自分づくりのネットワーク

正式名称は「もっと輝きたい 健康支援者のための これからの ネットワークづくり合宿」という。
影山 なお子さんのブログ
http://palmarosa.exblog.jp/ にもあるように、
遠方であったり、いろいろの事情でイベントに参加できなかったりする人向けに
1回でもネットワーク体験をすることで、自分の生活を見直してもらおう、
というのが企画意図である。

生物は外界からの刺激に反応して生きているが、
慣れ親しみ過ぎた環境からは刺激を受けなくなる。
「慣れ現象」といって、連続的なストレス因をシャットアウトするシステムの1つともなっている。
しかし、脳内のプログラムが固定化して、変化への反応が鈍くなるというマイナス面もある。

人間でいえば、「私の人生はこんなものか」と、その段階で人生のサイズを決めてしまう。
そのほうが落ち着くという利点をとるか、
能力や充実の可能性を封印してしまうというピンチをとるのか、
その評価もまた自分自身だから、それはそれでよい、ということになる。
ちなみに、「ピンチ」はストレスの一種だから、それを緩和しようというモチベーションが生まれる。
私の基本的な考え方だが、
ストレスとモチベーションとは、生物にとってワンセットの行動原理である。

しかし、リーダーシップというのは、基本的には他者を支えることだから、
「小さくまとまりかかっている人生の地図を、もう少し広げてみてはいかが?」と
声をかけたくなる。それが今度の合宿だろう。

ミニ講話と、夜通しトークのコメンテーターとして、この合宿に参加した。
いつものクセで、「ネットワークとはなにか」について定義を求めた。
辞書で「ネットワーク」を見ると、コンピューターシステムの連携的なシステムであったり、
ラジオやテレビの番組供給網であったり、動物の神経網や脳内の情報網であったり、
要は「いくつかの部分が連携している仕組みまたはシステム」ということである。

合宿で強調したかったのは、自分の生活圏の中にシステムをつくることの意義と、
その利点についてである。生活圏とは、私生活から仕事、化粧の手順、
食事の時刻や、朝昼夕の献立内容、人との話題の展開法、歯磨きの手順などなど
システムとして、つまり連続的な行動パターンとしてとらえ、弱点や非効率部分を修正する。

仕事にやりにくいところがあったら、システムとして改善する。
一般に、仕事から楽しさを抱えきれないほど受け取れる人は少ないが、
だったら、より楽しくなるようなシステムをつくればよい。
システムは、自分が無きあとも、その職場に残る。
人生に足跡を残すとは、そういうことにほかならない。
左足で踏み出したら、次は右足を出す……それが二足歩行のシステムである。

日々に楽しさがイマイチ不足しているのであれば、
楽しみを生み出すシステムをつくればよい。
日記をつける、ライフスタイルノート(テーマ別)をつける、
ラブレター、ラブコール、ラブメールの発信曜日や時刻を決めておく、
図書館の書棚にある自分仕様の書名を記録しておくノートを作る、
などもシステムの1つである。

中小企業の社長の中には、「きのう(日曜日なのに)会社に出て、
半日しごとをしたよ」と、部下にしばしば口にする人がいる。
休日出勤の気楽さ、楽しさを誇らしげに語るが、
こういうシステムは、部下にとってはメリットの少ない、
要するに迷惑なシステムである。
人的ネットワークがあったほうがよい例をいくつか。
職場や同業、同地域の人との私的な集まり習慣、
勉強や趣味で定期的に集まる仲間、
美しい風景や感動的な映画を観る仲間、
おいしい食体験を重ねる、継続的な仲間、
「きれいだね」「髪型がステキ」と言い合える仲間などなど。

「愛してる」「好きよ」を言い合える相手をネットワーク化するのはまずいが、
幸福感を持続するシステムではあるから、
「愛の表現法のネットワーク」ということにしてもよかろう。
つまり、いろいろの愛情表現を次々に開発し、実行し、
ステップアップしていく脳内のシステムである。
ここまでくると、「ネットワーク」の辞書の定義からは逸脱するが、
自分とあの人との小さなネットワークにとどめておくのなら、
どこからも文句は出ないはずである。
かといって、小さな脳内の地図を100%支持するものではない。
1対1の密度の濃いシステムは、ていねいな人間関係を形づくっていくという意味で、
人的ネットワークの基本的な単位といってよいだろう。

by rocky-road | 2010-09-27 13:39