月光、値千金。

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食コーチングプログラムスが主催する「健康支援者を輝かせる 文章シリーズ②」
『読ませる文章力・編集力をスキルアップする。』で講師を務めた(3月20日、横浜)。
その講義の中で、こんなエピソードを紹介した。

NHKのラジオ深夜便の「ワールドネットワーク」コーナーで
オーストラリア在住の杉本良夫氏(日本の社会学者・文化人類学者)が、
最近のオーストラリア事情を話していた。
近年、オーストラリアにも旅行や仕事でやってくる日本人が増えたという。
彼らは英語もうまいが、会話中心の教育のせいか、抽象語を扱えない人が増えた。
抽象語のボキャブラリーが貧しいと、一定の階層以上にはあがれない。
地域の境はなんとか越えることができても、
階層の境は越えられない。
やはり教養は、英語を書く学習によって培われるものではないか……と。
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この話は、私がかねがね話している、次のことに通じる。
健康支援者は、人の健康や幸福、人生を支えるのだとすれば、
そういう抽象語(「健康」や「幸福」のように指で、指し示しにくいコトバ)の意味を理解し、
それらのコトバを適切に使いこなさなければならない。
でないと、とかく目先の話題に終始することになる……と。

この話にヒントを得たという人から、さっそくボキャブラリー(語彙)ノートを作る、
辞書を新しくした、などの連絡をいただいた。
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そこで、自分のボキャブラリーを支えてくれる辞書のことについて少し話しておこう。

「辞典」(辞書と同じ)と「事典」とはどう違うか。
辞典はコトバを50音順に忠実に並べて収載してある。
事典は、たとえば世界史事典なら、「先史時代」「オリエント」「西洋古典古代」などと
カテゴリー別に記述する。
出版界では、「事典」のことを「ことてん」といって、「辞典」と区分している。
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以下、辞書の使い方の一例。
1.辞書は、できれば5年、遅くも10年くらいで更新する。
  親の形見を使っていては、ボキャブラリーも古くなる。

2.使用頻度の高い辞書はケース(箱)を捨てる。
  出し入れに負担がかかると、つい、調べるのを億劫がる。
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3.一度調べたコトバには、マーカーでシルシをつける。
  こうしておくと、あとで検索済みだったことがわかり、
  以後、少しだけ「記憶せねば」と誓うようになる。

4.「辞書」と名がつかなくても、「食品成分表」「世界地図」
  「手紙の書き方」「(各種)ハンドブック」なども事典である。
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カタイ話が続いたので、ちょっとヤワラカイ話を……。
フィリピンの洋上でいろいろのポイントでダイビングをして歩くツアーに出たとき、
ある夜、ボートの最上部の甲板で涼んでいたら、
純白のナイトガウンに身を包んだ女性が現われた。
最初は幽霊かと思ってドキッとした。

この船のオーナー、テレサさんだった。
片言の日本語と、片片言の英語で異文化交流が始まった。
カトリックの彼女は、幼少のときに親が決めた結婚に従ったが、
現在、幸福とは思わない、と嘆くのだった。
「日本の女性は、みんな幸せなの?」などと聞かれたりしているうちに、
いくつかの抽象語が必要になってきた。
「純愛」「貞操」「浮気」「不倫」
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私は自室に戻って和英辞書を持ってふたたび甲板に。
深夜12時すぎ、月光の下で辞書を開いた。
なんと、辞書の細かい文字が読めるほどの明るさだった。
そのことに感動した。
フィリピンは月の名所だ、と。

で、そのあと、どうなったか、だって?
そ・れ・は、辞書の、
そのページだけが知っていることでしょ!!

by rocky-road | 2011-03-25 00:47  

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