心の味わい
ぶっそうなお菓子をいただいた(写真)。
箱には「演習弾12発中2発実弾が入っています!!」
と朱記してある。
さらにいう。「特許出願中 自衛隊限定販売」
実は中身は小さな薄皮まんじゅう。
12個中2個は激辛だという。
だいぶ食べたが、まだ実弾にぶち当たっていない。
自衛隊の購買部に、見学者用に置いてある商品らしい。
食は、つねにコトバに支えられて
より味わいを増す。
水だの納豆だのの売り声が独特の味つけをしてきた。
戦後しばらくは、観光地で菓子などを買うと、
「カロリーは卵の7倍」などと書いてあった。
飴や砂糖菓子のエネルギーを
なんで卵のそれと比べるのか……、
そういう野暮をいう人はいなかった。
エネルギー量を競ったのは、
食糧難の後遺症とでもいうものだろう。
栄養士もまた、コトバに磨きをかけている。
パルマローザ、広島県栄養士会、東京都栄養士会、
中央区保健所、グリーンハウス、市川保健所などで行なったセミナーは、
文章表現、写真、エディトリアルデザイン(印刷物のデザイン)などなど。
それはつまり、食・健康情報という商品を
魅力的に味つけしようということである。
ヘルスプロモーションというと、なんだかわかりにくくなるが、
「水はいらんかねぇ~」「なっと・なっと・なっとぉ~」といった
売り声の1種だと思えばいい。
ホンキになってきたのである。
健康や食情報も、さすがにマンネリ化してきた。
地産地消、安心安全……そういう紋切り型では、
人は動かなくなってきた。
そこで、コトバや情報に磨きをかける必要に迫られてきた。
よいことではないか。
ただの物売りではないか、とはいうなかれ。
文学はもちろん、美術もタイトルやコトバによって、
息づくのである。
人は実質だけではなく、イメージや思想でも生きる。
思想や理念のない食は、ただの餌となる。
食関係者が表現力を学ぶことは、
人間の心を学ぶことにつながっている。
by rocky-road | 2009-11-27 23:04