世界や自分の仕分け方

塾生の1人の「やりたいこと事項」のあげ方に目がとまった。
43項目のリストは、いくつかに分類され、こんなふうに列挙してある。
・結婚
・出産(子育て)
・彼氏をつくる
・恋に落ちる(誰かに惚れる)
・本命の地位(誰かに惚れられる)
(中略)

・世界一周
・家を建てる
・素敵な家具やキッチン道具をそろえる
(中略)
・夢や目標を見つけたい
・夢や目標をつかみたい
・がむしゃらになれる仕事につく

あたかも花火のように、イメージがはじけていて、
みんなで1つ1つを確認しながら大笑いをした。
個々の内容はともかく、項目のあげ方、
配列の仕方には、大いに考えさせられた。
ひとことでいえば、カテゴライズがうまくいかず、
したがって、項目の順序がバラバラなのである。
たとえば、「恋に落ちる」があとで出てくるのなら、
「結婚」は、そのあとにくるのではないか。
「夢や目標を見つけたい」と「夢や目標をつかみたい」とを
分けてあげているところもおもしろい。

箇条書きをするとき、項目のあげ方にリズムがない文章にはしばしば出会う。
権威のあるマニュアルとか、旅行のガイドブックとか、
編集者や校閲者の目を通っているはずなのに、
箇条書きされている項目の順序が不規則で、リズムがない。
子どもの玩具に、四角、三角、丸、星、楕円などを、
本体にあいている同じ形状の穴に差し入れる、というものがある。
あれがもっともシンプルなカテゴリー化である。
カテゴリー(ドイツ語だとか)とは、ものの存在を認める基本概念。

「ある」か「ない」か、ゼロか1か、1つか2つか、動物か植物か、男か女か……
など、ここが哲学や数の概念の出発点である。
箇条書きは文章論の範疇(カテゴリー)だが、
衣服のコーディネート、仕事の処理方法……その前提としての現状の把握、
人間関係、ライフデザイン、イベントのコーディネートなどなども、
哲学や論理学、脳科学、社会科学、動物行動学など、
どんな専門分野によっても論ずることができ、いくらでも体系化できる。
いまから哲学や論理学の基礎を学んでいるヒマはないのはお互いさまだが、
自分がいまかかえている問題、将来に向けてのアクション、
人とのしっくりしない関係など、そのポイントを2つ、3つと分けていくと、
それが糸口になって、いろいろの要件が顕在化してくる。

過日、「健康支援者のためのリーダーシップ トレーニングゼミ」の
第5回(講師/影山 なお子さん)に参加し、
受講者が発表する「健康支援者に求められる5つの条件」を聞いた。
ここでは初めから「5つ」と決まっていたが、
配列が乱れているもの、各々の独立性があいまいなもの(隣接事項との境界不明)、
課題の「健康支援者」と「私個人」とを混同しているものなど、
かなり苦戦している人が少なくなかった。

触れておかなければならないのは、医師、栄養士、看護師などを
「健康支援者」として大きくまとめることもカテゴライズである。
大きなくくりは、別の大きなくくりを見つけ出さずにはいないから。
さて、カテゴリー術のトレーニング法としては、
きょう1日を7箇条くらいの箇条書きで日記をつけること、
今度行く旅行に持っていくものを書き出してみること、
買い物に出るとき、買い物を書き出すこと……
などであろう。

by rocky-road | 2010-09-08 23:02