やっぱり「定義」でしょ。

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日本におけるコーチングの普及を推進してきた《コーチ21》の流れをくむ
《(株) コーチ・エィ》が、「メディカルコーチング研究会」を立ち上げた。
その設立記念講演会を受講する機会を得た。(2月25日 東京・日本橋)
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食コーチングを立ち上げた影山なお子さんは、
かつてコーチングのプログラムを受けたことがあるそうで、
今回の動きはそのコーチングの本流というところか。
食コーチングは、
それを健康支援のためのコミュニケーションスキルとして
よりオリジナリティのあるものへと進化させてきた。

それから7年後に、本家本元が、医療の世界にどのようなアプローチをするのか、
論理的にも、文化的にも、大いに興味を感じるところである。
当日のプログラムはおおむねこんな内容だった。
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①主催者からの「コーチング」の簡単な定義。
 「メディカルコーチング」の定義は未定。
②アメリカから来た現役ドクターによる「医療とリーダーシップの現状」
③「メディカルマネジメントとコーチング」
④「コーチングを生かした、臨床現場での栄養管理の実際」

おやっと思ったのは、主催者からの、「コーチング」ひとこと定義。
「一対一で行なう人材開発の手法」だという。
「コーチング」の定義はこれでよいのか。
これから「メディカルコーチング」の正式の定義をするというが、
母体である「コーチング」のひとこと定義自体、これでよいのか。
当日の講演内容からしても、その目指すところは、
組織の意識改革とコミュニケーション改善にある。
したがって、正確には「一対一」ではなく、「一対複数の人材開発」であろう。
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これから、大きなビジネスを始めるというのに、
こんなところでつまづいていてよいのか、
ちょっと心配になったし、気の毒にも思えた。

思考法の違いなのか、流儀の違いなのか、
いくつかの組織を立ちあげてきた者からすると、
ネーミングをしたら、同時進行的に自分の使うコトバの定義をせずにはおれない。
それをぜずにコミュニケーションができるのか、
ビジネスをスタートすることができるのか、それが不思議である。

「気の毒に思える」といったのは、
定義は、法律家や経済学者の仕事というより、
理論家やコピーライター、あるいはコミュニケーション専門家の仕事だから、
そういう人を見つける時間とネットワークがあるのか、
そのあたりを楽観できないからである。

余計な心配はよそう。
収穫は、この記念講演会のおかげで、
食コーチング」の立ち位置、これからの方向性がいっそう明確になったことである。
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「コーチング」は、出発点から「人材開発」に軸足を置いている。
その根本目標は組織の運営にあり、そのシステムのビジネス化であろう。
このスキルを医療の世界に持ち込むことは、遅すぎた感もあるがタイムリーともいえる。
医療の世界ほど権威主義が維持され、双方向のコミュニケーションに縁遠いところはないから、
「コーチング」にとっては、よいビジネスチャンスであろう。

これに対して「食コーチング」は、
個人の健康支援と、その先にある生きがいづくりの支援を目標にしている。
改革は、水を上から流すように、上部から行なったほうが早いが、
病院のコーチング型コミュニケーションはこれから始まるわけだから、
その効果が現れるのは10年も20年も先になる。

それまで、病院がコーチングビジネスの対象となってくれるのかどうか懸念があるし、
「コーチング」が根気よくニーズのある商品に仕上げてくれるのかどうか、
ここにも楽観できないところがある。
だからこそ、定義や目標をしっかりと固めてスタートしてほしいのである。
それまで「食コーチング」は、個々人の意識改革を進めていけばよい。
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以前、ある病院栄養士が「食コーチングは病院では使えない」といったという。
食コーチングは、インタラクティブ(双方向)コミュニケーションであり、
いわば情報の宅配便だから、どんな荷物でも運べるし、受け取りもする。
検査値だろうが病態説明だろうが、退院時の注意だろうと……。

それを病院では使えないとは、
つまり病院では、人間対人間のコミュニケーションが必要ない、といっているような
ものである。
その彼女が、自分の判断が間違っていたことに気づくのは、
病院にコーチングが導入される数年、数十年先になるのだろう。

病気の多くはライフスタイルに原因があるわけだから、
ライフスタイルをメインテーマにする「食コーチング」は、
病人をつくらない、再発を遅らせるというところに軸足がある。
とすれば、「食コーチング
が医療よりも先行していたのは、
歴史の必然のようにも感じつつも、やはり着眼のよさを改めて感じる。

by rocky-road | 2011-03-01 22:42  

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