講習会プログラムと雑誌の関係
かねがね思っているのは、学校のカリキュラムは、
雑誌や書籍の目次・構成と基本的には同じだということである。
それが頭にあるから、教育機関のカリキュラムを見ると、
編集者や編集長の力量やセンスを疑うように、
この学校は大丈夫かね、と思ってしまう。
雑誌に例をとれば、特集があって、やや小さな第2特集、第3特集などがある。
それから連載やら単発やら、トピックスやらがある。
大学だって、その大学のいちばんの売り(特集)には人材(スタッフ)を揃え、
勝負に出る。このとき、編集長としての学長なり学部長なりは、
教員にこの特集のコンセプトを徹底しなければならない。
が、大学にしろ専門学校にしろ、一度決めたカリキュラムは、
滅多なことではいじらないし、教員連にカリキュラムコンセプトを徹底したり、
チェックをしたり……ということをほとんどやらない。
これで、時代を乗り切ろうなんて、ちゃんちゃらおかしい。
ある大学の理事は、なにかよいヒントがあったら教えてよ、と
年賀状に書いてきた。ノーテンキ、ここに至り。
出版界だったら、そんな雑誌は1、2か月で廃刊になる。
さて、話が変わるが、広島県栄養士会が主催する生涯学習研修会に、
ほんの少し参加した。
影山 なお子さんが講師を担当する
「ワークショップ形式による 栄養士のコミュニケーション力アップ
聞くこと、着ること、話すこと」の一部、
「コミュニケーションについて押さえておきたいこと」を
ファッション力の総論としてお話しさせていただいた。
1つの講義を2人が担当するというのは、
予算的にぜいたくだから、主催者側が企画することはまずなく、
今回は、影山さんの提案で、部分的に追認していただく格好になった。
いきさつはともあれ、コラボレーションの意味は多少はあるはずで、
受講者が、各々のテーマについて立体的に考えることに役立つはずである。
ここで雑誌の話に戻るが、雑誌とは「雑」「誌」で、
「雑多な」(よくいえばバラエティに富んだ)
「書きつけ」(記録)である。
バラエティはよいことだが、よいモノも相殺(そうさい・互いを打ち消す)することは
テレビ番組やテレビコマーシャルのことを考えればわかる。
「いまやっているビールのコマーシャルの前のコマーシャルはなんだった?」
そう聞かれて、即答できる人はそうそういない。
数秒前の情報は、次の情報でかき消される。
雑誌では、それを連載がカバーする。
1人の感性や思想や考え方、文章などになじんでいるうちに、
その雑誌とのよい関係ができてくる。
雑誌は(新聞や書籍も)アイデンティティを下支えする。
カリキュラムも講習会のプログラムも同様である。
なんでもありで、「雑」またはバラエティを求めていると、
いわば「講習会かじり」が増えることはあっても、
それでは、みんなのレベルが上がるとは言えない。
どこの講習会にも顔を出すけれど、
ほとんど社会的活動をしない、「講習会ショッピング連」なんぞは、
何千人生産しても、その世界の充実・発展にはなんの役にも立たない。
一部のセミナー主催者は、連続もの、シリーズもの、
コラボものの利点に気がつき始めている様子。
そうなんだ、講習会、研修会主催者のための、
企画力、編集力講習会を行なう時代が、もうすぐそこまで来ているのだ。
そうだとすれば、栄養士、健康支援者の世界には、一条の光が感じられる。
by rocky-road | 2009-08-24 00:55