「栄養士サークル運営論」のすすめ
石川県の能登で行なわれた3日間の合宿に参加した。
概要は、影山なお子さんのプログ《スタンバイスマイル》に譲るとして、
この合宿では、健康支援者のリーダーシップについて考えさせられた。
優れたリーダーシップがその地で発揮されているのをこの目で見て、
とても頼もしく感じた。
企画力やコーディネート力、率先的な行動力は、
リーダーに不可欠な要素だが、能登では、4日間がゆるやかに(「きっちり」ではなく)
組まれていて、その進行にリズムを感じた。
自己紹介をかねた討論(栄養士はどこへ向かうのか)に全時間を使った初日、
2日目は屋内での写真教室。いわゆる「ブツ撮り」の実習のために、
それぞれが、なんともかわいいグッズを持ち寄った。
声のかけ方がよかったから、集まったグッズのどれを撮っても
「腕がいい」といわれるようなものばかり。
『栄養と料理』時代、編集スタッフはどんなカップで牛乳を飲んでいるのか、
読者に写真で紹介しよう、とスタッフに命じたとき、
みんながとても当惑していたのを思い出した。
日常生活の一部を読者に見せることになるので、
いま考えれば、いやがるのは当たり前。
が、当時は、牛乳に親しんでもらう1つの方法として、試さずにはいられなかった。
それとはシチュエーションがだいぶ違うが、
能登のみなさんが持ち寄った小物には気合いが感じられた。
1人2人のことではなく、みんながおもしろいものを持ってきたとなると、
これはリーダーの力といわざるを得ない。
もちろん昼食のお弁当の味やデザインにも配慮があった。
より多くの人が集まった。(56人)
石川県能登の栄養士サークル「あじさい会」、
石川県地域活動協議会、
非営利健康支援者サークル「パルマローザ」など、
任意の組織ながら、その動員力たるや公的なおすまし組織の及ぶところではない。
いやいや、そうではない。
どんな組織も肥大化すると血が通わなくなる。
肥大化した組織の長は、大きい組織を土台にして、
より大きな仕事をしたくなる。権威を誇示したくもなる。
ヒラであったとき、「こんな組織じゃダメだ」といっていた人間でも、
いつの間にか権威主義に傾いていく。
その結果、ますます末端に血が通わなくなる。
能登の場合、組織間の連携も見事だった。
各セミナーの進行やあいさつ、
合宿組が3泊する宿の選定(1泊目・能登グランシード、2泊~3泊目・加賀屋 あいの風)、
いろいろの趣向についての打ち合わせ、見物する場所の選定と根回し、
移動のために車に分乗するときのメンバーなど、
組織運営の基本スキルが散りばめられていた。
かつて、ダイビング雑誌で「クラブ運営論」を連載したことがあり、
それから30余年後、ある大きなクラブのリーダーが、
私の書いた連載ページをファイルにして、いま運営に役立てている、と
実際にそのファイルを見せてくれた。
能登のリーダーたちは、そうした台本などないままに、
見事に運営論を実践進行中なのである。
太陽や地球が宇宙の中心でないように、世界の中心は日本ではなく、
日本の中心も東京ではない。
地政学よりも大事なのは、個々人がどういうコミニティに属しているのか、
そのコミニティにどの程度の理念と活力があるか、という点である。
今回の、3組織のコラボレーションは、合わせ鏡のようなもので、
お互いの姿が何面にも反映して、その特徴が強調されたようである。
そこで、3つの組織のリーダーには、自分の組織運営論を、
一生のうちのどこかで書くことをおすすめしたい。
日本を代表する健康支援者組織が、そういうものを書く可能性はゼロだから、
急ぐことはまったくない。ライフワークの1つにしてはどうだろう。
by rocky-road | 2011-06-12 01:04