野生動物とのコミュニケーション

正確にいうとダイビングよりも
「スノーケリング」に軸足を置いた45年間である。
当時はスノーケリングとはいわず、「素潜り」といった。
素潜りは、スキューバダイビングの準備段階、
基礎泳力づくりの期間と位置づけられていた。
ところがしばらく続けると、素潜りは、これはこれで楽しい。
というよりも、「海を歩く旅」というイメージで、
旅派の私にとっては、このほうが性に合っていた。
ただし、「素潜り」はいかにも漁業的で語感がよくない。

そこで、アメリカ語の「スノーケリング」を借りることにした。
いまは「シュノーケリング」という人が多いが、
「スノーケリング」導入者にとっては耳障りだし、
ダイビング雑誌で統一した用語とも違っていて、
「シュノーケリング」は部外者、素人というイメージか。
そこで、スノーケリング中心の東京潜泳会を作り、
次にスノーケリングピープルというクラブを作った。
東京潜泳会時代には、規約を作り、何回も改定し、
その経験をダイビング雑誌にクラブ運営論として書いたりした。

海の旅のおもしろさに加えて、クラブ運営のノウハウを学んだ。
いま、社会の第一線で活躍している人たちに、
クラブの幹事やリーダー経験者が多いのは、
クラブ運営時代の経験が、もちろん生きているからである。
遊びにしろ余暇活動にしろ、「ホンキ」で取り組んだ知識やスキルは、
どんな社会活動でも活用できる。
これは、栄養士サークルにしろ、ほかのどんな余暇活動にも共通する。
いや、「どんな余暇活動にも」は言い過ぎで、
「ちゃんとした運営方針がある組織であれば」ということを
条件の1つにしておく必要があるだろう。

さて、海の楽しさはなにかと聞かれたら、
1つは「地の果てから始まるもう1つの旅」であり、
もう1つは、野生生物とのコミュニケーションである。
人間の言語社会に住む生物が、非人間言語を持つ野生動物と接し、
なんらかのコミュニケーションを図ることの喜びは格別である。
野生動物とのコミュニケーション経験は、
植物とのコミュニケーションにも適応できそうだし、
もちろん異星人とのコミュニケーションなど、
おちゃのこさいさいである。
そんな場面が生じたら、もちろん通訳を買って出るつもりである。

さて、しばらく沖縄の座間味島の海の生物や、
海で泳ぐのが大好きな犬たちと海を楽しんでくる。

by rocky-road | 2009-08-30 22:54