークも、ある程度、成り行き任せ。
展開の予測不可能なところが楽しい。
今回のトークのテーマの1つは「5年後の私」。
20代の人の5年後、50代の人の5年後のイメージを聞くのが楽しい。
近年、将来の夢や希望を書き出すという習慣を持つ人は
減ったと思われるので、具体的に予定を立てている人は少なかろう。
坂本龍馬のそれは、野心的。自分をデッカく、デッカく書いている。
不肖大橋禄郎も、青年期以来、しばしば「計画」を書き出してきた。
書いたことさえ忘れたほど、いろいろと書き出し、そのほんの一部が実現した。
予想どおり、今後を具体的に書いている人は少なかった。
頭に中で考えているだけでは、1歩も踏み出したことにはならない。
次に起こるいろいろの想念によって「上書き」されてしまう。
書いたものは、手元に置きたいし、携行もしたい。
閉じたノートからも、情報は自分に情報を送ってくる。
これはイメージではなく、科学的に説明できる。
このアナログの意味を忘れてしまった人は、
生物のなんたるかを見失ったかわいそうな人である。
夜通しトークでは、これといった結論は出さない。
各自が自分で結論を出すから……。
結婚、夫婦の距離の置き方、子どもをどうするか、
趣味と仕事の区別、ビジネスの基本などなど。
2夜にわたる夜通しトークは確かに骨身に応えたが、
楽しさがそれを上回った。
考えてみれば、海への旅先で、
しばしば似たようなことをやってきた。
28歳ころからの生活習慣、旅習慣の1つになっていた。
いまも、それを持続している幸運を思う。
さて、東京スティ後、全国の文具店で、
いつもより余分に、ちょっと高級な何冊かのノートが売れたはずである。
いまごろは、彼女たちのこれからの旅のルートが
記録され始めていることだろう。
by rocky-road | 2011-09-21 01:01