メインかサブか。

9月、10月と、講義やイベント、旅行などが続いたため、
このブログの執筆や、急がれている図書の執筆にかける時間が少なかった。
ややタイミングを逸したが、9月5日におこなった
「リーダーシップ トレーニングゼミ」に関して、書いておきたい。
このゼミでは、3段階に分けて座談会を行なった。
トレーニングだから、司会進行を受講者がおこなうこととした。
23人の受講者に対して、メインとサブの司会が各1時間の座談会を司る。

パート1 いままでに、どんなネットワーク、グループ、クラブに所属したか(高校時代以降)、
現在も所属しているか。そこで果たした役割(果たしている役割)、 または感じたこと。
パート2 現在の職場または仕事の場面での運営方法、リーダーのあり方などについて、
感じていることを語り合いましょう。
パート3 健康支援者として、または1個人として、こんなネットワークをつくってみたい。
(新設、現在の職場を含むネットワークの改善案なども含む)

司会進行役は「自薦」ということにしたが、さすがは意欲のある人たちのこと、
事前に立候補した人で早々と各パートは埋まった。
このゼミの前後に、「メインの司会とサブとはどういう役割分担なのか」と、立候補
した人から質問を受けた。
「メイン司会」はわかるとして「サブ司会」とはなにか。
実際に体験した人でも、その意味がわからないとしたら、トレーニングとしてはまずい。
もちろん、こちらに役割分担の設計図があるわけではない。
1人では行き届かないこともあろうから、
サブは、メインをアシストまたはサポートしてはどうか、という程度の発案だった。

テレビ番組の司会やキャスターも2人(多くは男女)のことが多い。
この場合、メインが中心となって番組を進めてゆく。
メインの経験や業界での地位などによって、メインとサブの力関係に大きな差が出る。
人気者の司会者ともなると、サブ(多くは女性)の存在など無視するがごとく、
マイペースで進めてゆく。
リーダーゼミの場合、そうした差はないはずだから、
サブだからといって、終始黙っていては困る。
サブ司会者は、アシスタントとは違う。発言者にマイクを回す係ではない。
「そういうことは早く言ってほしい」と、サブ司会体験者はいうかもしれない。
が、これは応用問題だと思う。
サブがメインを差し置いてしゃべり続けては困るが、
発言をフォローしたり、別の視点を提案したり、ときにはメインにアドバイスしたり、
そんなことがあってもかまわない。
一種の主導権争いになったほうがおもしろいくらいだ。

当日も少し講じたが、「課長にすると課長らしくなるヤツはダメだ」と、
かつて上役から何度もいわれた。「課長になるヤツは辞令などもらわなくても、
それなりの仕事をちゃんとしているものだ」と。
この説には、納得させられることが以後、しばしばあった。
「実力」とか「リーダーシップ」とは、そういうものだと思う。
辞令やルールがあるときは、それを尊重しなければならないが、
そういうものがないときは、自己判断で、リーダーシップをとったり、
ほかのリーダーシップを支えたり……。
そのグループ、そのときどきの判断で、役割を演じ分ける。
そういう判断力こそがリーダーの基本ではないか。

忘年会がちょっとしめっぽくなったら、
幹事ではなくても、「このへんで、イチロー課長の安来節を鑑賞しようじゃありませんか、
みなさんいかがでございますか」と提案する。これがサブの役割だろう。
私自身、リーダーとしての資質があるかどうかは怪しいが、
サブリーダーとしての自信はある。
会長を支え、社長を支え、編集長を支え、課長を支え、
フリーランスを支えてきた実績はある、と思う。
人生は応用問題の連続である。
「サブってなにをするのですか」などと、尋ねているようではダメ。
「ノー」といわれないことは全部「イエスだ」と考えて、
時々刻々変化する局面に対処する、それがリーダーというものである。
「空気を読め」とは、こんなケースにもいえること。

by rocky-road | 2010-10-15 23:24