頭、整理していますか。

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書籍の奥付(おくづけ)はご存じだろう。
最終ページの囲み文字の部分。
著者や発行者、発行日などが書いてある。
手元にある『思考の整理学』(外山滋比古著 とやま しげひこ)を例にとると、
初版が1986年4月24日。そしてすごいのは、
2009年7月5日 第54刷の部分である(「刷」は「すり」と読む)。
著者は1923年生まれだが、表紙カバーのポートレートは、
40歳代と思われる写真が使ってある。

「2版」「3版」という場合は、内容を改訂してある場合が多い。
これに対して「刷り」とは、原則として単純な刷り増し。
本や内容によって大きく異なるが、
文庫版の場合、「2刷り」とは1回に5千から1万部は刷る。
それが54回、いかに読者が多いかがわかるだろう。
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そして現在も書店の「平台」(表紙が見えるように
平らに積み重ねた売り方)に置かれている。
大々ヒットといっていいだろう。

この本に、学校教育を「グライダー」にたとえた記述がある。
学校では、教員と教科書が生徒を引っ張ってくれて、
空に舞い上がらせてくれる。
自力で知識を獲得するところではない。
そこがエンジンをつけた飛行機とは違うところだという。
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ここを読んでいて、またまた食事相談のことが頭に浮かんだ。
栄養士の中には、クライアントに「行動変容」を迫って、
その人を空まで引っ張りあげよう、などと
大それたことを本気で考えている人がいる。

その数の多さを見ると、これはだれかが仕組んだことがわかる。
行動療法の知識やスキルを寸借して、
ロクにトレーニングもせずに現場に送れば、こういうことにもなる。
戦況が不利になった国が、少年兵まで戦地に送ったのとパターンが似ていて、
銃の撃ち方もあまり習っていない少年兵は、敵の前で立ちすくむしかない。
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メタボ健診で、したたかなオジサンを前にして困惑している栄養士は、
まさしく銃の撃ち方を知らない少年兵である。
少年に罪はない。
が、少年でもわかる、
自分の前にふんぞり返っているオジサンを
空に引っぱりあげることなんて、できるわけがない。

「そんなこと、いまさらいわれても困るよ!」……だよね。
じゃあ、ここは立ち止まって「思考の整理」をしてみることだ。
例の本には、「食事相談とは、クライアントに飛行機のエンジンをつけることだ」
などとは書いてはない。
でも、こんな連想は生まれる。
「そこら歩いている老練オジサンたちの食事の先生なんて、
できっこない。よって、《クライアント飛行機》よ、
必要なことは教えるから、自分で飛びなさい」
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そっかぁ、自発性だぁ。
それしかない、ってこと!!!
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by rocky-road | 2010-02-10 01:40  

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